日本のシリコンバレー!?

August 5th, 2010 by Rion このエントリをdel.icio.usに追加このエントリをLivedoor Clipに追加このエントリをはてなブックマークに追加 3 comments »

産業振興策というと胡散臭いが、地方レベルでうまくいっている例というのは興味深い。

岐阜は日本のシリコンバレー!? 「セカイカメラ」や「Finger Piano」生んだ県の振興策

大垣市のIT施設「ソフトピア・ジャパン」内にプロジェクト拠点「ドリームコア・コレクティブ」を開設し、iPhone55台を整備。その上で、ITベンチャーの入居料減免やアプリ開発教室「iPhone塾」を設置するなどした。

岐阜県でiPhoneの講習会を行ったり、ベンチャー支援したりして効果が上がっているとのこと。地方レベルでの試みに可能性を感じる理由は二つだ:

  1. 地方間の競争がある:他の市町村の政策より上手くいっていなければ明白である
  2. 徴税能力に限界があり、野放図な支出は難しい:国に比べればこういった裁量は遥かに少ない
  3. 国政に比べて行政への有権者のチェックが細かい:省庁レベルのある政策の成否が原因で議員の地位が脅かされることはないが、市町村首長であれば重要な論点になりうる

一方で、多数の地方自治体が「日本版シリコンバレー」的政策を実行しており、成功例の存在が全体としての効率的投資(=税金の使い道)を意味しない。ある地方のレジャー施設の成功が日本中にある寂れたレジャー施設を正当化しないのと同じだ。失敗のツケは税金で取るという構造がある以上、このような懸念は払拭しようがない。

とはいえ、今回の例でiPhoneが中心になっているのは面白い。

  • 産業政策の最大の問題は「産業」を選ぶ能力が政府にないことだが、センスがよさそう
  • ネット系のビジネスだが、iPhoneを使って参加者を物理的に集めている
  • 開発のためとはいえ複数の端末を用意するのは費用がかかり、特に学生には難しい

さらに他のタイプの講習会なども開催できれば多様な人的交流が発生し効果が高まりそうだ。例えば海外のメディア・マーケティングに詳しい人が集まれば、開発したアプリを日本ローカルに留めずにうまく世界に広めていくといったこともできるのではないだろうか。

P.S.

IT系のビジネスは本来世界展開が比較的簡単ですが、業界の人は結構ドメスティックな印象がありますがどうなんでしょうか。もちろん国際的に活躍する方もいますが、比較的少数に思えるし、実際に海外で在住しているとビザの関係もあり起業とはいかないというのもあるのかもしれません。

発展途上国向け温暖化対策

August 5th, 2010 by Rion このエントリをdel.icio.usに追加このエントリをLivedoor Clipに追加このエントリをはてなブックマークに追加 3 comments »

気候変動対策における発展途上国の役割について:

Policies for Developing Country Engagement

温暖化対策となると日本を含めた先進国の責任ばかりクローズアップされるが、発展途上国が取り組める対策を考えるのも重要だ。特に、誰に道義的な(!)責任があるかという負担の擦り付け合いに終始しがちな点は残念だ。

For example, fossil fuel subsidies are common in many developing countries. Reducing or eliminating them would relieve budget pressures, promote more efficient energy use, improve energy security, and avoid unintended distributional consequences while also slowing the growth of GHG emissions.

しかし、温暖化対策になる政策の全てが痛みを伴なうものではない。例えば化石燃料への補助金は燃料価格を下げその消費を促進する。このような補助金を廃止することで、補助金のための財源(と課税に伴う経済の歪み=税の死荷重負担)が必要なくなるし、燃料の利用も適正化される。補助金には燃料の購買者の負担を減らすという再配分的意味合いもあるが、それは他の再配分手段で達成できる。また、実際には業界団体の圧力などで補助金が使われているケースも多く、温暖化対策を理由にそういった政治力を排除できるなら一石二鳥だろう。日本でも高速道路無料化なんて意味不明なことを言ってないで、気候や混雑への外部効果を計算にいれた適正な課税・通行料徴収を行うべきだ。

Android拡大中

August 4th, 2010 by Rion このエントリをdel.icio.usに追加このエントリをLivedoor Clipに追加このエントリをはてなブックマークに追加 3 comments »

暫くご無沙汰しておりましたが、再開しますのでよろしくお願いします。

最近iPhoneにしようかAndroidにしようか迷った口なので軽く次の記事を。

Android Beats iPhone With New Subscribers

過去六ヶ月に売れたスマートフォンのOSの推移だ。BlackBerryのRIM(Research In Motion)が引き続き下げる一方でAndroidが昨年末から急に立ち上がっている。特に印象的なのはiPhone OSを抜いていることだ。iPhoneがどれだけ売れたとしても端末としては一ラインしかないので数には限界がある。

Androidが伸びを見せている最大の理由は市場全体の拡大だ。スマートフォンは既に携帯電話の1/4を占めている。パソコンであれ、ソーシャルメディアであれ、市場全体が伸びているときには一見強固に見えるトップの座が入れ替わるということはよくある。

とはいえ、これがAppleにとって大問題というわけでもない。iPhoneをクローズドなシステムにしているのはAppleの選択だ。

The Nielsen report said that “among current subscribers thinking of switching” mobile phones, 90 percent of iPhone owners remain loyal to the handset.

実際、iPhoneユーザーのロイヤリティは非常に高く、ほとんどユーザーはiPhoneを買い続けると述べている。一時のMacのように中途半端にオープンになってマージナライズされるよりも、あくまで高級路線を貫くつもりなのだろう。

日本人として気になるのはこの争いに日本勢が何一つ登場しないことだ。ネットへのアクセスがモバイル端末にシフトするなかで、(一部の製品部品を除き)日本企業のプレゼンスはほとんどない。お隣りの中国ではAndroidをフォークしたシステムが流行っているという話も聞く。スマートフォン向けオペレーティングシステムが多数生き残るという状況は考えにくい以上、日本語関連機能をGPLででも公開してAndroidに注力するべきではないだろうか。

エネルギー省の省エネ

July 10th, 2010 by Rion このエントリをdel.icio.usに追加このエントリをLivedoor Clipに追加このエントリをはてなブックマークに追加 2 comments »

省エネに必要なのはインセンティブであって啓蒙ではないようだ。

Why is the U.S Department of Energy so Energy Inefficient?

We are supposed to find this article ironic. The Department of Energy doesn’t practice what it preaches. While this is amusing, we should ask an old question; “why”?

ニューヨーク・タイムズの記事によると、省エネを訴えているエネルギー省ではお粗末な省エネしか行われていないとのこと。

Controlling for year built, hours operated, climate zone, how many workers work there, and its intended use — my focus was to test whether governmental and private sector buildings consume the same amount of electricity. I reject this hypothesis. Government buildings consume roughly 20% more.

この傾向はエネルギー省に留まらず、エネルギー消費に関係する変数で条件付けした上で民間と政府機関との電力消費を比べると政府の建物は約20%も多いそうだ。

最大の原因は民間企業とは異なり政府団体は省エネをする適切なインセンティブを持たないことだ。電力消費を減らしたところで利益・給与が増えるわけではないし、選挙に落ちるわけでもない。ここでエネルギー省を叩いてもしょうがない。重要なのは省エネすべきといった啓蒙活動はしている本人にすら効果が薄いということを認識して、効果的な施策を打っていくことだろう。

世界で一番高い都市

July 6th, 2010 by Rion このエントリをdel.icio.usに追加このエントリをLivedoor Clipに追加このエントリをはてなブックマークに追加 3 comments »

多くの日本人は東京が世界一生活費の高い都市だと思っているが、実際に海外の大都市と比べるとそうでもない。よく一番高いといわれているのは一般的な生活費ではなく海外(≒アメリカ)からの駐在員の生活費だ(要するにアメリカ的生活をするのにかかる費用)。しかし、そのランキングにおいても東京は一番ではないというストーリー。

Destitute Angola capital costliest place for expats

The capital in a country where most of the population lives in poverty has overtaken Tokyo as the most expensive in the world for foreigners, according to a study by consulting firm Mercer.

現在世界で最も「高い」都市はアンゴラのルアンダだ。ルアンダがどんな都市かについてはWikipediaでもご覧頂きたい。

Luanda – Wikipedia, the free encyclopedia

Around one-third of Angolans live in Luanda, 57% of whom live in poverty. Living conditions in Luanda are extremely poor, with essential services such as safe drinking water still in short supply.

57%の住民が貧困ラインで生活している世界の最貧国の一つだ。2002年までの内戦で国内は疲弊しており、原油を含めて天然資源の輸出が主な産業となっている。

Foreigners plop down $15 for a cheeseburger, $150 for haircuts; $2,500 for a one-year gym membership and tens of thousands of dollars for rent.

そんな国の首都で、チーズバーガーは$15、散髪は$150、ジムの年間メンバーは$2,500となっている。

何故そのような価格設定が可能なのか。これは都市を利用した一種の価格差別ととなっている。首都は外国企業にとってビジネスができるほぼ唯一の場所であるため価格がつりあげられているということだ。おそらく都市間で有効な裁定取引を行うインフラがないのではないかと思われる。

普通は高所得者以外の住民にも売るほうが儲かるためここまで極端な価格設定にはならないが、ルアンダの場合低所得者層の購買力は外国企業の駐在員に比べて極めて小さいので財・サービス提供者にとって無視してしまう方が利益があがるということだろう。

Cost of Living survey 2010 – City rankings

For the first time, the ranking of the world’s top 10 most expensive cities includes three African urban centres: Luanda (1) in Angola, (3) in Chad and Libreville (7) in Gabon. The top ten also includes three Asian cities; Tokyo (2), Osaka (6) and Hong Kong (jointly ranked 8 ). Moscow (4), Geneva (5) and Zurich (joint 8) are the most expensive European cities, followed by Copenhagen (10).

この傾向は上位にランキングした他の開発途上国の都市にも当てはまる。トップテンには日本を含めた先進国の都市に混ざってチャドのンジャメナ、ガボンのリーブルヴィルもランクインしている。