よくあるが見過ごせない失言なので軽く取り上げておく。
<平沼赳夫氏>蓮舫議員の仕分け批判「元々日本人じゃない」(毎日新聞) – Yahoo!ニュース
平沼氏はあいさつの中で、次世代スーパーコンピューター開発費の仕分けで蓮舫議員が「世界一になる理由があるのか。2位では駄目なのか」と質問したことは「政治家として不謹慎だ」とし、「言いたくないが、言った本人は元々日本人じゃない」と発言。「キャンペーンガールだった女性が帰化して日本の国会議員になって、事業仕分けでそんなことを言っている。そんな政治でいいのか」と続けた。
まず、次世代スーパーコンピュータ開発で世界一になる必要があるかは実質的内容で決めるべきことだ。不謹慎だというのは議論でも何でもない。全ての分野で一位を目指すのは非効率な以上、どこに注力するかをきちんと議論するのが政治家の仕事だ。
後半は救いようがない。「言いたくないが」と断れば差別発言が許されるわけではない。むしろ「言いたくないが」などと述べる人はみなその次のセリフをいいたくてしょうがないように見えるのは何故だろう。
キャンペーンガールだった帰化女性を選んだのは国民であり、それを可能にしているのは日本の法律だ。それをどうこう言うのは頂けない。私はむしろキャンペーンガールだった女性が帰化して国会議員になったことは、蓮舫議員の行動に対する評価は別にして、それ自体として凄いことだと思う。
平沼氏はパーティー終了後の取材に対し、「差別と取ってもらうと困る。日本の科学技術立国に対し、テレビ受けするセンセーショナルな政治は駄目だということ。彼女は日本国籍を取っており人種差別ではない」と説明した。
元々日本人でないというのは変えようがない。これを論うのが差別でなくて何なのか。口が滑ったのなら訂正なり謝罪なりすればいいだけの話であって、「テレビ受けするセンセーショナルな政治」の問題にすり替える必要はない。
どこかで同じようなことがあったと思えば、以前西和彦氏が同趣旨の発言をしていた。その時のエントリーはこちらだ:「スーパーコンピューターが必要か」。西氏は次のように述べている。
1967年生まれの蓮舫議員は1995年に台湾からの帰化日本人である。1997年に双子の子供を生んだときには、日本の国籍になったにも拘わらず、中国 風の名前をお付けになっている。家庭的には感覚は中国のひとなのであろう。私はそうは思わないけど、日本のスーパーコンピューターをつぶすために、蓮舫議 員のバックは誰で、その生まれた国の意向があるのかなあと思う人もいる。もし、そうだったらビックリだけど・・・。
こちらもまた「私はそうは思わないけど」と断った上で言いたい放題だ。その時に書いたことを引き写しておく。
「私はそうは思わないけど」などという留保つければ、(どんな背景があるかはともかく)正式に日本国籍を取得して、民主選挙で選ばれた国会議員を憶測で非難することが正当化されるわけではない。
帰化日本人が議員になることを許容しているのはこれもまた民主主義により正当化されている日本の法律だ。アメリカの外国系の帰化人との比較も行われているが、アメリカで帰化人が子供に自国風の名前をつけることを批判したら人種差別問題だ。
このことは蓮舫議員の言動・政治を支持するかとは関係ないし、スーパーコンピュータ開発の是非とも関係ない。問題は、発言内容ではなく、発言した人間の出自・立場で発言を判断し・貶めようとすることだ。西氏の文章について書いたことがまるっきり当てはまる。
議論において、発言内容それ自体(「スパコンで世界一になる意味はあるのか?」)に反論するのではなく、発言者(蓮舫参議院議員)の物言い・出自を批判するというのは極めて不健全なことだ。