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ANDAリバースペイメント推定違法化

October 16th, 2009

以前から議論になっていたANDA申請を行った企業と先発企業との訴訟において後者が前者に支払いを行う形での示談について新しい法案が提出されている:

Patent Law Blog (Patently-O): Patent Reform: Reverse Payment

ANDA=Abbreviated New Drug Applicationとは米食品医薬品局(FDA)による新薬承認申請(NDA)の一種だ。アメリカで新薬を流通させるためには、その安全性・効果をFDAに認証される必要がある。その許可を申請するのがNDAだ。ANDAは既に流通している薬品と生物学的に同等な後発薬の承認申請を行う際に使われる簡略版である。1984年のハッチ・ワックスマン(Hatch-Waxman)法(正式にはDrug Price Competition and Patent Term Restoration Act)により導入された。これにより、特許が切れた薬品のジェネリック医薬品認証のための費用が節約され、より迅速に市場へ投入することが可能になる。

ANDAを利用するためにはFederal Food, Drug, and Cosmetic Act Section 505(j)に定められた四つの条件のいずれかを満たす必要がある。

  1. such patent information has not been filed,
  2. such patent has expired,
  3. of the date on which such patent will expire, or
  4. that such patent is invalid or will not be infringed by the manufacture, use, or sale of the new drug for which the application is submitted

この中で争点となっているのは四つめの条件だ。Section 505(j)ではさらにANDAで最初に申請を行った企業には180日間の独占権が与えられ、他の企業はANDAの認可を得ることができない。これはジェネリック薬品の開発を行うインセンティブを与えるための限定的な独占である。これを一般にParagraph IV Certificationと呼ぶ。

問題となるのは、後発企業がParagraph IV ANDAを申請するケースだ。Paragraph IV ANDAが申請されてから45日間、当該特許を保有する先行企業は後発企業を特許侵害で訴えることができる(薬品の特許を侵害せずにジェネリック薬品を製造できるのかという疑問は当然だが、薬品を保護している特許は主な薬効成分に関する特許だけとは限らない)。訴訟が始まると判決でるか30ヶ月経過するまでANDAの認可は行われない。この時特許関連の訴訟ではよくあるように示談が成立することが多いのだが、先行企業が後発企業に和解金を支払う形をとることがある。これは通常の特許侵害訴訟の結果とはお金の流れが逆であるためリバースペイメントと呼ばれる。

リバースペイメントが生じる原因として有力なのが、先発企業と後発企業との共謀である。後発企業がParagraph IV CertificationからParagraph III Certificationに切り替えることでジェネリック薬品の参入を遅らせて、現行薬の独占を続けることができる。示談になった場合、該当する特許の有効性について結論はでないため、たとえ特許が無効であっても独占状態は続くことになる。リバースペイメントはこの独占利得の分配と解釈される。

リバースペイメントが本当に反競争的なのかについては様々な意見があるが、ポイントはリバースペイメントの存在が違法行為を推定(per se illegal)するのかどうかである。リバースペイメントがほぼ確実に反競争的行為を示すのであれば推定が望ましいが、そうでないなら示談を推奨する意味での通常のRule of Reasonによる対応が望ましいということになる。

この件については連邦取引委員会(FTC)が以前に訴訟を起こして敗訴しているが、その時には司法省(DOJ)はFTCに反対していた。今回政権が変わったことによりDOJもFTC側に回り、議員から法案が提出されるにいたったというわけだ。

ブログにおける広告の規制

October 16th, 2009

連邦取引委員会(FTC)がブログにおける宣伝行動について発表した指針が波紋を読んでいる。

More transparency coming to blog reviews under new FTC rules – Ars Technica

指針の内容は以下の通りだ:

“Consumer-generated media” outlets (e.g., bloggers) will now have to disclose if they are being compensated by a manufacturer, advertiser, or service provider when they review an item.

ブロガーを一つとした消費者発信メディアにおいても、補償をうけて製品レビューについてはその情報を公開すべしというものだ。これには多くの問題が指摘されている。

  1. そもそも補償をうける(being compensated)が何を意味するのか不明確である(レビュー用サンプルを受け取ることは該当するのか。
  2. ルールが作られる過程に消費者メディア側の意見が取り入れられていない。
  3. オンラインとオフラインとの区別が恣意的である。
  4. そもそも言論の自由を侵害するのではないか。

2番目の問題が他の問題に深く関連している。消費者メディアにはわかりやすい代表団体がいない。参加者の数が膨大かつ利害が一致しないためだ。記事中では、Interactive Advertising Bureauという、ネット上での広告企業の団体がFTCを批判している。

さらにもう二点ほど重要な論点があるだろう。一つは規制をかけるとして誰に義務をおわせるのが適切かということだ。ブロガーが情報を適切に公開する義務を負うのと、製造者・広告主が義務を負うのとではどちらが効率的なのか。実際にエンフォースするための費用を考えるとブログの場合後者が適切なように思える。

二点目はそもそも情報開示を強制する必要はどこにあるのかということだ。お金をもらって製品レビューをすることがそれほど読者にとって望ましくないのであれば、それをしていない人がそれを明示するようだろう。これは財務諸表などの会計情報開示や会計監査がそもそも必要なのかどうかという問題と同じだ。実際オフラインでのこのような規制がない一因はこれだろう。例えばコンピュータ雑誌をみてそこのレビューを本気で信用するひとはいないだろう。雑誌には広告主がいるわけで信用する理由がない。逆にレビュー対象から一切広告を含めた収入を得ないことを売りにしている雑誌もある。別に言論の自由に触れるまでもなくこれで十分ではないかということだ。