レストランのチップ

ブランチを食べながら暇そうなサーバーを見ていたらチップについて書こうと思い立った。以下、アメリカのレストランについて(バーテンとかにはドリンクの難易度に応じて1,2ドル渡せばいい)。

チップの払い方

まず、チップ(tip; gratuity)を払うのはサービス料が含まれていない場合だ。18% of gratuity includedとか書いてある場合には払う必要はない。

チップの額は一般的に総額の15-20%とされているが、適当でよい。レシートに適当なチップの額が段階的に記載してある場合もある。本来、税引き前の請求額に対して計算すべきだが、あまり差はでないいので好きにすればよい。では何%がいいのかという話だが、本当に適当でいい。どうしても決めたければ15%にでもしとけばいいだろう。

後述するが、チップが全てウェイターに渡るわけではないので、ウェイターの態度だけで決めることはない

クレジットカードで払う場合には、伝票と一緒に渡す。するとお店がクレジットカードをスワイプしたあとにサインするための領収書を持ってくるので、そのうちの一枚にチップの額と合計額を書いて戻す(もう一枚は控え)。カードはその時点で財布にしまう。既にカードのデータはお店にあるのでチップを決定したあとにカードを渡す必要はない。勝手に好きな額請求できそうだが、クレジットカードの番号さえあればいくらでもできるので、他のカード利用に比べて危ないわけではない(実際ちょっと多めに請求する店はなくはない)。カードがとれなくなったら大抵の飲食店は終わりなので不正の可能性はほぼない。カード利用の場合にはフィーが掛かるので少し多めにしたければしてもいい。

ちなみにアメリカでクレジットカードが使えないレストランはほとんどない。一部の個人経営のお店程度だ。但し、10ドル以下では使えないとかいう(安い)店はあるので現金の保有量に注意(アメリカにいると現金は本当に持たなくなる)。あと20ドルを超える紙幣は普通の場所では使わない。100ドル札なんか安い店でみせたら、店を出てからつけられていてもおかしくない。

チップの分配法

よくチップというのはウェイターの評価のためにあると思っている人がいるが、渡したチップがウェイターの収入になるというのは不正確だ。大抵の場合、ジャーに集められてあとで分配されるので、自分のテーブルについたウェイターにあげるというわけではない。

The Truth Behind Tips | The Restaurant Blogger

Casual Dining

  • 3.5% to the kitchen staff
  • 96.5% to the waiter

一つのタイプとしてはチップをほぼウェイターで分け合う。この場合、チップはほぼウェイターに渡る。ウェイターが得をしているようにみえるが、店側はチップ収入の変動リスクを取らずに済む。また調理スタッフはサラリーなので問題ない。

Dinner

  • 3.5% of waiter’s gross sale when one person is on the floor
  • 3.0% of waiter’s gross sale when two waiters are on the floor
  • 2.0% of waiter’s gross sale when three waiters are on the floor
  • 1.0% of waiter’s gross sale when four waiters are on the floor

こちらのケースではウェイターの収入はチップの額に連動しておらず、総売上に連動している。但しウェイターの人数によってその割合は調整される。

これに加えてウェイターは固定給を受け取る。但し、普通の飲食店であれば、この固定給はチップを受け取る労働者(tipped employee; 基本的に月$30以上のチップを受け取る労働者)の最低賃金に近い。この最低賃金は通常の最低賃金よりも低く、連邦レベルでは時給$2.13しかない(通常は$7.25)。

但し、チップを通じた支払いを含めて一定期間ごとに通常の最低賃金を下回る場合には、雇用主が補填する必要があるので実質的な最低賃金が低いとは言えない。州レベルでこの額を積みましているケースや、カリフォルニアのように固定給を通常の最低賃金($8.00)以下にするのを禁じている州もある。

この給与体系を見れば、チップというのは基本的に客がウェイターを評価するためのものではなく、むしろレベニューシェアとしての要素が大きいことが分かるレストランは客の変動が大きく、客の数によってウェイター業務の負荷が大きく変わるため、チップという形で売上の一部を払うことで労務費を変動化するメリットがある(チップの額はサービスの質よりも売上に連動する)。チップを受け取る労働者の最低賃金が別枠で定められていることで、この変動幅が大きくなり使い勝手がよくなる(というかチップという形にしないとこの制度が利用できない)。

#写真はCC Attribution 2.0でこちらから。SapporoとかAsahiとかいってるけど私のレシートではありません。

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  1. ピンバック: [夕刊] 7月9日 アップルストア銀座でiPhone 開発勉強会 & オフ会やります!

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