Quoraを持ち上げる記事が日本語でも増えてきているようなので、逆に否定的な記事を取り上げてみる(ht @daihakusui)。
Why I Don’t Buy the Quora Hype
Quoraの利点については同じくTechCrunchの翻訳記事があるので見比べて読むと面白い。
The answer is simple: I think that Quora will continue to be an excellent resource if the same people who have been hyping it, and who have invested in it, keep posting their thoughtful answers.
Vivekの一番の論点は回答・回答者の質だ。Quoraは招待制であり、しかもシリコンバレーの有名人が多く参加しているため回答の質が異常に高いとして有名になっている。しかし、この回答(者)の質が維持できるような仕組みは用意されていない。
Silicon Valley is again drinking its own Kool-Aid; it is looking at the world through its own prism.
現在、著名な人々がQuoraで質問に答えている理由はQuoraが今ホットな話題だからであって、それが次の話題に移れば人間も移っていくと考えるのが妥当だろう。既にある分野で有名な人物が無料で他のサイトに出向いてまで質問に答えるインセンティブは少ない。
You can talk about your own products and services, and disparage others’; in other words, it is a spammers’ paradise.
もう一つの論点はスパムに対する対応だが、こちらは外れているように思われる。旧来のフォーラムであれ、SlashdotやDiggのようなニュースサイトであれモデレーションの方法はそれなりに確立している。モデレーションをコミュニティに頼るためには、まずコミュニティを作る必要があるが、その観点からすれば著名人を集めてとりあえず有名になるというQuoraの戦略はむしろうまくいっている(そこまでしなくてもスタッフを貼りつけておけばいいが)。
ここで興味深いのがスパムを含め回答の質が問題になっていることだ。普通Q&AサイトというのはAつまり答える側にメリットが少ないので適切な回答がつかないことが最大の問題だ。そのためQ、質問する側についてはルールが設定される一方、答える側はスパムでなければとりあえず許容されるのが普通だ。そのバランスは質問の分野や質問の難易度によって変わるのでバーティカルにもホリゾンタルにも分割してしまったほうがいい(ちなみにStackoverflowは一見バーティカルな分割のみだが、そもそもレベルの高いユーザー向けでしかもプログラミング以外にはSuperuserがあるので実質的には難易度による限定も出来ている)。
では何故Quoraでは回答の質ばかりが問題になるのだろうか。それはQuoraが基本的にQ&Aサイトではなく(ニュースの代わりに)質問をネタにした雑談サイトであるからのように思われる。雑談サイトでは、トピックについてしゃべりたい人がたくさんいるので回答の量自体には大した価値がない。
例えば、TechCrunchへの最新の質問を見れば、このどれもが一定の回答を求めた質問ではなく、むしろ2chのスレッドのようなものであるのが分かる。では雑談サイトでとしてはどうか。シリコンバレーや起業というキーワードに興味のある人向けの雑談サイトとしてはうまくいっている一方で、それ以外の分野へどうやって広げていくかという戦略は見えてこない。
#ちなみにdrink the Kool-Aidというのは怪しげなことを盲目的に信じるというような意味で、Kool-Aidは粉を溶かす飲み物です。