元ネタが2chですが在米日本人には馴染みの話題なのでご紹介:
佐川急便客なめすぎwwwwwwwwwwwww:ハムスター速報
佐川急便が荷物をガスメーターに置いていくとメモを残したという話だ。佐川のサービスは問題だという反応が大半だが、アメリカでは荷物を勝手に放置して消えていくのはごく普通だ。例えばUPSのページを見てみよう。
Learn About the UPS InfoNotice
これはInfoNoticeと呼ばれる要するにメモだ。適当に記入された状態でドアの前に張り付けていく。家に帰ってこれを見つけるだけで気分が悪くなることが請け合いの代物だ。しばしば風に飛ばされて地面に落ちてる。
最初の項目は送り主と何度目のトライかだ。1st・2ndのあとはファイナルだ。要するに三回とり損ねるともう配達してくれない。集積所まで取りにいくしかないが、車がないとどうにもならないことも多い。また、送り主によっては三回トライしてダメなら自動的に商品を戻してしまう(最初に発見した時点で二回め何てこともある)。
お次は曜日と時間帯だ。これは配達人が残すものなので、ここで曜日と時間を指定すると来てくれるというものではない。というかそもそもネットで買い物をして時間帯を指定するというのを見たことがない。一方的にチェックされた曜日(翌営業日)・時間(四つしか区分がない)に次来るよということだ。曜日は平日しかなく、大抵は真っ昼間に来る。火曜日に家に帰ったら水曜日の10時半から2時に次配達するからよろしく、とか言われるわけだ。
一応ネットで変更できるとあるが:
Note: Delivery Change Requests made after 7:00 p.m. will be processed the following business day up to the day of the final delivery attempt. Will Call (hold for pick up) requests may be made up until 11:59 p.m. to be processed the next business day.
7時以降の要求は翌営業日処理なのでもう遅い。この時点で二回取り逃し決定なので残りは一回で家にいても配達人に気づかなければ終了となる。
最後は置いていく場所だ。サインが必要でない荷物の場合はここでチェックされた場所に勝手に放置される。ドアがついていなくても屋根がなくても気にせず置いていく。本ぐらいは当然家の前に放置される。配達人が家を間違えることもあり、注文したコンピュータ部品が隣の家の玄関の前にあった台に放置されているのを発見したこともある。放置してその場所をとおりすがりの人が見えるような場所に書いていくので当然なくなることもあるが、集積所や送り主戻りになるぐらいなら置いてってくれと思うことのほうが多い。
ちなみに電話番号とか便利なものはないので配達途中で来てもらうことはできない。そもそも、仮に電話しても対応してくれることは想像できない。アメリカは電話で呼んだタクシーがいつまでたってもこないので再度電話したら「やっぱ無理!」とかいうサービス五流国だ。
では何故こんなサービスで成り立つかについてだが、いつもコメントを頂いているWillyさんの最新の記事及びそこで紹介されている海外ニートさんの記事に答えが書いてある:
「自分が奴隷のように働かなくていい反面、受けるサービスのレベルも低い」
お客様wとして過度なサービスを求めるから、働く側になった時に過度に働かなくてはならないという罠w。
働く側も客が神様となんて欠片も思っていないし、客も自分が神様扱いされるとなんて思っていないという話だ(そもそも一神教が大多数なので神様は神様であって何か別のものが神様なんて発想自体ない)。サービスの質というのは複数均衡になっている。サービスが高いのが当たり前だとみんなが思っているとサービスの低い店ははやらない。だから企業はサービスのできない人間を雇わない。そしてその労働者は自分が消費者のときに高いサービスを要求する(全ての場所で同じレベルを要求しなければこうはならないのだけど…)。
配達の例はちょっとどうにかしてくれよと思うが大抵のことは慣れればなんでもない。レジ係が不機嫌そうでも給料の低さを考えれば何とも思わなくなるし、郵便局でNext!!!!とか呼びつけられてもそういうもんだと思えばどうってことはない。サービスレベルの高い社会というのは住みやすくていいものだとは思うが、何事も極端なのは効率が悪いだろう。日本がいい仕事さえあれば最高に住みやすい場所だってのは何も偶然ではないわけだ(注)。
(注)こういう記事を書くとじゃあ日本に帰らなければいいという的外れな批判がなされるが、海外との比較を通じて日本社会をよりよくしようという考えが重要だ。個人的にはこういう問題を考慮した上でも最終的には日本に住みたいかなと思う(どうなるかは分からないが)。
コメント関連の追記
- 「車がないとどうにもならない」車を持っていたらフードスタンプを貰えないとか言う制限はあるのだろうか:これはないはずですが、車の必要性が薄い地域だと問題になります(まあアメリカにはほとんどありませんが)。
- 単に米の労働者は組合等に守られているためにサービス向上が成されないだけのような:アメリカの労働組合組織率はかなり低いです(参考)。政府部門が比較的小さい影響で数字が小さくなる傾向もあると思いますが。
>サービスの質というのは複数均衡になっている。
確かにそうですね。いいサービスがアタリマエという感じはこれっぽちもないです。寮は荷物関係は常に受付止めで100%受取ですが…
*****
英国アマゾンの無料配送は通常郵便局Royal Mail利用で、Royal Mailは機械を近代化すると俺らの仕事が無くなるからマジやめろと言って最近ストしました。ここ半年で郵便局、地下鉄、鉄道の皆様がストを断行されました。航空は未遂に終わりましたが。英国人はスト大好きなんですね、分かります。
>Royal Mailは機械を近代化すると俺らの仕事が無くなるからマジやめろと言って最近ストしました。
現代のラッダイトか。。。この前郵便局いったら窓口の人がみんな歩くのも大変レベルに太っててびっくりした。
スーパーだとセルフ・チェックアウトに(あれば)行きますが、読み取り機械がエラーで値段急上昇w、投入金・おつりが機械に詰まることもあり、レジ係なしでもなかなか手ごわいもんですw。お腹にたまらない食事(フライドポテトやパン類)が少なくないので、皆さんお腹がすいてて結構な量を「つい」食べてしまう気もします。
セルフチェックアウトはないなぁ。賃金が安いからかな。IKEAでしか見たことがない。
こちらはお腹にたまらない食事だおるが量が圧倒的なので皆様お腹いっぱい。
引用ありがとうございます。私の住んでいる所では家に人がいるか否かにかかわらず配達員は荷物をおいて「ピンポンダッシュ」が基本です。以前ウィスコンシンにいた時は約100世帯が入居しているアパートの建物に住んでいたのですが、建物の玄関からインターコムがかかってきて、取ったらすぐに切れました。「おかしいな?」と思って玄関まで行ってみたら、外に荷物がおいてありました。
私はアメリカで働くことになっても退職後は絶対日本に帰りたいですねw
>私の住んでいる所では家に人がいるか否かにかかわらず配達員は荷物をおいて「ピンポンダッシュ」が基本です。
これはw。友達が、インターコムで出て行ったら遅いって切れているタクシー運転手について愚痴ってました。
>私はアメリカで働くことになっても退職後は絶対日本に帰りたいですねw
若いうちは面白い!と思っても数十年後とかはちょっと想像しにくいです。まあうちの街は特に変わったところですが。
海外ニートさんの指摘はいちおう納得なんですけど、はたして労働者の負担をなくすと「礼儀正しい」サービスは維持できなくなってしまうものなのでしょうか。
日本のサービスレベルを保ちながら、労働環境もよくなるというのが、当然理想です。
日本人が少なくとも表面的には丁寧で礼儀ただしいというのは文化のせいであって、子供の頃から学校なんかの上下関係でそういう価値感を叩き込まれたり、悪く言えば洗脳されているからなわけですよ。そういう生き方が出来ない人は、(僕みたいに)落ちこぼれてしまい、日本社会の表にいなくなるという選択の効果もあるだろうし。
言ってみれば、日本のサービスレベルを支えることができるような礼儀や従順を良しとする「倫理観」をもった日本人は、劣悪な労働環境を押し付ける企業でも堪えて働き続けられる、ということかもしれないですよね。それなら、労働環境が良くなったらサービスレベルが落ちてしまう、ということにはならない。
だいたい、アメリカ人に日本の労働環境を与えればサービスレベルが上がるかといえば、そうはならないわけで。「Next!!」のぶっきらぼうさが罵りに代わり、さらには客に唾を吐きかけたりし始めるんじゃないでしょうかねえ(笑)。
確かに議論としては穴がありますね。
>言ってみれば、日本のサービスレベルを支えることができるような礼儀や従順を良しとする「倫理観」をもった日本人は、劣悪な労働環境を押し付ける企業でも堪えて働き続けられる、ということかもしれないですよね。それなら、労働環境が良くなったらサービスレベルが落ちてしまう、ということにはならない。
えーと、劣悪な労働環境にも堪える労働者ばかりだと、雇用主が労働環境を改善することがないという問題はあります。
これをある程度政府の行動なんかで変えてやることはできそうですが、例えば休日出勤を行い休日も対応できる企業が有利になってしまうかもしれません。客が望む限り。
>「Next!!」のぶっきらぼうさが罵りに代わり、さらには客に唾を吐きかけたりし始めるんじゃないでしょうかねえ(笑)。
新しい均衡へw。
Rionさんの考えの前提として、サービスの提供者側の条件だけでなく、顧客側の支払うコストって視点はありますか?
本来は、高けりゃ良いサービス=無茶を言っても可。
安けりゃそれなりのサービス=文句言うなら金払え。ってのが正しいような気がします。
なので、サービスへの対価に関する感性というのが、結構重要なのでは。と感じました。
正直、個人的には、おんなじコストなら、おんなじサービスになってくれるものと期待してしまいます。
とはいえ、最近ですと、客単価500円のお店でも、客単価10,000円のお店でも、同じサービスレベルを要求するような方もいらっしゃるようですが…。
顧客満足なんて言葉が流行り、その上、企業側の取り組みが突っ走った結果、必要以上にサービスレベルを要求しても良いという常識が定着する。
なんていう悪循環を感じます。
>サービスの提供者側の条件だけでなく、顧客側の支払うコストって視点はありますか?
これは微妙な論点ですね。私は顧客がコストを支払っているという考えはあまりありません。顧客はあるサービスを受けるために必要な金額を支払い、それが大抵の市場ではコストに関係しているというのが正確な表現になるでしょうか。
>なので、サービスへの対価に関する感性というのが、結構重要なのでは。と感じました。
サービスにもいろいろあるという意見が共有されれば状況は変わりそうです。
>とはいえ、最近ですと、客単価500円のお店でも、客単価10,000円のお店でも、同じサービスレベルを要求するような方もいらっしゃるようですが…。
安くてサービスの低いお店が流行りだせばそれに価値を見出す人もでてくるはずです。しかし今度は労働者が安くてもサービスをする人ばかりなので、企業はサービスを下げても別にコストが下げられず安くならないというサイクルになりますね。外国人労働者からそれが崩れそうです(語学面で明らかにサービス水準が低いですから)。
>顧客満足なんて言葉が流行り、その上、企業側の取り組みが突っ走った結果、必要以上にサービスレベルを要求しても良いという常識が定着する。
経済の中の一人・一企業が何かしようとしても解決する見込みはないですね。やはり外国人労働者の増加が解決(?)の糸口でしょうか。
曜日指定のところにあるリンクをたどると、届けてもらう側が追加コストを払うことで、再配達時の日時指定等が出来るようです。たとえば企業や非単身家族とか配達時に確実に家にいる人と、そうでない人との差別化戦略と考えたほうが(単にアメリカのサービスの悪さに腹を立てるよりも)経済学的には面白いのでは?特にUPSのような大企業はあざといと思いますし、アメリカのサービス業の「生産性」が高いのも、あざとく金をとってるからかと。
>届けてもらう側が追加コストを払うことで、再配達時の日時指定等が出来るようです。
普通のオンライン店舗では日本のようには一般化されていないように思います。
>たとえば企業や非単身家族とか配達時に確実に家にいる人と、そうでない人との差別化戦略と考えたほうが(単にアメリカのサービスの悪さに腹を立てるよりも)経済学的には面白いのでは?
えっと、まず別に腹を立てているわけではありません。あと経済学的に面白くても荷物は届いてくれないと困ります。
差別化ということもできますが、そこよりも基本的な水準の日米間の差のほうが面白いと思い記事を書きました。
>アメリカのサービス業の「生産性」が高いのも、あざとく金をとってるからかと。
生産性の計りかたにもよりますね。価格差別があざといと言えるかは時と場合によりますね。社会余剰は増える事が多いので一概に敵視はできません。
カナダはアメリカよりずっと感じ良いですよ。「ネェ~~~グズト!!」とかまず聞かないですし。レジ係もみんな機嫌良いですね。バス運転手もナイス、運転手と乗客が互いにサンキューって行ってるくらい。福祉の違いが影響するのでしょうか?
まあそうでしょうね。最低賃金や移民の数、教育水準までいろんなことがきいてくると思いますが、均衡が複数あるならどれになるかは経路依存でしょう。