マイクロファイナンスが話題になって暫くだが、今度はマイクロパトロンが出てきたそうだ。
Dollar by Dollar, Patrons Find Artists on the Web – NYTimes.com
取り上げらているのはKickstarterというスタートアップ。プロジェクト毎に出資を募るという点では、Kivaのような寄付を募るサイトに近いが、ここでは出資額に応じて商品・サービスを受け取ることができる。プロジェクトは主にアーティストによるもので、レコーディング費用を募り、出資には成果を先に届ける・ライブで演奏する・食事を振る舞うなどクリエイティブな見返りが約束される。
このビジネスの素晴らしい点は:
- クリエーターとユーザーの距離が近いため、クリエーターがユーザーの望みをよりよく知ることができる。
- 必要な金額がコミットされるまでプロジェクトは実行されないため、クリエーターがリスクを回避できる。
- クリエーターは成果物に関する権利を完全に保持できる。
- CDとコンサートといった定型的な商品だけでなくいろいろな見返りを用意できるため今まではなかった取引が可能になる。
- そのような見返りは金銭的には小さくとも一部のユーザーにとっては非常に高い価値を持つため効率的。
- 以上の仕組みを標準化されたフレームワークで動かせる。
これらの利点は既に成功しているアーティストにはあまり関係ないが、アマチュアで創作に励んでいる人たちには大きな助けになる。現状では、音楽業界なら次のようなキャリアステップがあるだろう:
- 自分の時間でアマチュア活動をする:投げ銭の類を除けば、あらゆる費用はアーティストの負担である。
- 仕事をやめプロになる:途端に収入源が創作活動のみになり非常に大きなリスクを負う。
- 大手レーベルと契約する:相対的な交渉力の欠如から著作権・演奏権などにおいて不利な契約を提示される。
このようなサービスの登場により最初の段階での費用の低減、二段階めでのリスクの低減、三段階めでの立場の向上が可能になる。
現在は収益をあげているわけではないが、アーティスト側、パトロン側をある程度集めることで課金を行うことは将来的に可能だろう。