タックスヘイブン

タックスヘイブン(租税回避地)による税収減についてEuropean Financial Service Technology Newsから:

Tax havens: Keeping the rich richer whilst devastating the poor

The cost of tax havens' from Financial Services Technology

The cost of tax havens' from Financial Services Technology

特に開発途上国における国外への不当な資金流出による税金ロスは先進国による援助の十倍に渡るという部分は刺激的だ。アメリカにおいては一千億ドルの税収ロスだとされている。

しかし、租税回避の問題はタックスヘイブンには止まらない。大統領選の際にはアメリカにおける法人税の高さが議題の一つに上がった。アメリカの法人税は35%で他の国々に比べて高すぎるというものだ。しかし、実効的な税率を計算するとアメリカは全く税率の高い国ではない:

Corporate Tax Revenue As % of GDP from the Wonk Room (Think Progress)

Corporate Tax Revenue As % of GDP from the Wonk Room (Think Progress)

法律上の税率は35%でもGDP比でみれば2%強に過ぎず日本と大差ない。これは税法上の抜け道によるものだ。例えば、多くの企業は設立してからしばらく全く利益を生まない。この間の損失は繰越税金資産(deferred tax asset)として計上して、将来利益が出た場合に相殺する。このように様々な方法で税金の支払いを避けることができる。タックスヘイブンが絡むような国際取引においては、移転価格を利用してより巧妙に租税回避ができる。

結局のところ、法人税・所得税という枠組みで基本的税収をまかなうのは無理があるように思う。そもそも利益という多くの場合社会的にプラスである指標に税金をかけるというインセンティブ上の問題に加え、会計上定義が難しいという問題もある。徴収が簡単な消費税や、外部性対策にもなる炭素税のようなものに出きるだけシフトしていくことが必要だろう(そもそも途上国では国民の所得の正確な把握が困難であり直接税は適さない)。