電力市場における消費者保護について良質な記事があったので紹介:
Is consumer protection lacking in Texas retail electric power market? « Knowledge Problem
The two customer hardship cases described in the story – a heart patient who relied upon an oxygen machine, a paraplegic – both lost power after failing to make payments.
ここで取り上げらている問題は、電力会社が支払いの滞っている契約世帯への配電を止めていることだ。特に心臓病患者に対する電力供給停止のケースが大きく取り上げられている。
the article doesn’t link the heart patient’s troubles to any shady practices.
しかし、それらのセンセーショナルなケースについて電力会社が規則を破っているという報道はなされていないことが指摘されている。これはもっともで、いかに(テキサスのように)自由化されても電力市場には数多くの規制が正当な理由で行われている。
The paraplegic customer’s power company was among the five companies bankrupted by high wholesale power prices, but he only lost power after he failed to pay a deposit to the new company to which he had been assigned by the state’s transitioning policies.
特に取り上げられているケースにおいての詳細が記されている。患者は電力卸売市場の価格高騰により破産した電力会社から新しい電力会社へ州の規則で移行している。しかし新しい会社へ保証金を支払っていないため電力が供給されなかったとのことだ。ちなみに卸売市場の高騰により価格規制を受けている小売電力会社が潰れるのは電力市場においてはよくある失敗だ。新しい電力会社にとって患者はそもそも客ではなく、お金を払えない客への供給は無理に止めたというのは言い過ぎになるだろう。
But this news article mixes in stories about the hardship of being poor with problems of PUC licensing review, various other regulatory policy discussions, and numerous but not-well-detailed customer complaints.
最後に著者のMichael Gibersonは、貧困問題をライセンス・規制・消費者保護政策とをごちゃ混ぜにして論じることに警鐘を鳴らしている。
この間違えは様々な政策分野で見られるものだ。電力市場の例では、自由化された市場において企業は規則にしたがって競争を行っている。もし消費者保護をしたいのであれば規則に盛り込むべきであって、事後的に取り上げるのはおかしなことだ。また、支払い能力がない所帯に対する電力供給の問題はそもそも所得が足りないことが根本的な課題だ。直接所得補填を行うほうが効率的な対策となる。