親の収入や学歴が子供の教育水準に影響するというのはよく知られた話だが、家にある本の量の方が予測力が高いそうだ:
Book owners have smarter kids – Laura Miller – Salon.com
growing up in a household with 500 or more books is “as great an advantage as having university-educated rather than unschooled parents, and twice the advantage of having a professional rather than an unskilled father.
子供の教育年数に対して、500冊以上の本がある家で育つことは、親が大学教育を受けていることや、専門職で働いていることと同じレベルの効果をもたらしているそうだ。
simply giving low-income children 12 books (of their own choosing) on the first day of summer vacation “may be as effective as summer school” in preventing “summer slide”
夏休みに12冊の本を渡すだけで、低所得の家庭の子供が遅れを取るのも防げるそうだ。これは夏休み学校に行かない期間が長く続くことによって家庭環境の差が子供の成績や生活に強い影響を与えるという問題を解決しうる。
しかし、本を買うのが非常に困難というほど低所得の家庭は少ないし、図書館では無料で本が借りられる。これだけの効果があるならどうして本へアクセスできない子供が多いのか。
Most likely, books and reading feel like the privilege and practice of an unfamiliar world: a resource that’s out there somewhere, but not entirely accessible.
その答えの一つは、本を買って読むという行為が異質なものとして捉えられていることにある。要するに本屋や図書館に行くのに気後れするということだろう。
As homey as a bookstore or local library branch might feel to you or me, they can make other people feel insecure, out-of-place and clueless.
著者はコミックを友達に買ってきてもらおうとしたときにこの感覚に気付いたという。初めてクラブやバーに行った時の感覚に近いだろう。そこがどんな場所かも知ってるし、高すぎるというわけでもないのに何か浮いているように感じるものだ。
もしこういった気後れが原因で子供に読書の機会が与えられないのであれば、本を家庭に配ったり、親子で本屋や図書館に行くような機会を作ることは効果的な作戦となる。
ピンバック: Tweets that mention 本のある環境: 親の収入や学歴が子供の教育水準に影響するというのはよく知られた話だが、家にある本の量の方が予測力が高いそうだ: Book owners have smarter kids – Laura Miller [.
「本があると賢くなる」というのはSteven D. Levittが「ヤバい経済学(Freakonomics)」の中で「本がある事自体じゃなくて、本を買い与えるような親が子どもを賢くする」と結論づけているのと対照的な結論ですね。それにしても、この著者の目の付けどころは面白い。
お、ブログ上でコメントとは珍しい。「本がある事自体じゃなくて、本を買い与えるような親が子どもを賢くする」が常識的な結論ですが、そうじゃない可能性もあって、これを分離するには特別なデータか実験が必要になりますね。この記事のネタ論文がどうやっているのかは興味深いところ。
はじめまして。アメリカ人文系博士課程在学中のものです。ブログ楽しく拝読しています。私はTAでWritingのクラスを教えているのですが、たまたま副読本としてFreakonomicsを使っています。そこでは、たしか「家に本がある」というのは、「親の経済状況や教育程度を示す指標」であって、そういった家の子供は、親が助けようが助けまいが、親と同じような階層に落ち着く可能性が高い、と言っていると理解していたのですが。つまり、「子供が賢くなるかどうかは、親の助力とはあんまり関係なく、親の経済力と教育程度(さらには遺伝子)による」というのが、Levitt and Dubnerの論で最もprovocativeな部分で、多分、コメントされている方も同じことをおっしゃっていると思うのですが、「親が子供を賢くする」と書くと、「親の能動的な努力が(ほぼ)無駄である」というFreakonomicsの議論とは、ややずれてしまうような気がして、ちょっとコメントしてみました。
いずれにせよ、「気後れ」の部分に注目しているのは、面白いですね。経験的に見て、大学に入って勉強について行くのに苦労するAfrican Americanの生徒たちなどを見ていると、心理的な要素というのは結構大きいと感じます。あくまで経験論ですが。
NurtureよりNatureというのは実証的にはよく知られていますが、本を持っているというのはその両方に関係している指標ですね。
うち大学だとアフリカンアメリカンが非常に少なくかつアスリートが多いため、成績で悩んで診療所に通う人も多いそうです。
横からすみません。
> NurtureよりNatureというのは実証的にはよく知られ
という点、natureのほうがより重要な役割を担うということが既に実証で示されているのですか?
ポテンシャルという意味でなら当然でしょうが、ポテンシャルをどう測るのか自体も難しい気がするのですが。
一卵性双生児の追跡調査などから、生まれの親の影響が支配的だというのが一般的な認識になっているかと思います。今度何か記事に出来そうなものがあったら紹介します。
パフォーマンスの指標は成績、通学年数、所得何かだったと思います。
元記事は,Los Angeles Times Festival of Books のことに触れていましたが,これは毎年四月末にUCLAキャンパスである本の展示会のことです.書店や出版社のブースがたくさん出ています.参加者は13万人とかで,南カリフォルニアの本好きの人たちが集まってきます.
まったく同じ日に,ロサンゼルスのダウンタウンでは Cinco de Mayo のフェスティバルが行われていて,こちらの参加者は50万人以上になるそうです.アメリカでは一番大きい Cinco de Mayo のイベントで,メキシコ系の人はもっぱらこちらに行くようです.
ブックフェアはいったことないですね。一度顔を出してみたいです。Cinco de Mayoのフェスティバルより興味があります(笑)。
Palo Alto在住のうちの子は、毎週、図書の時間があって、毎週一冊、本を借りてくるようになっています。また、Book Exchangeというイベントでは要らない本を交換することになっています。こういった授業や行事は子供に本と触れる時間を作るのに役立っています。他の州でもおこなっているのでしょうか?
子供はいないので、あまりよく知りませんが、それなりにいい学区でないと難しいかもしれません。
本に馴染みを持ってもらうのは大事だと思うのでそういう仕組が増えるといいですね。