Google+とアイデンティティ

最近、IT関係のサイトでよく見るこの話題。もとになっているのはエリック・シュミットの以下の発言。

He (Eric) replied by saying that G+ was build primarily as an identity service, so fundamentally, it depends on people using their real names if they’re going to build future products that leverage that information. 

GoogleはGoogle+を個人のアイデンティティ・サービスと考えているということ。そして実名というアイデンティティを利用するのが一番生産的だと述べている。しかし、もし生産性が理由ならユーザーは実名を強要しなくても自分から実名を利用するはずであって、実名制を取る理由にはならない。

ではGoogleはなぜ実名制を採用するのか。Googleが実名を使うことがGoogleにとって(広告を売る上で)利益になるからだという意見もある。だが、これもやはり的を外している。Googleにとって必要なのは各アイデンティティが誰に紐付けされているかであって、ユーザーが実名をGoogleに明らかにしている限り、実名を表示してサービスを利用してもらう必要はない。むしろGoogleだけが実名を知っているほうが都合がいいだろう。

実名制を採用する一番の理由は戦略的なものに思える。Googleは何かを消費者に提供するとか、このサービスで自分の利益を伸ばすといったことを主眼に置いているのではなく、Facebookと競争するということを目的にしているのではないだろうか。もしGoogle+が多くのユーザーを獲得し利益につながったとしてもFacebookがそのままならGoogleの目的は達成されるとは思えない。

若年失業・薬価問題

econ101.jpに経済関係で二つの記事を追加しました。ぜひご覧ください。

ドイツでは新薬はなし?

イーライリリーとベーリンガーインゲルハイムが共同で商業化している新薬はドイツでは流通しないかもしれない。それも商業的な理由でだ。…

ポルトガルからの脱出

不景気の中でポルトガルから脱出する人が増えているというニュース。「失われた世代」の移住先は、もはやヨーロッパでもアメリカでもない。…

AT&TとT-mobileの合併は問題なのか

経済学サイトの方に経済記事を追加しました(しばらくこちらでもアナウンスします)。今週発表されたAT&TとT-mobileの合併差し止めに関する記事の紹介です。

AT&TとT-mobileの合併は問題なのか

AT&TとT-mobileというアメリカの大手キャリア2社の合併に対して司法省(DOJ)が待ったをかけた件についての記事がいくつかのブログに上がっている。…

ブログが本になりました

長らくブログの更新が止まっていましたが、この度、本ブログの記事からITに関するものを中心に加筆修正、追加を行い出版させて頂くことになりました(タイトルについては出版社で決めて頂きました)。

思うところがあり(※)、大学を休学してしばらくいろいろな仕事をし、現在はフルタイムでマーケティングをやっています。アカデミックなキャリアに戻ろうという気は今のところないので、経済に関する本になるということでいい区切りかなと思います。この点は、案件を進めていただいたピーチプレスの桜井さんとインプレスの畑中さんに感謝です。

今後、このブログは個人ブログとして自由に更新していき、経済学に関するコンテンツを新しいドメイン(econ101.jp)に追加していく予定です。後者に関しては、Twitterを通じて知り合った安藤至大さんと企画しているもので、経済学の理解を広めるためのプロジェクトとして運営していきます。是非そちらもご覧くださいませ。いい加減(経済関係もそうでもないものも)ネタがたまりにたまっているので面白いことが書けそうです。

(※)単位落としたとかではないです。