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アマゾンのソーシャル化

September 2nd, 2010

Appleが音楽SNSであるPingを発表した裏で、アマゾンが著者のためのページを提供するとのこと。

アマゾン、著者自らが最新情報を掲載できる「著者ページ」

著者ページから動画コメントなど近況の更新が可能なようだ。普段ソーシャルネットワークを使っていればこれが何かに似ているのは直ぐ分かるだろう。

Facebookのファンページだ。上のスクリーンショットはLady Gagaのページだが、このように有名人やブランドなどがまるで個人であるかのようにファンページから情報を発信している。個々のユーザーは上にある「いいね!」ボタンで支持を表明したり、掲示板に書き込んだりすることが可能だ。

おそらくAmazonが著者ページを作る理由は書籍の世界でこのようなネットワークを構築するためだろう。Amazonには既に熱心にリストを公開したり、レビューを投稿したりするユーザー大量に存在している。著者をこのシステムに加えることにより、Amazonのプラットフォーム(Amazonは読者と著者を結びつける場だ)としての価値を高めることができ、またAmazonで実際に購入しなくてもユーザーに関する情報を収集することも可能となる

将来的にはユーザーに自分のページで読んだ本を公開させたり、推薦させあったりするようなフルフレッジドなニッチ向けソーシャルネットワークになっていくだろう。本を熱心に読み、わざわざ感想を公開するような人はFacebookを常時利用する層とは異なるため効果的な作戦だ。もちろん書籍のソーシャルネットワークだけで足りる人はいないだろうから、Facebookを含め既存のプラットフォームと相互に連携する仕組みを立ち上げるだろう。

IDをめぐる争い

August 31st, 2010

最近、Skype、Google Voice / Phoneといったインターネットを使った通話に関する話題が(十年ぶりぐらいに)盛り上がっている(Cisco、Skype買収に名乗りか)。この背景にあるのはユーザーのIDをめぐる熾烈な競争だ。

電話番号は死んでいる、気付いていないだけだ

電話番号は長年、個人のIDとして機能してきた。ある人にコンタクトできるということは直通の電話番号を知っていることである。携帯電話は、その属人性と統合されたコンタクトリストによって固定電話を主たるIDの地位から追い落とした

AT&T、Verizon、Apple、Googleらがこの夏一杯を費して、世界征服の計画を模索している一方で、われらが愛しいキャリアーたちに決定打を与える絶好の位置にいるのは、Facebookのようだ。始めにまずあの電話番号から。

ここではFacebookが電話番号の地位を脅かすという予想が行われている。確かに、Facebookは個人と個人とをつなぐシステムとして動作しており、ダイレクトメッセージ機能はほとんどメール代わりに使われている。チャット機能もあり、電話機能を実装する日も近いだろう。

しかし、Facebookが(携帯の電話番号にかわる)主たるIDとなるかについては大きな疑問がある。その理由は上の記事においてFacebookが推されている根拠を見れば分かる:

  1. 制御不能 誰でもその10桁をダイヤルできる。別れた彼女も、選挙運動員も、押し売りも。番号非掲載、ナンバーディスプレー、着信拒否リスト等々でこの問題を解決しようとしたが、いずれの方法も望まれない電話を防いでくれない。
  2. 電話番号は人ではなく電話機と繋がっている。誰もが複数の番号を持ち、家の電話は共用なので、かける側は接触する方法を推量するはめになる。
  3. ユーザー体験が非常に限定される。電話は、番号をダイヤルして、会話をするための道具として設計された。誕生以来未だにそうなっている。それ以外の体験には適していない。留守電や三者通話が面倒なのも、フライト状況を調べると歯の神経を抜くよりひどい目にあうのはこのためだ。

まず、制御機能の有無だが、電話が望まれない電話を完全に防がないのは技術的に不可能だからではなく、それが不都合だからだ。Facebook式にしたいのであれば最初の通話は取らずメッセージを聞いて知ってる人ならアドレス帳に追加、知らなければブロックすればよい。それでは不便すぎるだろう(コールドコールだって有益なことはある)。

電話番号が人ではなく電話機につながっているのは確かだ。固定電話はある番号がある人につながるわけではないので携帯電話に大きく劣った。しかし一つの人間が複数のIDを持つことには大きな不都合がないばかりか、必要なことでもある。仕事とプライベートを分離はもちろん、さまざまな用途でIDを使い分けたいということは多い。

最後のユーザー体験は何をいっているのか良く分からないが、携帯電話の機能・ソフトウェアの問題だろう。

逆に当分の間電話番号が主なIDとして使われ続けると信じる根拠も多くある。若年層においてはSMSの利用が相変わらず盛んなことはその一つだ。SMSでは電話番号がIDとなっている。またスマートフォンが普及しそこでFacebookを含め多くのサービスが利用できることがこのような議論の前提であるが、スマートフォンにはデフォルトで電話番号というIDがついている。携帯端末で誰もがFacebookにログインしてコミュニケーションをとる未来よりも、Facebookは一つのIDとして利用し(Facebookには一人一つしかIDがない!)重要な相手は電話番号をキープするという未来のほうが想像しやすい。

Twitterへ斬り込むFacebook

August 11th, 2010

FacebookがTwitterとの連携を強めているようだ。

FacebookからTwitterをアップデート

Facebook近況アップデートを選択的にTwitterへと流す仕組みが公開されている。Facebookのパブリッシャーは近況(ステータス)だけでなく、リンク・写真・動画などをフィード・掲示板に流すことができるので、その中で必要なものを選ぶということだ。パブリッシャーの機能はアプリケーションで拡張することもできる。

もちろんFacebookの狙いは、Twitterへの投稿をFacebookへの投稿の一部とすることだ。現状ではTwitterの更新をFacebookに自動投稿することはあっても逆を行っている人は少ない。FacebookからTwitterへのチャンネルを作ることで、メインで使うプラットフォームをTwitterに移行するユーザーを引きとめようということだろう。

Facebookがこの機能でTwitterの領域へ本格的に手を伸ばそうとしているのは、今のところ「ファンページ」にしかこの機能が提供されていないことにも表れている。ファンページとは企業や芸能人のための特殊なプロフィールだ。いわば法人や芸名に相当し、ほぼ個人のプロフィールと同じように使うことができる。

しかし、ファンページでは「友達になる」の代わりに「いいね!」(Like)というボタンがついていて閲覧者が一方的に支持を表明できる。これは相互の承認を必要しない点でTwitterのフォローに似ている。

一対多の関係はFacebookでは成立しにくい、有名人とそのファンというブロックを囲い込んだ。

Wave開発中止のポイント」で述べたように、Twitterが独自のプラットフォームとして成立したのはこの一対多という新しい関係を提示したためであり、Facebookはそれに対してファンページにより「有名人とそのファン」的なつながりを作って対抗しているわけだ。そのファンページにTwitterとの連携機能を加えることはこれをさらに進めるものだ。

Facebookには以前よりファンページによく似た機能としてグループという仕組みを提供してきたが、最近ファンページへと比重を移してきており、ファンページを推進していく強い姿勢が窺える。

Twitterのこの性質は、個人が一種の有名人となりファンを獲得するという環境を提供し、それにのった「プチ」有名人が次々にファンを呼びこむことでTwitterは拡大した。

ただ、この作戦がすんなり進むとは限らない。その理由は個人のプロフィールと著名人・ブランドのファンページという区別だ。Twitterは個人も企業も区別せず一対多のコミュニケーションを提供する。そのため個人が自然に一対多の関係を築いていくシステムが出来上がった。Facebookのファンページも個人で作成できるが、それは個人のプロフィールの延長線上にはない。あくまで個人レベルでの繋がりは相互的な友達関係、企業・ブランドと個人とのは一方的な支持関係という区別は残ったままだ。既に有名な人であればこれでいいが、普通の個人がいつのまにかブランドを作っていく環境にはなっていない。

Wave開発中止のポイント

August 6th, 2010

GoogleがWaveの開発中止を発表したのニュースになった。では何故上手く行かなかったのだろうか。

Google’s struggles

Google’s struggles both with Wave and also with Buzz and Knol are that these are ventures with strong network effects and so that technology adoption is a great challenge.

Wave、Buzzであれば、FacebookやTwitter、KnolであればWikipediaと非常にネットワーク効果の高い市場を相手にしている。既に相当のユーザーがいなければサービスの価値はほとんどない。

それに対して成功したGoogleの製品の多くは強いネットワーク効果がない。広告であればユーザーが少なければ価格が低いだけだろうし、GMailやGoolge Doc (App) にしてもファイルレベルでの互換性は取れる。MapやReaderにいたってはスタンドアローンで利用出来る。

For Facebook, it was college students. For Twitter, it was celebrity following (this is a form of connectivity through a ‘star’ graph — the star being a source of many connections).

ネットワーク効果の強い業界への参入には、関連性の強い「ブロック」をおさえることが必要だ。Facebookは大学生をターゲットにした。学生にとって他の学生とのコミュニケーションは極めて重要であり、しかもそのやり取りの多くはそのグループ内で終わる。大学生だけ押さえればとりあえずはサービスとして価値が出てくる。そして大学生というブロックを確保し、そこから広がっていった大学生という集団が卒業という形で自然に拡散していく点がこの発展を後押ししたわけだ。

TwitterはFacebookによってすでに固められた友達関係という繋がりを使わなかった。友達という性質上双方向的な関係ではなく、フォローによる一対多の関係をネットワークの基本としている。一対多の関係はFacebookでは成立しにくい、有名人とそのファンというブロックを囲い込んだ。Twitterのこの性質は、個人が一種の有名人となりファンを獲得するという環境を提供し、それにのった「プチ」有名人が次々にファンを呼びこむことでTwitterは拡大した

For Wave, Google tried to do this by having invites and referrals initially.

GoogleはWaveで招待制度を使うことで人間関係をサービス内に模倣した。Waveのユーザーは最初から知り合いと繋がっているということだ。

Put simply, those people were already connected and Wave didn’t offer something that was interconnected or of extra value

しかし、この「つながり」はブロックとしては利用できない。何故なら、その人間関係は既に成立している=つながっているからだ。Twitterのように知らない人と繋がるという機能には欠けるし、Facebookのように昔知っていた人を見つけるということもない。既存のネットワークに比べて新しいコネクションを提示できなければユーザーは留まらずいつまでたってもネットワーク効果は発生しない

つまり、Google Waveの一番の問題はネットワーク効果の強い市場において、まず確保するブロックを特定しそこから広げていくという戦略に欠いたことだ

But Google needed to have interconnectivity from the start and a strategy. Wave seemed to have promise as a one stop shop.

さらに既存の競合サービスとの接続も万全だったとは言いがたい。Twitterのように棲み分けを狙うのであればまだしも、全てを包括する機能を提供する=競争相手をひっくり返すのであれば可能な限り互換性を取る必要はあっただろう。

ただ、この事例がGoogleの評価にマイナスかというとそうでもない。むしろ、強い競争相手のいる市場でもとりあえず動く製品で参入してみるのは重要であるし、それがうまくいかなければ直ぐに撤退するという判断も的確だろう。次の試みに期待したいところだ。

Openbook

May 28th, 2010

ソーシャルネットワークねたが続きますが、Openbookというのは新世代のオープン型ネットワークではなく、Facebookのパロディだ:

Openbook – Connect and share whether you want to or not

OpenbookはFacebookで全世界に公開されているステータスを検索できるサイトだ。上のスクリーンショットでは「おはよう」を検索してみた(ちなみにRecent Searchesにある日本語は私が入力したものではない)。日本人以外にもなかなか人気の単語であることが分かる。Facebookにしては本人の顔写真が少ないのも特徴だ(日本語が好きな外国人を想像すればわかるが)。

このサイトの目的は別にこうやって遊ぶためではなく、Facebookにおけるプライバシーを啓蒙することだ。「Facebookの使い方」に書いたように、Facebookにはかなり細かいプライバシー設定機能がある。きちんと利用すればかなり思い通りのアクセスコントロールが可能だ。しかし、デフォルトでのプライバシー設定は徐々に甘くなっており、設定を変更しないと相当な情報が世界中に検索可能な形で公開されるので気を付けたい。