喫茶店のグルーポン利用

グルーポンについてはTogetterでも話題になったが、喫茶店オーナーによる生々しいグルーポンの感想が反響を呼んでいる。

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グルーポン(ないし同様のクーポンサイト)を利用しようという飲食店経営者は必見の内容となっている。

We were going to offer a $6 for $13 (pay $6 and get $13 worth of product) because John told me people really respond to deals that are over 50% discount.

この喫茶店では$13の商品を$6で提供しようというクーポンを売りにだしたそうだ。

John told me that when the consumer pays less than $10, Groupon usually takes 100% of the money. What?! He reassured me that most customer buy more than the $13, and that we would never have to advertise again after taking advantage of their network. In my mind I thought “false. You can never stop advertising as a business,” but outloud I said, “Ok, let me think about it.”

グルーポンのセールスレップは$10以下のクーポンの場合、全額をグルーポンが取るのが普通だが、顧客はクーポン額面以上の買い物をするし、二度と広告にお金をかける必要はないから割に合うと主張したそうだ。オーナーは広告が必要なくなるという意見には懐疑的だった。また、お店のメニューを見る限り$13もあれば食事に飲み物をつけてお釣りが来るぐらいで、額面以上の買い物をするというのも疑わしい。

I called him back and said we would have to get at least 50% to cover our costs of product…

結局、売上の半分がグルーポンの取り分ということでクーポン販売が決定した($10以下なら全額というのは交渉上のテクニックだろう)。50%即ち$3は食材の費用をカバーする。

After three months of Groupons coming through the door, I started to see the results really hurting us financially. There came a time when we literally could not make payroll because at that point in time we had lost nearly $8,000 with our Groupon campaign.

この喫茶店にとってグルーポンは大失敗で、最終的に$8,000もの損失を出したということだ。この原因を二つ上げている。

What I didn’t think clearly enough about was that that margin we mark up is what covers all of our other costs… like staff, rent, utilities, etc. Our overhead is roughly $25,000/month, and this decision was about to make it so that we didn’t cover any of those other costs.

一つは五割を超える割引に加え、グルーポンの取り分が五割ということで、クーポンの売上は変動費しかカバーしなかったことだ。お店の運営には賃料や人件費など固定費がかかるためこれをカバーできなければ赤字になる。

When I talked to Lucinda today, she asked if there was a cap on how many were sold to help protect the business from too much loss, and the simple answer is, no.

もちろん、キャパシティーを余らせるよりは割り引いて売ったほうが利益は増える。しかし、(今回の)クーポン発売では販売額の上限が決まっていないために赤字が拡大してしまった。

When you sign up for Groupon, you are agreeing to sell as many as get sold… and why would Groupon want it any other way? They get half of the earnings.

グルーポンは(コストの負担なしに)売上の半分を取るためより多くのクーポンを売るインセンティブを持っている。長期的にクライアントの利益を守るためには販売額の上限を適切に設定する必要に迫られるだろう

また、キャパシティーの活用=イールドマネジメントの観点から言えば、クーポンの利用条件が単純な期間指定なのもクライアントにとって都合が悪い。あくまでキャパシティーが開いている場合にそこを低価格で埋めるというのが望ましい。予約システムとの連携が出来ればクーポンの有用性は高まるはずだ

At the same time we met many, many terrible Groupon customers… customers that didn’t follow the Groupon rules and used multiple Groupons for single transactions, and argued with you about it with disgusted looks on their faces, or who tipped based on what they owed (10% of $0 is zero dollars, so tossing in a dime was them being generous).

もう一つの原因は客の質だ。グルーポンを使ってくる顧客がルールを守らなかったり、適切にチップを払わなかったりする事例が頻発したそうだ(クーポンを利用する場合、クーポンを使わない場合の注文額に基づいてチップを払うのが普通だ)。クーポン利用に関する費用、この場合は条件を理解させ守らせるためのコスト、をクライアントばかりが負担するという問題がここでも生じている。クーポンを発券する企業(グルーポン)にとっては、優良なクライアント企業を選んでくるだけでなく、行儀のよい顧客を揃えることも重要になる。

グルーポンの満足度

急成長を続け、日本でも参入の相次ぐグルーポン系のビジネス。その一方で、長期的な展望への疑問もある。グルーポンを利用した企業はどう考えているのだろうか。

グルーポンを利用した企業を調査したペーパーが公開されている。360の企業にコンタクトし、150の企業から回答を得ている。内訳はレストランが32.7%、教育関係(語学や料理の教室など)が14%、サロンやスパが12.7%、ツアーが8%だ(産業によって回答率にシステマティックな差はあるだろうが、この内訳自体も興味深い)。

グルーポンが利益になったかどうかについて2/3の企業がなったと応える一方で、48社が利益にならなかったと答えている。その原因としてはクーポン以外の購入がなかった、リピートしなかった、チップが少なかったというようなことが挙げられている。グルーポンが主にプロモーションで使われていることを考えると、クーポンだけでは物足りない内容にして追加的・補完的な消費を狙ったり、リピートする動機を与えることが重要であることが分かる(日本ならチップはそもそもない)。

産業別で見るとレストランが特に否定的とされている。これはクーポンの内容が料理であるため追加消費が少なかったり、余程美味しいのでなければ次から正規料金でリピートしようとは思わないためだろう。飲食店でグルーポンを有効活用するなら、料理プラスお酒一杯をクーポンにして追加の注文を狙うといった工夫が必要かもしれない。もしくは結婚式などイベント利用がメインのお店で下見に利用しやすいようなクーポンにするのもいいかもしれない。

成功例としては、スパの82%はグルーポンが利益につながったと答えている。これには供給量が固定されていて季節変動があるなどイールドマネジメント面での効果が大きく、しかも(飲食店などにくらべ)他に有効なマーケティングチャンネルがないといった理由が考えられる。

このペーパー自体は、そもそも回答のあった企業という偏ったサンプルに基づいているし、相関関係と因果関係がぐちゃぐちゃっぽい統計分析なんかをしていて微妙だが(そもそも統計分析よりはケーススタディのほうが適切な分析対象にも思える)、データとしてはとても面白い。グルーポン系のビジネスをしている企業であれば自前の完全なデータを持っているのでもっと意味のある分析が可能だろう。どのサービスが競争を勝ち抜くかはそういった自社のデータの分析能力で決まるかもしれない