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GREの得点分布2

前回に引き続き、目覚めのコーヒーと共にもうすこしグラフを作ってみた。今回は専攻別の得点分布を見てみる。適当に読者がいそうな分野ということで、経済学(Economics)、数理科学(Mathematical Economics)、建築学・環境デザイン(Architecture and Environmental Design)、政治科学(Political Science)、会計学(Accounting)、心理学(Psychology)を選んでみたがどうだろう。もう少し理系を入れてもよかったが数理科学と分布が大差ないので割愛した(大抵のものは形状が同じで少し点数が低い)。

econまずは経済学。殆どの学生はQ700-790であることが分かる。800を取っている学生は全体の18.5%だ。受験者の数が8,000人強で、一校の定員が20人であれば前から10校の人数は200人、つまり2%だ。この手のテストに強い外国人であれば満点以外はよくないシグナルを送ることが分かるだろう。

math次は数理科学。余りにも経済学と分布がそっくりで面白い。確かに経済学のPh.D.の学生の多くは学部での専攻が数学と経済のダブルメジャーである。他の専攻と比べても全体的に点数が高めだ。

archこちらは毛色を変えて建築学・環境デザイン。さすがにQでの満点が激減する。日本人であれば満点をとってアピールしたいところだ。

poli政治学はVもQも似たような分布でVの高水準が目立つ。

accountingこちらは会計学。Vが異常に低い。受験者の多くが外国人で、しかも終了後民間の就職が殆どなためだろう。受験者の中にどれだけPh.D.をとって研究者になろうという人間がいるかが分布に大きな影響を及ぼしていると推測される(これは建築学にも当てはまるだろう)。

psycho最後は受験者数最大の61,141を誇る心理学だ。会計と比べるとVは高めでQは低めという妥当な分布だ。同じく卒業後民間で働く人が殆どで、Ph.D.を取得しようという受験者は少ないと考えられる。

追記:化学(Chemistry)を追加。

chem

GREの得点分布

GREの統計を少しグラフにしてみた。GRE(Graduate Record Examination)はアメリカの大学院受験に必要な試験だ。主に語彙力を問うVerbal、数的能力を問うQuantitativeが使われる。

まずは何点とったら上位何パーセントに入るかを示すグラフ:gre_chart

GREのスコアは素点ではないので解釈が困難だが、何となく自分の位置を確かめるのにはいい。Quantitativeが満点で100になっていないのは満点が6%いるためだ。言い換えれば満点でも上位6%であることしか分からない。

major

こちらは大きな分野別の中央値得点だ。当然理系のほうがQuantitativeが強い。おまけで経済学をつけておいたが理系に近いのがよくわかる(経済学は社会科学に含まれる)。Quantitativeの中央値が700を越えている細項目は工学系を除くとMathematical Sciences, Physics and Astronomy, Banking and Financeだけだ。しかも三つ目は経済学と受験者のプールがほとんど同じだ。

ただ、この数字も解釈は難しい。GREのスコアは専攻の性質だけでなく人気でも決まるからだ。アメリカでの研究レベルが高い分野や卒業後の収入が高い分野では留学生の受験が増え、Quantitativeのスコアが上がり、Verbalのスコアが落ちる(GREのVerbalは外国人には極めて難易度が高い)。例えば総合点が一番高いのは物理学のV533Q736だろうがこれは物理学者が英語に強いという意味ではない。工学が一般に高得点なのは仕事に直結しており、インド人や中国人が多いためだろう。

P.S. 経済学での受験を考えられている方はQuantitativeで満点は必ずとりましょう(まあ何もやらなくてもいいでしょうが)。Verbalはどうでもいいです。TOEFLで100だけとっておきましょう(CBT250 / PBT600)。