給食費未納「問題」が話題になった。
文科省にあるデータ(印刷物スキャン…)がきれいに公開されている。これを見る限り、未納「問題」は半ばマスコミに作られた「問題」のようだ。ポイントは以下。
- 未納の生徒が存在する学校が55.4%
- 未納の生徒は1.2%
- 未納額の割合は0.6%
- 学校の認識としては、保護者の意識問題が53.4%、経済問題が43.7%
四年前のデータもあるが、二点では趨勢について何かいうのは難しいのでおいておく(大差ない)。まず55.4%というのは未納の生徒が一人でもいる学校の割合であり、あまり意味のある数字ではない。実際に未納となっている生徒は1.2%、額にして0.6%に過ぎない。二クラスに一人いるかいないかという水準であり、未納の原因が経済的なものである可能性も考えれば保護者のモラル云々につなげるのは早計だろう。また、未納の原因については学校側の意見であって、実際の原因は分からない。
要するに、
- 未納の規模は報道のイメージより遥かに小さい
- 未納が近年になって増えたというデータは見当たらない
- 未納が親のモラルの問題だという根拠は薄い
ということで、一時よく聞いた「若者の凶悪犯罪」なんかと同じくマスコミが煽っているだけのように思える。じゃあ未納はほっといていいのか、と突っ込まれそうだが、本当は重大でない問題に大きなリソースが割かれるのは社会的な損失となる。給食費でいえば回収率は99.4%であり、これ以上回収率を上げるのには大きな費用がかかるだろう。企業の売掛金回収率と比べればこの数字は相当に高い。全員が払っていないと不公平感が生まれるという意見もあるが、実際に「全員」に払ってもらうのは現在のスキームでは不可能であり、結局のところでどこかで妥協するしかない。
もちろん理想的には、授業料と一緒に徴収する、天引きする、無料化するなどそもそも学校が集金を行わない仕組みにするのがよいだろう。日本中の学校が債権回収業務に従事するなんて非効率すぎる。