アラブ諸国における教育

アラブ諸国における教育についてのThe Economistの記事:

Education in the Arab world: Laggards trying to catch up | The Economist

アラブの国々が経済発展を遂げられない最大の理由は教育水準の低さだと考えられる。例えば、

According to surveys, barely a third of Egyptian adults have ever heard of Charles Darwin and just 8% think there is any evidence to back his famous theory.

エジプト人の三分の一はダーウィンについて聞いたこともなく、証拠のある理論だと考えている人は8%しかいない。アメリカの教育とキリスト教の関係はよく問題にされるが、聞いたこともないというのはそれを遥に上回る大問題だ。そんなことがおきうるのは教育内容が宗教によってコントロールされているからだろう。

Until recent reforms, state primary schools in Saudi Arabia devoted 31% of classroom time to religion, compared with just 20% for mathematics and science.

つい最近までサウジアラビアの初等教育の31%が宗教に当てられていたそうだ。

It is one reason why Arab countries suffer unusually high rates of youth unemployment. According to a recent study by a team of Egyptian economists, the lack of skills in the workforce largely explains why a decade of fast economic growth has failed to lift more people out of poverty.

この影響は単なる面白い話に止まらず、適当な労働力供給不足による経済発展の停滞にまで及んでいる。教育システムの改善を進めている国もあるが一朝一夕な効果は望めないし、宗教的な反発も強い。

TIMSSの学力調査でもアラブ諸国は全て平均を下回り、しかも優秀な学生の割合は極端に低い。包括的な大学ランキングとして知られているSJTUのトップ500ランキングにはアラブの大学が一つもない。それに対してイスラエルの大学は六つもランクインしており、一般に高い学力で知られている。

P.S. それにしてもThe Economistの記事の質は安定的に高いように思う。日本にはこういうレベルの経済ジャーナリズムは存在しないのではないか。