アメリカの連邦通信委員会が公表したブロードバンド普及を阻む七つの要素が紹介されている:
FCC outlines seven biggest barriers to broadband adoption
Federal Universal Service Fund (USF) Structure: Doesn’t support broadband deployment and
adoption despite over $7 billion spent to subsidize telecommunications annually.
まず指摘しているのはユニバーサルアクセスのための基金の運用だ。主に固定電話のために利用されているという問題や高コストの場所に支出されることがインセンティブを歪めるなどの問題が指摘されている。
基金の運用を新しい時代に適応させ、効率化することは重要だが、そもそもこういった基金の必要性も議論されるべきだろう。孤島にまでブロードバンドを普及させるのは非効率だし、こういった基金が既得権益となるのは避けようがないことであることに注意する必要がある。
Broadband Adoption Gap: Increases the cost of digital exclusion to society
所得階層や人種間の普及率の格差が問題にされている。これはアメリカならではの部分でもある。最低限のアクセスは携帯電話でも可能だし図書館などもある。所得格差は所得再配分で対処すべきだ。
Consumer Information Gap: Undermines competition, innovation, and choice
消費者が実際の接続速度についての情報を持っていないという問題。これは情報の非対称であり、実測でどの程度かを表示させることを義務付けるないし、そういった情報を国が集約することは社会厚生上プラスでありうる。
Spectrum Gap: Frustrates mobile broadband growth
テレビからモバイルブロードバンドへの周波数の移転は行うべきだ。既存のテレビ局への周波数を、携帯同様オークションにかければよい。但し、テレビ局が大反対するのは確実なので政治的にどうするかというのは難題だ。一段とテレビの視聴が減り、その政治力が落ちるまでは実現できないかもしれない。
Deployment Gap: High costs can limit broadband deployment
設置コストが高い地域の問題。これは別に政府がどうにかすべきことでもないだろう。あまりにも設置コストのかさむ場所にはブロードバンドを整備しない方がよい。但し、需要が少ないと自然独占が生じる問題にはある程度対処ができる。それはブロードバンドを提供する消費者協同組合を推進することだ。これにより独占の弊害を減らせる。田舎であれば消費者同士の均一性は高いし、人間の出入りも少なそうなのでうまくいくように思う。
Television Set-Top Box Innovation Gap: Hinders convergence, utilization, and adoption
アメリカの家庭のテレビ普及率は99%、PC普及率は76%だという。しかし携帯でのネット接続も可能だし、この数字に注目する必要はあまりみえない。今PCを持っていない家庭に頑張ってPCを配ってもウイルスだらけになるのがおちだろう。ちなみにうちにはテレビは一台もない。
Personal Data Gap: Users need to control their own information
データセキュリティに関する話だがブロードバンド普及からはあまり関係ないだろう。
ブロードバンドがそこまで重要なら勝手に普及するはずであって政府の関与が必要なようには思えない。単なる利権の温床になるような気がする。