アメリカで最も大きな本屋のない町はTexasのLaredoだそうな:
Laredo could be largest US city without bookstore – Yahoo! News
With a population of nearly a quarter-million people, this city could soon be the largest in the nation without a single bookseller.
ちなみにLaredoの人口は23万人を越えている。
After that, the nearest store will be 150 miles away in San Antonio.
もちろん日本とは違い都市同士はかなり離れている。次に近い本屋はSan Antonioで150マイル、つまり240km先だそうだ。
これを単に書籍の店舗販売一般の問題と片付けるのは難しい:
Nearly half of the population of Webb County, which includes Laredo, lacks basic literacy skills, according to the National Center for Education Statistics.
この地区の人口の半分は基礎的な読み書きの能力に欠けている。ここで使われている読み書き能力の判定基準については以前、ヤクザと識字率というポストで触れた。
Fewer than 1 in 5 city residents has a college degree. And about 30 percent of the city lives below the poverty level, according to the 2000 census.
五人に一人しか大学を出ておらず、30パーセントの住人貧困ライン以下だそうだ。需要のないところに無理やり本屋を営業してもしょうがないが、アメリカの初等教育がどれだけうまくいっていないかを示す例ではある。
追記
Twitter経由でtetteresearchさんから以下のようなコメントを頂きました:
Laredoは米メキシコ間陸上輸送の最大拠点で、90年代以降NAFTAによる貿易拡大による輸送業特需で人口が倍増以上。移民の割合が高い(総人口の95%はヒスパニック系)と思われるのでLaredoの本屋の現状から米国初等教育に関する教訓を得られるか疑問です。
最もな指摘だと思います。そうすると問題は、移民の子弟への英語教育ということになりそうです(まあ移民の子弟は既にテクニカルにはアメリカ人ですが)。ちなみにLaredoの位置は以下の通りです。
ドイツの小学校ででトルコ系移民がドイツ系の子供を逆差別でいじめて「ゲットー化」しているとか、この種のデータは「だからアメリカ礼賛は/移民はダメなんだよ」的なトラックバックに利用されやすいのですが、それはちょっと違うと思うんですよね。
これは先進国が経済的「帝国」をどうやってうまく運営していくのかという問題であって、経済合理性も将来への思慮も無く前近代的手法で移民を拒否している他の国にはそもそもそれほど多くの移民が居ない、つまり自身が直面した事がない問題なので、アメリカを批判する立場にもない。
とはいえ近い将来の日本がほぼ間違いなく直面する問題でもありますから、建設的観点で参考にするべきだとは思います。
>この種のデータは「だからアメリカ礼賛は/移民はダメなんだよ」的なトラックバックに利用されやすいのですが、それはちょっと違うと思うんですよね。
私にはそういう考えはありません。どちらかといえば移民は受け入れざるを得ないと考えています。
この記事でも別にアメリカを批判しているわけでもなんでもなく、面白い話だから取り上げてみました。
移民の受け入れの問題点ととらえたとしてもそれを紹介すること自体は意味のあることだと思います。