教育費が年々上がるという話ではなく、同じ生徒の学費が毎年上がるのは何故かという話。そういえば日本の国立大学の学費は毎年上がっていたような気がするけどそれとは別。
Dear Economist: Should I try to make school fees fairer?
I’m a marketing manager at a British private boarding school. Fees start low and increase during a pupil’s education regardless of the fact that costs remain pretty constant before inflation. I want to reflect this “flat” cost and reward loyalty – but how can I without an ugly hike at reception class?
質問に対する答えという形式をとっているTim Harfordのコラム。実際、ショッピング中にどうしてこれはこういう値段の付け方なの??と聞かれることはよくある。。ちなみに、「ああそれは…」などと真面目に答えると、「そうアンタ達のせいでこういういやらしいプライシングになるのね」などと返されること請け合いだ(説明は後付で価格の付け方自体は昔からあることが多いわけだけど)。
今回のお題は私立(寄宿)学校の学費で、一年目から段々と上がっていくと言う。質問者は費用が一定なのだから価格も一定に、フェアに、すべきではないかと言っている。
Let’s take a step back. You say that you’d like to reflect costs. Why? Most businesses set prices to attract customers and increase profits. Costs are not directly relevant.
これに対する返答がなかなかいい。そもそも費用と価格を連動させる直接的な理由はないという。そりゃそうだ。基本的には相手が払う気がある限り価格を上げればいいだけの話だ。もちろん余り利幅が大きいと競合相手に客を取られるという懸念があるので価格を抑えるという話はあるだろうが、それはフェアかどうかとは関係ない。
Most companies say they reward loyalty, but it is more traditional to gouge loyal customers while chasing new ones. Don’t fall for your own propaganda.
ロイヤルな顧客を大事にするというのはよくあるスローガンだが、その心はロイヤルな客のほうが価格を上げても大丈夫だからであって、ロイヤリティそのものが重要ではないという話だ。
また「費用」といったときにそれが何を指しているのかも実ははっきりしない。例えば企業にとっては遊休設備があればコスト割れしても売った方いいことも多いわけだが、この場合の費用とは何だろうか。会計上のそれで言うならこれは赤字取引となる(もちろん会計原則には経済のそれとは違う意義があるので会計処理がおかしいという話ではない)。
Parents will be nervous about whether the school will suit their children, so a cheap price year in reception is sensible.
では何で最初安いのかというと、それはお試し期間だからだ。こういうと学費のようには聞こえないが本質的には同じことだ。ディアゴスティーニと変わらない。
The only reason to change your current pricing is if you can figure out a way of concealing some of the later fees.
改善の余地があるとすれば、いかに価格の上昇を見えないようにするかだ。これは各種証明書の発行費用を上げることで達成できる。流石にそこまで費用を計算する人もいないだろうし、将来どれぐらい払うかも分かりにくい。
“If parents are dim enough not to notice them, even better.”
の一文がなかなかツボでした。
あのコラムいつもはそんなに面白いとは思わないけど、今回は傑作。