どうして開発援助がうまくいかないか

開発援助についてのいい例えがあったのでご紹介:

Beneath the appeal: modestly saving lives | openDemocracy via Chris Blattman

The economist Jeff Sachs compares the current situation in Africa to a forest fire: if we try to put out the fire with one hose, and the fire continues to rage, do we conclude that fighting fires is hopeless? Do we conclude that water is not effective at putting out fires?  Or do we conclude that we have not yet applied enough water and that we do not have enough firefighters and hoses?

援助は山火事と戦う消防士のようなものだという。ホース一本で山火事に立ち向かっているときに火の勢いが衰えなかったらどう思うか。水を掛けるので火事を消せないと考えるか、水が足りないと考えるかという選択肢がある。

しかし、本当の問題はこれを見て「水を掛けるのは無駄」と考える人が多いことではなく、みんな「そんなのどっちでもいい」と思っていることだろう。山火事の例でいえばこの山火事はLAで起きているのではなく、アフリカで起きているのだ。

アフリカで貧困問題が深まっても、先進国への影響は軽微だ。海・砂漠・イスラム圏で隔離されていて難民の心配も比較的小さいし、もとから貧しすぎるので市場としての価値はほとんどない。さらにはみな陸続きなので部分的な改善があっても人の流入で打ち消されるし、HIVが猛威をふるっている。

もちろんこれが問題なのかどうかもよく分からない。人間が自分に近い人間を優先するのは倫理的にも責められることではない。結局のところ倫理は社会に属しているので、現在の枠組みで海外支援が劇的に増加することはありえない。個人的には(限界)費用のかからない知識の伝播ぐらいしか解決策はないように感じる。