低価格キャリアのRyanairについての面白い話が紹介されている:
Shafting Your Customer As a Reputational Strategy — Crooked Timber
元になっているのがこちらの「Ryanair near bottom of ‘ethical ranking’ list」という記事だ。
RYANAIR HAS appeared in the bottom 10 of an “ethical ranking” of 581 companies, based on environmental performance, corporate social responsibility and information provided to consumers.
Ryanairは企業の倫理的な指標において下から十番目に入ったという。この指標は環境への影響や企業の社会的責任、消費者への情報公開などから作成されるという。ここまでは別に真新しいことは何もない。
I imagine that Ryanair will respond to this with a press release that marries bluster and belligerence with a certain sense of accomplishment.
The company prides itself not only on being perceived as having no social conscience, but as having a reputation for screwing its customers as systematically and mercilessly as possible.
面白いのはRyanairがこういったランキングで下位に入ることを歓迎するような企業という指摘だ。
But why (if they are right) would a reputation for shafting your customers be a commercial asset for a consumer-oriented business in a relatively competitive sector?
どうして顧客を食い物(?)にするという評判が競争的な市場においてプラスに働くのだろうかと締めくくられている。これは最近よく耳にする社会起業家と対照的だ。どちらも事業としての利益を得る必要があることには違いないが、全く逆のイメージを作り出している。
社会貢献を掲げる企業には何か疑問を覚える一消費者としては次のような理由が思い浮かぶ:
- 私的な価格が重要な側面では、不必要な経費を使っていないシグナルになる
- 低価格を実現するために何をやっているかが明らかになることは(例:従来無料であったサービスにチャージする)、逆に低価格化が「不正」な手段の結果ではないと示すことにもなる
- (これは個人的にはどうでもいいが)他にもbadass的な雰囲気がいいと思う人もいるかもしれない
特に最初の点が重要だろう。企業は基本的に財・サービスの提供で社会に貢献するのであって、消費者が例えば寄付をしたいのであれば直接寄付をしたほうが効率的だ。自分で寄付する先や使用用途を特定できるのだから当然だろう。
例えばStarbucksは今Global Sing-alongというキャンペーンをやっているそうだ:
If you spend $15 at Starbucks, they’ll give you a CD with above song on it (supplies limited!), and donate a dollar to the Global Fund. It gets more convoluted from there: Go online to the Starbucks love website and draw a cutesy love card to trigger another donation from Starbucks to the Global Fund, this time of 5 cents. Finally, if you upload a video facing your computer camera and singing goofily along to the Beatles classic, Starbucks will toss the GF another nickel.
その内容はというと、スターバックスでCDを買うと$1の寄付が行われるというものだ。さらにサイト上で絵を書いたり、映像をアップロードすれば5¢寄付されるという。
It’s almost enough to make you forget that if you bypassed Starbucks all together and just donated your $15 bucks to the Global Fund you’d be helping…15 times more.
しかし、言うまでもないが、$15最初から寄付すれば$15丸々、援助団体に渡すことができる。CDは手に入らないが、音楽・映像自体はアップロードされている。企業がそのブランドネームを使って援助をPRしているという解釈はできるが、それはビジネスであって慈善活動とは思えない。
皆様はどうお考えでしょうか?
面白いですね。アンチが多いと見る人が多いのは、巨人しかり、ロンブーやクレヨンしんちゃんとも通じるのかもしれません。同様に、社会起業家も、その胡散臭さが注目を集めてる一面もあるのかも知れませんね。
社会起業に関する私個人の意見としては、単に資金集めのため、とか、評判良くするため、という理由でそう名乗ると、うまくいかない。ただ、本来ちゃんとした普通に良いビジネスモデルがあって、社会起業を名乗ったほうが名乗らないより全然インプリしやすい場合は、ありと思います。
たとえば、Worldofgoodsという、米国で店舗を見てるだけだと、「ある意味胡散臭く見える」商品が並んでいる会社があります。しかし、アフリカに行った時に、彼らの評判を聞いたところ、さすがにあれだけ商品を並べられるだけあって、川下から川上まで一貫したサプライチェーン管理と、多大なリスクをとった在庫保障をやりきろうとしているところは、他になかなかないから、評判が高い、とのことでした。このアフリカにおける競争力を生み出すために、社会起業という言葉を道具として使う(あるいは周りが勝手にそう呼んでいるのを拒んでいない)のは、ありかな、と思います。
>社会起業家も、その胡散臭さが注目を集めてる一面もあるのかも知れませんね。
話題になっているのでこれからさらに胡散臭いものが増えていく可能性が高いですね。
>ただ、本来ちゃんとした普通に良いビジネスモデルがあって、社会起業を名乗ったほうが名乗らないより全然インプリしやすい場合は、ありと思います。
全くその通りだと思いますが、社会起業と名乗るといいものとはなんなんだろうという気もします。NPOとは違うわけで。
>Worldofgoodsという、米国で店舗を見てるだけだと、「ある意味胡散臭く見える」商品が並んでいる会社があります。
個人的にはこういうのはかなり苦手ですね。信用が全てなので、きちんと活動しているのは評価できます。
ちょっとのぞいてみようかと思います。