ウォールストリートの報酬問題に関してThomas PhilipponとAriell Reshefのペーパーが取り上げられている。
Matthew Yglesias » The Real Problem With High Wall Street Pay
金融危機以来、ウォールストリートのサラリーには多くの批判が寄せられている。しかし、主な焦点となっているのは給与体系が過剰なリスクを助長するようになっているのではないかというインセンティブ上の問題である。しかし上のグラフから違う視点が見えてくる。ファイナンス業界における給与水準は労働者の教育水準とかなり近い動きをしていることが分かる。これは近年の給与水準上昇が何らかのインセンティブの歪みではなく、単により優れた労働者の流入によるものである可能性を示している。
しかしこのことは問題がないことを意味しない。むしろ、直感的には明らかな問題を浮き彫りにしている。それはファイナンス業界が優秀な人材を過剰に引き寄せているのではないかということだ。これは経済・数学・統計・物理などの分野では明らかだ。近年、高度な数学を学んだ人はファイナンス業界に行くことで他の就職先を遥かに上回る給与を受け取ることができた。別に研究者になることが社会的に最適だといっているのではないが(むしろ平均的にはマイナスだろう)、ファイナンスが特別に(給与差程には)社会的に望ましいとは思えない。
インセンティブの問題でいえば、成功時の報酬を制限する必要性はないが、全体的な給与水準を抑えることは国全体としてプラスである可能性はある。
平均すれば妥当でも、同一時点におけるインセンティブによる給与格差が問題なのだと思います。
数学科は確かに、金融業界に進む人によって平均賃金が押し上げられていますね。これは日米共にそうでしょう。アメリカの統計屋の労働市場に関しては、製薬業界、IT業界の賃金もそれなりに高いので、金融が高いというイメージはありません。これは、統計屋の仕事にバックオフィスのものが多いというのも理由でしょう。しかも、技術系のポジションは昇進が難しいと聞きます。一方、ヘッジファンドの運用部門などはかなりの給与を出しているようです(初年度の年俸で20万ドルくらいと聞きました)。
業界のお話ありがとうございます。
経済屋さんの場合、民間だとコンサルティング(リティゲーションサポートか通常のストラテジー)とファイナンスという感じです。給与水準は初年度で1.5倍から2倍ですが、その後の昇給の違いが効いてくるようです。まあファイナンスが今後どうなるかは分かりませんが。。。