マリファナ合法化

ちょっと古いけどカリフォルニアで誰がマリファナの合法化に反対しているのかという記事が話題になった。

California Pot Initiative Opposed By Beer Industry

The beer sellers are the first competitors of marijuana to officially enter the debate; backers of the initiative are closely watching liquor and wine dealers and the pharmaceutical industry to see if they enter the debate in the remaining weeks.

ビールの業界団体がマリファナ合法化に反対する献金をしているというニュースだ。もちろん全てのビール会社が反対しているわけではないが、ビールとマリファナがおそらく代替性を持つことを考えるとありがちだ(まあ片方やってると同時にやりたくなる人もいるだろうが…)。

Police forces are entitled to keep property seized as part of drug raids and the revenue stream that comes from waging the drug war has become a significant source of support for local law enforcement. Federal and state funding of the drug war is also a significant supplement to local forces’ budgets.

次は警察関連だ(警察官の団体など)。その理由として、麻薬捜査の過程で押収された資産が警察の収入になることや、麻薬対策(drug war)で連邦政府や州政府から予算が貰えることが挙げられている。

So far, the prison guards’ bosses have gotten involved — the California Correctional Supervisors Organization has given $7,500 — but the guards themselves are on the sidelines.

同様に刑務所の管理側はマリファナ合法化に反対しているが、実際に囚人の面倒を見る刑務所の職員は反対に回っていない。

The Service Employees International Union, a major presence in California, has endorsed the proposition. The Teamsters in September made its first successful foray into organizing pot growers. The United Food and Commercial Workers is backing the initiative and organizing cannabis club employees in the Bay Area.

逆に、組合員の現象に悩む労働組合は、マリファナ業者及び従業員の組合加入を受け、合法化賛成だ。

The teachers union, citing the revenue that could be raised for the state, is also backing the initiative.

強い政治力を持つ教員組合は、合法化が税収増に繋がることから賛成している。

推進側も反対側も実に分かりやすい利害関係を持っていることが分かる。そもそもアメリカにおけるマリファナの非合法化には、繊維や紙の代替品としての麻を排除するという目的があったとう主張もある(ちなみにアメリカでのマリファナ規制は繊維目的のHempとリクリエーション用途のCannabisを区別していない)。

ハリウッド女優の最期

まさかこのブログでリンジー・ローハンを取り上げるとは思わなかったが、面白い話なので。

It Could Take Ten Years for Lindsay Lohan’s Career to Recover, Experts Say

アルコール・薬物依存の更生施設から出たばかりで早速、コカイン・アンフェタミンで捕まったリンジー・ローハンの女優としてのキャリアが終わったというストーリーだが、その理由は麻薬使用それ自体ではない(それならとっくに終了しているはずだ)。

“She is absolutely uninsurable even if a studio was willing to take the risk and hire her, so in this case its only time that can heal.”

問題は保険だ。映画制作のためには多額の資金が必要で、これは銀行からの借入や投資によって賄われるが(※)、お金を出すからには映画が予定通りに完成することを確かめる必要がある。しかし、投資家は映画制作の詳細を知らないので、代わりに保険(completion bond)を利用することになる。

保険会社は予定期間内に映画が完成しない場合には投資家に支払いをするか、強制的に制作に介入して映画を完成させる約束をする。もちろんそうなってしまっては困るので業界経験者を使って制作の細かいところに首を突っ込んで時間内に完成するように努力するわけだ。しかし、彼らも全てのリスクをコントロールできるわけではない。例えば、俳優が突然失踪してしまえばどうにもならない。ここでさらに俳優に関する保険(cast insurance)が必要となる。

この保険は俳優(や監督などキーパーソン)が何らかの理由で出演できない場合に支払いを行う。例えば、ターミネーター3制作に際しては主演のアーノルド・シュワルツェネッガーに200万ドルの保険金が掛けられたそうだ(万が一の場合の支払いは1億5000万ドル)。保険会社はリスクを軽減するために、病歴を調べたり、健康診断をしたりするだけでなく、スタントの利用を強制することまでする。このようなハリウッドにおけるお金の流れについては、「The Hollywood Economist: The Hidden Financial Reality Behind the Movies」に詳しい。

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2000年のムーラン・ルージュでひざを負傷し、続くパニックルーム(2001年)で降板したニコール・キッドマンは、次の映画主演に際し保険をかけるため、自身が100万ドルをエスクローに入れる必要に迫られたということだ。ニコール・キッドマンですら、保険がなければ主要な役を演じることはできないわけで、今回のリンジー・ローハンの俳優生命が絶望的なのは明らかだろう。保険がかけられるようになる頃には年齢的な問題もある(特に薬物中毒であることを考えると深刻だろう)。

Lindsay Lohan’s Failed Drug Tests Could Derail Upcoming Film | TMZ.com

A source close to the film tells us shooting the picture in Los Angeles instead of Louisiana “would radically change the budget” and force producers to try and secure additional financing.

主演予定のInfernoもこの様子では完成するかどうか疑わしい。撮影が予定されていたルイジアナ州は映画産業への減税措置で人気の場所で、裁判所からの移動制限でカリフォルニア州での撮影を余儀なくされれば制作費用は大きく膨らむ。制作会社が怒り狂っているのは間違いない。

(※)まあ大手なら必要ないかもしれないが、メジャーが保険なしのリスクをとってまで薬物中毒の俳優を使う理由もない。

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