Wikileaksのプラットフォーム化

Wikileaksは匿名の告発情報を受け付け公開するウェブサイトである。そのWikileaksが自ら情報を募り公開するだけでなく、他の団体と告白者との間に入る活動を始めている:

Wikileaks plans to make the Web a leakier place

Wikileaks.org, the online clearinghouse for leaked documents, is working on a plan to make the Web leakier by enabling newspapers, human rights organizations, criminal investigators and others to embed an “upload a disclosure to me via Wikileaks” form onto their Web sites.

新聞社・人権団体・捜査当局などが「Wikileaksを通じて情報を公開する」というフォームをサイトに埋め込めるようにする。

The upload system will give potential whistleblowers around the world the ability to leak sensitive documents to an organization or journalist they trust over a secure connection, while giving the receiver legal protection they might not otherwise enjoy.

これにより、告発者は自分の信頼する団体・ジャーナリストに安全に書類を渡すことが可能になる。相手が信頼できるなら何故Wikileaksを挟む必要があるのかという疑問はあるかもしれない。しかしWikileaksのページを見れば分かるように、彼らは安全に情報を漏洩するための技術を要している。

たとえある新聞記者を信用していたとしても、彼女が通信に十分な暗号化を用いているか、例えばメールなら送信元を特定する情報をコンピュータ内に(キャッシュなどであれ)残していないか、漏洩元からの攻撃に対し技術的・法的に防御できているかという問題は残る。通常のEメールには何のセキュリティも備わっていないこと自体知らないジャーナリストの方が多いだろう。Wikileaksが間に入ることでそのような問題を解決することになる。

Once Wikileaks confirms the uploaded material is real, it will be handed over to the Web site that encouraged the submission for a period of time. This embargo period gives the journalist or rights group time to write a news story or report based on the material.

しかも、Wikileaksに送信された情報は当該ジャーナリストに一定期間独占的に供給される。

Wikileaks often runs into problems concerning how to present material and how to make it easier to sift through for vital information, said Assange.

何故独占供給されるのか。それにはWikileaksが抱えている問題がある。Wikileaksが機密情報を受け取ったとしても、情報をそのまま公開するだけでは世間に広まらないことが多い。生のデータ・情報は役に立たないという情報化社会のジレンマはここでも成り立っている。データを解析し、情報を取捨する作業が必要となる。この場合にはジャーナリストがその役割を負うことになる。

独占的に情報の供給を受けることで、ジャーナリストはより真剣に機密情報を集めようとするだろうし、入手した情報をよりよい形で公開するように勤める。一種の知的財産権がWikileaksにより私的に供給されるわけだ。もちろん個々のジャーナリストがきちんとセキュリティを確保していることが担保されていればWikileaksを通す必要はなく、秘密にしておくことはできる。しかし記事を公開すれば独占権は失われる(ニュース記事には一般的な著作権が適用されない)わけでWikileaksを通すことによりデメリットは殆どない。

Wikileaksには日本語インターフェースも用意されている。