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トービン税の問題

トービン税については前取り上げたが、それに対する反対意見があったので紹介:

Tobin tax: How to reveal you don’t understand risk : Core Economics

A great way to reveal that you only understand risk management in static terms is to advocate a Tobin tax on financial transactions.

トービン税はリスクマネジメントを静的にしか理解していないことを示すという。

People who look at the financial system and see the massive growth in trading volumes of capital market and risk market instruments and conclude that it is all just speculation run amok, just don’t get it.  They don’t have a good understanding or intuition about how risk is dynamically managed in the economy.  They want a Tobin tax to suppress speculation, not realising that they will damage the allocative efficiency of the financial system.

著者によれば、資本市場・保険市場の拡大は投機ではなく、リスクが動的に管理されている証拠であって、トービン税を掛けると金融システムの効率を損なうそうだ。

市場のどこまでが投機なのかというのは実証的な問題なのでよく分からないがいまいち説得力がないように思う。理由は以下だ:

  • 現状はファーストベストではないだろうから税金を掛けると結果が悪くなるとは一概に言えない
  • トービン税が非効率性を生むとして、問題は他の経済活動に税金を掛けるのとどっちが非効率かということだ

前者についてはそもそもトービン税の推進派も税金が何らかの非効率を招くことは否定しないだろう。しかし実体経済へのマイナスの影響を与える投機行動を直接規制できないのであれば取引全体を規制することは正当化しうる(公害を取り締まる方法がないことを前提とすれば競争を促さないことが正当化されるのと同じだ)。

後者は税の超過負担の問題だ。一定の税収が必要なことを前提とすれば、必要悪としての税金はなるべく経済に歪みをもたらさない場所に掛けるのが望ましい。よってトービン税の非効率性を議論するなら、他の税金にくらべて非効率だという必要がある。

まあ、トービン税が導入されることは政治的になさそうなので実質的にはどうでもいい気もする。