スーパーコンピュータ開発の是非について非常に頂けない(が他分野でもよく見られる)意見があったので紹介:
アゴラ : スーパーコンピューターを復活してほしい – 西 和彦
筆者はスーパーコンピュータ業界の民間人として、日本のスーパーコンピュータの歴史をひも解いている。しかし、肝心の「何故、日本政府が世界一のスーパーコンピュータ開発に税金を投入すべきなのか」とう問いへの答えは極めて貧弱だ:
日本のために世界一を取るのではなく、世界の競争のために、日本も世界一を取るのだ。
これ以外に世界一を取るべき根拠が挙げられているようには見えないが、これは果たして根拠になっているのだろうか。
日本という国に対して、何かをすべきという議論を行うにはそれが最終的に日本全体のため(国益)になると主張せざるを得ない(これは国だけでなくあらゆる社会について当てはまることだ)。何らかの偶然で価値観の一致が見られない限りこれを避けることはできない。そして、スーパーコンピュータ開発においてそういった一致がないのは明らかだ。
さらに、テレビ報道に出てきた国会議員を批判する箇所は救いようがない。
1967年生まれの蓮舫議員は1995年に台湾からの帰化日本人である。1997年に双子の子供を生んだときには、日本の国籍になったにも拘わらず、中国 風の名前をお付けになっている。家庭的には感覚は中国のひとなのであろう。私はそうは思わないけど、日本のスーパーコンピューターをつぶすために、蓮舫議 員のバックは誰で、その生まれた国の意向があるのかなあと思う人もいる。もし、そうだったらビックリだけど・・・。
件の蓮舫議員の言動が問題になることは分かる。しかし、「私はそうは思わないけど」などという留保つければ、(どんな背景があるかはともかく)正式に日本国籍を取得して、民主選挙で選ばれた国会議員を憶測で非難することが正当化されるわけではない。
帰化日本人が議員になることを許容しているのはこれもまた民主主義により正当化されている日本の法律だ。アメリカの外国系の帰化人との比較も行われているが、アメリカで帰化人が子供に自国風の名前をつけることを批判したら人種差別問題だ。
記事の冒頭に戻ろう。
蓮舫参議院議員が鬼のような顔をして、「スパコンで世界一になる意味はあるのか?」と仕分けしていたからである。仕分けされているときに、それに反論して いる文部科学省の役人を有り難いと思った。日本のスパコンのために頑張ってくれている!官僚をこんなに有り難いと思ったのは久しぶりだ。
世界一のスーパーコンピュータ開発が必要だと思うなら、すべきことは、
「スパコンで世界一になる意味はあるのか?」
という問いに真摯に答えることだ。繰り返しになるが、選挙で選ばれた議員の質問に答えるのは民主主義を支持するなら必要なことだ。議論において、発言内容それ自体(「スパコンで世界一になる意味はあるのか?」)に反論するのではなく、発言者(蓮舫参議院議員)の物言い・出自を批判するというのは極めて不健全なことだ。
ちなみに、
それに反論して いる文部科学省の役人を有り難いと思った。日本のスパコンのために頑張ってくれている!
反論している文部科学省の役人は「日本のスパコンのために頑張ってくれている」のではない。役人は日本の国益のためにスパコン開発が重要だと考えているからそう主張しているだけだ。
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