DNA鑑定と親子関係

DNA鑑定に関する技術の発展は、避妊技術がそうであったように、社会の仕組みを変えていく可能性がある:

Who’s Your Daddy? Global Nonpaternity Rates. | Psychology Today

The threat of being cuckolded is one of the most evolutionarily important threats faced by men especially in light of the fact that humans are a bi-parental species (i.e., children require great parental care from both parents).

二親性(biparental)の種にとって、他人の子供を育ててしまうことは進化論的な自殺だ。不貞(cuckoldry)に対する男性の反感 はこれにより説明される。

ここでは、DNA鑑定によって父親が子供の生物学的父親ではない割合のサーベイ(メタアナリシス)が紹介されている。

The standard nonpaternity rate that is most commonly mentioned across cultural settings is 10%.

その割合は一割ほどだ。これが多いと感じるかは人によるだろう。さらに、父親が生物学上の親子関係に持っている場合とそうでない場合に関する比較も行われている:

北米 ヨーロッパ その他
自信あり 1.9 1.6 2.9
自信なし 29.4 29.8 30.5

地域・文化によらず、前者の場合は2%前後、後者の場合には30%前後となっている。もしDNA鑑定が早期に可能であった場合に、他人の子供を育てる男性はどの程度存在するのだろう。

人間の心理は生物学的に固定されている部分があるので、親子関係を確定できる世の中になっても社会規範が完全に変わることはない。しかし、大きな影響があるのは確実であるし、法律面でも技術発展への対応が必要だ。

現状では父親の親子関係の認定は非常に複雑な制度になっている。嫡出・非嫡出の区別、婚姻関係による推定、内縁関係による嫡出扱い、非嫡出児の認知などいろんなケースがあるし、父親が自分の子でないと主張する方法も嫡出否認と親子関係不存在があり婚姻関係による推定を受けるか否かできまる。

しかし、父子関係の推定規定は親子関係を確定できないという物理的な制約からきたものだ。技術進歩により確定ができるようになった以上これを変える必要がある。

例えば、推定嫡子に対する嫡子否認が一年間に制限されていることの立法趣旨は家族・親子関係の安定だろう。できちゃった婚のように推定はされないが嫡子扱いのケースで、親子関係不存在を期限なく訴えられるのはこれと反する。なぜなら親子関係不存在はもともと利害関係にある第三者(相続人など)を想定して作られている。よって誰でも訴えることができ、期限が制限がない。新しい現実に対応できていないのは明らかだろう。

代理出産の問題も根は同じだ。今まで単に技術的に不可能であるから法律で規定されていなかったことについて(起きもしないことに規定を作る必要はない)、社会としての立場を法律という形で明らかにする必要がだろう

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