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離婚保険

離婚にそなえた保険が発売されているそうだ。

Divorce Insurance (Yes, Divorce Insurance)

It is sold in “units of protection.” Each unit costs $15.99 per month and provides $1,250 in coverage.

一単位月$16で離婚時には$1,250支払われるとのこと。受け取るためには離婚証明を送付すればいい。購入単位の上限の有無については言及されていない。

So how does the company prevent people who know they are going to get a divorce from signing up?

保険を提供するときにまず問題になるのは逆選択だ。離婚すると得をする保険には離婚しそうな人が集まる。すると保険料が上がり、一段と離婚しそうな人が集まる。

To prevent that kind of adverse selection, the policies don’t mature until 48 months after their effective date

この保険では支払を48ヶ月後からにすることで、今離婚したい人を排除している。生命保険が自殺への支払いを遅らせるのと同じことだ。

And what about other possible selection problems related to people with volatile relationships or a family history of divorce purchasing policies in large numbers?

しかし、加入者の審査はあまり厳密ではないようで、本人の男女関係や家族の離婚歴といった情報を利用することはないそうだ。

the policies, […] , aren’t covered by any state guaranty funds that would honor them if the provider goes bankrupt.

この保険はどの州によって保護されていないようで、母体が破産すると支払いが行われないそうだ。スタートアップということもありまずは真面目なビジネスなのか吟味する必要がありそうだ。

結婚とダイエットのインセンティブ

結婚や離婚が適正体重を維持するインセンティブに大きな影響を与えるという(当たり前の)話(NYTの元記事参照論文):

The divorce diet

まずは結婚を境にしたBMIの変化がグラフになっている。非常に分かりやすく結婚を機にBMIが急上昇していく様が見て取れる。結婚相手を探す必要がなくなるためにダイエットするインセンティブが減るという以外にも多くの理由が考えられる:

  • 共同生活によって自炊をして食べる量が増える
  • 二人だとデザートを食べることが多い(これはデート中でも同じか)
  • 結婚と出産が重なっている
  • ホルモンの影響
  • 同居によるストレス

逆に離婚後のBMIの急減も明らかだ。特に女性で体重減少が甚だしい。これもまた、結婚市場での価値だけでなく様々な要因で説明できる:

  • 別居によるポーションの現象
  • 離婚に伴なう心理的な要因
  • そもそも太り過ぎてたのが離婚の一因

さらっと眺めた限りでは特にこれらのファクターを分離している様子はないが、結婚相手を探しているかがダイエットするかどうかに強い影響を与えているのは明らかだろう。

少子化とハンバーガー

追記:ハンバーガーの例えがメインな気がしてきたので題名変更。Topsyのほうが変わってません。

昨夜に引き続き日本のニュースに軽いツッコミを:

4割が「子ども必要ない」20〜30歳代は6割−内閣府調査 (1/2ページ) – MSN産経ニュース

結婚しても必ずしも子どもを持つ必要はないと考える人が42・8%に上ることが5日、内閣府がまとめた男女共同参画に関する世論調査で分かった。

男女共同参画社会に関する世論調査のことだろう。過去の調査結果は内閣府男女共同参画局にある。ここで報じられている最新の調査結果はまだウェブで公開されていないのだが、新聞各社にだけ一定期間独占的に供給しているのかと疑ってしまう(まあ出所をリンクしないのは日本の新聞ではいつものことだが)。

子どもを持つ必要はないとした人は、男性が38・7%、女性が46・4%だった。年齢別では20歳代が63・0%、30歳代が59・0%と高く、若い世代ほど子どもを持つことにこだわらない傾向が顕著になった。

確かに二十代では「結婚しても必ずしも子どもを持つ必要はない」と考えている人が六割いるが、「子ども必要ない」と意味が全然違うような気がするのは私だけだろうか。私は子供をを持つ必要はないと考える人間の一人だが、個人として子供がいらないと言っているわけではない。

結婚についても「結婚は個人の自由であるから,結婚してもしなくてもどちらでもよいか」という質問になっており、

少子化の背景に、国民の家庭に対する意識の変化があることを示した結果と言え、内閣府の担当者は「個人の生き方の多様化が進んでいる」としている。

内閣府の担当者が言う通り、日本人が結婚・出産についてリベラルになってきているということだろう。

しかし、これを「少子化の背景に、国民の家庭に対する意識の変化があることを示した」と結論づけるのは早急だ。前述のように、結婚・子供が必要かと実際に結婚するか・子供をつくるかとは別のことだからだ。「ハンバーガーは必要か」と聞かれたら、そりゃ別に必要はないという人がほとんどだが、それはハンバーガーの消費量とはあまり関係ない

晩婚化や少子化といった現象はかなりの部分が経済学的に説明できる(参考:結婚と市場)。もちろん価値観・意識の変化もあるだろうが、それらを政府が変えるというのは難しいし、そもそも政府にそんな権限があるとは思えない。また価値観・意識の変化自体が技術進歩からくる経済状況の変化によって内生的に生じている部分もある。

ハンバーガーの消費が増えるのが心配なら、アメリカ文化に対する日本人の意識の変化なんか考えるよりもハンバーガーの価格を見たほうがいい。安いから消費は増えるのだ。もちろんみんながアメリカ文化が好きならハンバーガー消費も増えるが、それに文句をつけてもしょうがないし、安いハンバーガーを食べてるうちにアメリカの食事が好きになっただけかもしれない。

子どものDNA鑑定

父親が子どもの生物学上の親である割合についてのニュースがあったが(参考:DNA鑑定と親子関係)、関連ニュース:

How DNA Testing Is Changing Fatherhood – NYTimes.com

DNA鑑定で生物学上の親ではないと分かった父親のストーリーがいくつか挙げられている。基本的流れは次のような感じだ:

  1. 子どもがそれなりに育ってから何らかの機会(浮気の発覚、養育費の割増要求)などで疑念を抱く
  2. DNA鑑定で遺伝的なつながりがないことが発覚
  3. 婚姻中であれば離婚
  4. (A)完全に親子関係を絶つ、(B)親子関係を維持する=養育費を払う
  5. 元妻が子どもの生物学上の父親と再婚ないし同棲
  6. (B) なら元夫が親子関係の不存在を求めて訴訟して負ける

問題は6だ。4で親子関係を維持している場合(B)、法律上の父親は元夫であるため養育権(custody)がなくとも養育費(child support)を支払う義務が生じる。この場合元夫は生物学上の家族へ養育費を支払うという非常に不自然な形になる。

そもそも(B)を選択しているのは何故か。それは養育費を支払う義務を免れるには遺伝上のつながりがないと判明した時点で親子関係を完全に解消しなければ(A)ならないからだ。そこまで踏みきれない男性が多い。

このような複雑な制度が作られているのは、子どもと親との利害関係を調整するためだ。親子関係を解消するのであれば早い方が子どもにとって望ましいという理由から(A)を選択しない限り法律上の親子関係は固定される。

Several suggested that DNA paternity tests should be routine at birth, or at least before every paternity acknowledgment is signed and every default order entered.

この問題を簡単に解決する方法はDNA鑑定を義務付けることだ。DNA鑑定のコストは下がっており、法律で導入を進めればさらに安価になるのは間違いない。

Mandatory DNA testing for everyone would be a radical, not to mention costly, shift in policy. Some advocates propose a somewhat more practical solution: that men who waive the DNA test at a child’s birth should be informed quite clearly that refusing the test will prohibit them from challenging paternity later.

鑑定のための費用を削減するために、義務付けるのではなく、鑑定を行わなかった場合には後で親子関係の不存在を訴えることを認めないという案もある。しかし、子どもとの生物学的つながりに自信を持つ父親でさえ2%は実際にはつながりがないという調査結果を考えれば、それなりに裕福な国では義務付けも止むないだろう。後で問題が発覚した場合の被害は父親・子ども両者ともに甚大だ。いくら法律で親子関係を義務付けても、発覚してしまえば被害は避けられない。

鑑定によって遺伝的つながりがないと判定された場合の子どもの扶養を問題にする指摘もあるが、遺伝上の父親を同様の鑑定によって発見するのは容易い。また片親の家庭はこういったケースに限られるわけではなく、通常の福祉政策によってカバーできる。

P.S. しかし女性が子どもが男性のものだと欺いているわけだから単なる詐欺として処理すればうまく回るような気がするんだけど。。。子どもは善意の第三者ってことでいいし。

DNA鑑定と親子関係

DNA鑑定に関する技術の発展は、避妊技術がそうであったように、社会の仕組みを変えていく可能性がある:

Who’s Your Daddy? Global Nonpaternity Rates. | Psychology Today

The threat of being cuckolded is one of the most evolutionarily important threats faced by men especially in light of the fact that humans are a bi-parental species (i.e., children require great parental care from both parents).

二親性(biparental)の種にとって、他人の子供を育ててしまうことは進化論的な自殺だ。不貞(cuckoldry)に対する男性の反感 はこれにより説明される。

ここでは、DNA鑑定によって父親が子供の生物学的父親ではない割合のサーベイ(メタアナリシス)が紹介されている。

The standard nonpaternity rate that is most commonly mentioned across cultural settings is 10%.

その割合は一割ほどだ。これが多いと感じるかは人によるだろう。さらに、父親が生物学上の親子関係に持っている場合とそうでない場合に関する比較も行われている:

北米 ヨーロッパ その他
自信あり 1.9 1.6 2.9
自信なし 29.4 29.8 30.5

地域・文化によらず、前者の場合は2%前後、後者の場合には30%前後となっている。もしDNA鑑定が早期に可能であった場合に、他人の子供を育てる男性はどの程度存在するのだろう。

人間の心理は生物学的に固定されている部分があるので、親子関係を確定できる世の中になっても社会規範が完全に変わることはない。しかし、大きな影響があるのは確実であるし、法律面でも技術発展への対応が必要だ。

現状では父親の親子関係の認定は非常に複雑な制度になっている。嫡出・非嫡出の区別、婚姻関係による推定、内縁関係による嫡出扱い、非嫡出児の認知などいろんなケースがあるし、父親が自分の子でないと主張する方法も嫡出否認と親子関係不存在があり婚姻関係による推定を受けるか否かできまる。

しかし、父子関係の推定規定は親子関係を確定できないという物理的な制約からきたものだ。技術進歩により確定ができるようになった以上これを変える必要がある。

例えば、推定嫡子に対する嫡子否認が一年間に制限されていることの立法趣旨は家族・親子関係の安定だろう。できちゃった婚のように推定はされないが嫡子扱いのケースで、親子関係不存在を期限なく訴えられるのはこれと反する。なぜなら親子関係不存在はもともと利害関係にある第三者(相続人など)を想定して作られている。よって誰でも訴えることができ、期限が制限がない。新しい現実に対応できていないのは明らかだろう。

代理出産の問題も根は同じだ。今まで単に技術的に不可能であるから法律で規定されていなかったことについて(起きもしないことに規定を作る必要はない)、社会としての立場を法律という形で明らかにする必要がだろう