https://leaderpharma.co.uk/ dogwalkinginlondon.co.uk

少子化とハンバーガー

追記:ハンバーガーの例えがメインな気がしてきたので題名変更。Topsyのほうが変わってません。

昨夜に引き続き日本のニュースに軽いツッコミを:

4割が「子ども必要ない」20〜30歳代は6割−内閣府調査 (1/2ページ) – MSN産経ニュース

結婚しても必ずしも子どもを持つ必要はないと考える人が42・8%に上ることが5日、内閣府がまとめた男女共同参画に関する世論調査で分かった。

男女共同参画社会に関する世論調査のことだろう。過去の調査結果は内閣府男女共同参画局にある。ここで報じられている最新の調査結果はまだウェブで公開されていないのだが、新聞各社にだけ一定期間独占的に供給しているのかと疑ってしまう(まあ出所をリンクしないのは日本の新聞ではいつものことだが)。

子どもを持つ必要はないとした人は、男性が38・7%、女性が46・4%だった。年齢別では20歳代が63・0%、30歳代が59・0%と高く、若い世代ほど子どもを持つことにこだわらない傾向が顕著になった。

確かに二十代では「結婚しても必ずしも子どもを持つ必要はない」と考えている人が六割いるが、「子ども必要ない」と意味が全然違うような気がするのは私だけだろうか。私は子供をを持つ必要はないと考える人間の一人だが、個人として子供がいらないと言っているわけではない。

結婚についても「結婚は個人の自由であるから,結婚してもしなくてもどちらでもよいか」という質問になっており、

少子化の背景に、国民の家庭に対する意識の変化があることを示した結果と言え、内閣府の担当者は「個人の生き方の多様化が進んでいる」としている。

内閣府の担当者が言う通り、日本人が結婚・出産についてリベラルになってきているということだろう。

しかし、これを「少子化の背景に、国民の家庭に対する意識の変化があることを示した」と結論づけるのは早急だ。前述のように、結婚・子供が必要かと実際に結婚するか・子供をつくるかとは別のことだからだ。「ハンバーガーは必要か」と聞かれたら、そりゃ別に必要はないという人がほとんどだが、それはハンバーガーの消費量とはあまり関係ない

晩婚化や少子化といった現象はかなりの部分が経済学的に説明できる(参考:結婚と市場)。もちろん価値観・意識の変化もあるだろうが、それらを政府が変えるというのは難しいし、そもそも政府にそんな権限があるとは思えない。また価値観・意識の変化自体が技術進歩からくる経済状況の変化によって内生的に生じている部分もある。

ハンバーガーの消費が増えるのが心配なら、アメリカ文化に対する日本人の意識の変化なんか考えるよりもハンバーガーの価格を見たほうがいい。安いから消費は増えるのだ。もちろんみんながアメリカ文化が好きならハンバーガー消費も増えるが、それに文句をつけてもしょうがないし、安いハンバーガーを食べてるうちにアメリカの食事が好きになっただけかもしれない。

少子化とハンバーガー」への11件のフィードバック

  1. 調査票を見ると実際の設問は、「結婚しても必ずしも子どもをもつ必要はない」 となっていますね。つまり、依然として半分以上の人が「結婚したら必ず子供もつ必要がある」に「賛成」あるいは「どちらかといえば賛成」と答えていることになる。まだまだ十分保守的な気がします。
    要するに産経の記事は、極端な記事で注目を集めたいだけであって、統計調査結果とはほとんど関係ない、というのが妥当な読み方でしょう。

  2. むしろタイトルを「なんと過半数の人は結婚したら必ず子供を持つ必要があると考えている!!!」ってしたほうが注目を集めそうなのに。

  3. 《子供が必要がない》⇒《多様化が進んでいる》という論理はあまりにも拙速だと感じます。
    人の性質として、自分の置かれた状況を正当化しなければ心地よく生きていく事は出来ないと考えられるので、《経済的に結婚・子供という選択肢を持てない》⇒《持たなくてもいい》と考える方々が一定の層として存在すのではないか?という仮説・疑問を持つ必要があると思います。

  4. コメントありがとうございます。

    >《子供が必要がない》⇒《多様化が進んでいる》という論理はあまりにも拙速だと感じます。

    上述のようにこのポストの趣旨は「子供は必ずしも必要ない」を「子供が必要ない」としている報道の問題と、意識調査的なものの限界を指摘することです。

    確かに、「子供が必要ない」=「多様化が進んでいる」というのは乱暴な議論で、私もそれだけが理由だとは考えていません。

    しかし、重要なのは「子供が必要ない」と答える人が増えている理由ではなくて、子供をつくる人の数が減っているという事実です。同じように聞こえますが、前者は単なる発言、後者は実際の行動という違いがあります。

    そして後者については経済的な理由で大部分説明できるでしょうから、人々がどうして「子供が必要ない」と答えたくなるかというのはあまり考えなても仕方ないと思います。

  5. Rionさんお返事大変ありがとうございます。率直にうれしいです!

    〉意識調査的なものの限界
    ごもっともで、僕なんかの指摘がなくても承知の事でしょう。ただ、一部読者層にはそのような限界を考える事に至らず、文面を鵜呑みにする事もあると思いますので、あらかじめ、そのような説明も必要だと思います。
    〉そして後者について…以下
    について、ちょっと僕には何をおっしゃりたいのか理解できないのですが…申し訳ないです
    ↑が原因かもしれませんが、
    〉前者は単なる発言、後者は実際の行動
    勿論、大きな違いがありますが、行動の前に意志(≒発言)が存在しているはずだと思うので、行動以前にその発言自体を掘り下げる必要を感じます。

    お手数でしょうが、再び僕の率直な疑問についてお答え頂けたら有り難いです。

  6. >一部読者層にはそのような限界を考える事に至らず、文面を鵜呑みにする事もあると思いますので、あらかじめ、そのような説明も必要だと思います。

    分かりやすく誤解を生まない文章の書き方を勉強していけたらと思っています。不明瞭な箇所やミスリーディングな部分を指摘していただけるのは大歓迎です。

    >行動の前に意志(≒発言)が存在しているはずだと思うので、行動以前にその発言自体を掘り下げる必要を感じます。

    これは経済学を勉強した人特有の考え方かもしれません。

    ある行動の原因を知るのに、行為者の意図を尋ねるというのはあまり生産的ではないと考えています。心理学者が言うように、人間が質問にどう答えるかは、問いの設定の仕方などいろいろな要素によってきます。また、アンケートを取る側は相手が真実を述べているかを知る手段があまりないので、回答側が正直に答えているかもよくわかりません。ある答えを選んだのは「自分の置かれた状況を正当化しなければ心地よく生きていく事は出来ない」からかもしれないからです。

    それに対して、技術的・経済的変化というのは実際に観測できる情報で、我々がとった行動もまた観測できる情報です。この時の行動は行為者が自分に望ましいように選択したものなので、正直に行動しているか、というような問題は生じません。

    もちろん経済的要因以外の理由で行動を変えることもありますが、多くの部分は経済的に説明がつきます。そもそも答えがあるのか分からない内面よりも、こちらを考えるほうがいいと思います。

  7. 度々、お手数おかけして申し訳ありません。

    僕の文章力か読解力に欠陥があるのか若干議論が噛み合ってない状況ですが、結果的にはRionさんのおっしゃる
    〉多くの部分は経済的に説明がつきます
    ↑に全く同感です。

    僕の述べたかった事は、
    「子供はいらない」と回答する要因は
    《経済的要因》>《価値観・意識の多様化・変化》ではないのか??という事です。
    ご丁寧な、ご回答ありがとうございました。今後の記事も楽しみにしております。

  8. >《経済的要因》>《価値観・意識の多様化・変化》ではないのか??という事です。

    これには私も同意です。「価値観・意識の変化自体が技術進歩からくる経済状況の変化によって内生的に生じている部分もある」という部分がそれに当たります。

  9. Rionさん 大変申し訳ありません。
    噛み合わないのは当然です…
    どういう訳か…「内閣府の担当者が言う通り」以下の文章が全く僕の頭に入っていませんでした。
    サブタイトル?「…日本のニュースに軽いツッコミを」というRionのツッコミ同様に、僕もそのニュースそのものにツッコミを入れたようなコメントをしていました。
    完全に、僕のリテラシーの問題です。
    Rionさんの記事自体が、僕の言いたかった事そのものでした。
    ホントにお手数掛けて申し訳ありませんでした。

コメントは停止中です。