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フランスでは新聞が瀕死

June 22nd, 2010

以前、欧州の新聞社についての記事を紹介したが、いつの間にか瀕死に陥っていたようだ。

Le Monde on The Brink | Monday Note

France’s flagship daily is being crushed by a mountain of debt and has put out a call to investors capable of injecting between 80 and 120 million euros (100 to 150 million dollars) to come to its aid.

via Le Monde takeover battle in final stretch – Yahoo! News.

フランスで最も有名な新聞であるLe Mondeがキャッシュ不足で売りに出ているそうだ。

  • Le Monde seeks at least €100m (for a first round).
  • Le Parisien, a popular daily, is for sale; although quite good from an editorial perspective, it is not profitable and its family ownership wants to refocus on sports-related assets.
  • La Tribune, the n°2 business daily, is looking for a majority investor.
  • Liberation is also facing a  cash stress.

他の有力紙も惨憺たる状況だ。Le Parisienは売却先探し、La Tribuneは投資家探し、Liberationは現金不足とのこと。

どんな状況かが何やらパステル系のグラフにまとめらている。発行数は落ち、収益は落ち、営業利益はほとんどなく、損失が積み重なっている。

An excessive reliance on public subsidies which account for about 10% of the industry’s entire revenue.

しかも、これでも収益の10%は政府の補助金だという。日本でも新聞社の収益が落ちてきたら補助金を与えろとマスコミが運動を起こすのだろうか。フランスを見る限り補助金で問題は解決しないようなのでやめてほしいものだ。

The gent is paid €50,000 per year, works 32 hours per week and 164 days per year. Firing him costs about €466,000 – that’s a  French government estimate, it (we…) might pick part of the tab.

一つの問題は非効率な印刷施設だが、従業員は週32時間、年164日の労働で50,000ユーロを受け取っているそうだ。さらに、その従業員を解雇するにはなんと466,000ユーロかかるそうだ。これでは印刷施設を現代化することもできない。

地域ブログ

May 9th, 2010

地域をキーとした情報サイトが大きな注目を集めているそうだ。

「街興し」の切り札目指す 「地域ブログ」田舎に続々登場

「地域ブログ」を開設する目的はズバリ「街興し」だ。地元の人が自分達の持つ情報を交換しコミュニティー力を高めながら、全国、そして世界に情報発信しようという。

上の画像は最もアクセスが多いという沖縄のてぃーだブログだ。運営側が情報を提供するだけでなく、参加者がブログなどを通じて情報を発信できるようにもなっており、沖縄に関する情報のハブとして機能している。

運営しているのは1人から数人。それぞれ他に仕事を持っていて、いわばボランティア感覚でブログ運営に携わっている。「しーま」を運営するのは、奄美出身の30代の5人。それぞれ独自で奄美関係の情報を発信していたが、それを一箇所に集めることでパワーアップ、奄美の一大コミュニティーの場を作ろうと考えた。

こちらの奄美大島「しーま」の場合は仕事の傍ら五人で運営しているとのこと。ここでのポイントは地域での協力のありかただろう。こういった地域全体の振興というのは、自分が参加しなくても恩恵を受けられる。そのため地域振興は地方政府の仕事であることが多い。ウェブはそれを個人で行うことを可能にした。しかし、低コストゆえに一人で運営できても情報はある程度集まらないと価値がでないし、一人で運営していると話題を絞るのも難しい。

もちろんローカル情報へのシフトは日本だけではない。例えば上のサイトはBerkeleysideというバークレー市に特化したサイトだ。但し、これはごく典型的なブログで、読者の参加はコメントや、ポストのサブミッション程度だ。

このような地域ブログを組織化している企業もある。上はPatch.comというサイトで、地域レベルでの情報発信を行っている(@ayakomieさん就職おめでとうございます)。こちらの場合は地域振興というよりも、いかにローカルなジャーナリズムを維持していくかというのが主眼となっている。

地域レベルでの情報集約・発信への関心は高まっている。どのような目的・やり方ならうまくいくのか、地域といったときそのサイズはどの程度が望ましいのかなど、いろいろな課題はあるが地域という切り口で情報がより多く発信されより広範に広まるのであれば素晴らしいことだ。

追記

福岡には「よかよか」というブログサイトがあるそうです(ht @keitabo):

日経TEST

March 14th, 2010

日経TESTというものがあるそうだ(ht @AkieIriyama)。もう一年以上実施されているらしいが今日初めて耳にした。

日経TESTは日本経済新聞社と日本経済研究センターが主催するテストで、正式名称を「日経経済知力テスト」といいます。TESTは経済知力テストを英訳した「Test of Economic Sense and Thinking」 の略称です。経済知力は、経済の仕組みや流れを理解し、新しいビジネスを生み出す能力を意味します。これからのビジネスリーダーを目指す人材に求められる必須の能力です。

「経済知力」という物を測るそうだ。経済の仕組みや流れを理解するのはいいとして、新しいビジネスを生み出す能力とは何だろう。経済学的には非効率かつ自分が改善できる場所を見つける能力のような気がするが、具体的にどんな能力かは書いていない。説明できない能力をどう測定するのだろう。

出題する問題は、経済とビジネスに関する基本的な理解力があるかないか、ニュースに対する感度はどうか、考える力はどの程度かなどという観点から作成しています。教科書的な知識の有無を問うだけの試験ではありません。

教科書的な知識ではなく、感度や考える力を測ってくれるそうだ。さて例題を覗いてみよう。

Q1. 消費の現場で言われる「シックスポケット現象」のシックス(6)に当てはまるものを下の選択肢から選びなさい。

「消費の現場」という日本語が良く分からないのはおいておくとして、「シックスポケット現象」の意味を問う問題だ。単に教科書的知識を問う問題に見える。ちなみに英語で検索しても見当たらないが和製英語だろうか。

Q10. 消費者行動を説明する用語に「AIDMA」がある。「アテンション(認知)、インタレスト(興味)、デザイア(欲求)、メモリー(記憶)、アクション(行 動)」の頭文字を指すが、インターネットの普及によりそのパターンが「AISAS」に変わってきたという説がある。「AI」までは同じだが、後半の 「SAS」は何を指すか。

これは難題だ。どちらも聞いたことがない。SASと言えば統計パッケージしかしらない。「経済知力」が足りないようだ。これまた日本語ばかりヒットするがWikipediaによると電通が流行らせたらしい:

日本語圏において「AIDMAの法則」として、広告代理店の電通等により提唱されたAISASとの比較により知られる。

お陰様でまた雑学が増えたが、これも教科書的知識なのだろうか(「的」があるので教科書に載っていなくもいいのだろう)。もちろんバズワードの意味を問う問題ばかりではなく、経済畑の人に答えやすい問題もある。

Q8. 現在のFRB(米連邦準備制度理事会)議長は誰か。

言うまでもなく、これも四択だ。むしろFRBとは何かを選ばせた方がまだ難しいだろう。一番面白いのは次の質問だろうか:

Q6. 商品注文時などに、店舗スタッフが歌を歌ってくれることで有名なのはどこか。

よく言えば多様性に富んだ、逆に言えば何を測りたいのかさっぱり分からない問題が並んでいる。大体次の四つのカテゴリーに分けられる:

  1. 最近の(日経的)流行り言葉
  2. 統計の大体の把握
  3. 最低限の会計の知識
  4. トリビア

考える問題がないのはご愛嬌だ。大学で教えるような経済学の問題もほぼないが、必要ないと考えられたようだ。「新しいビジネスを生み出す能力」をどこで測っているのかはよく分からない。

日経TESTは、新聞の取材・報道で蓄積した豊富な事例を素材に、ベテランの編集委員らが時代の変化を見据えながら試験問題を作成しているのが最大の特色です。

時代の変化を見据えるというのは最近の流行を追ってみることなのだろうか。TOEICのようなビジネスを狙うにしても、新聞を買わせるために現在の紙面に試験の方を合わせている限り成功することはないだろう。試験は独立した機関が作成するか、少なくとも意味のある試験を作り、それに役立つよう紙面の方を変えて行くのでなければ見込みがないように思われる。

ニュースは儲からない

March 9th, 2010

メディアが陥っている問題について非常によくできた記事の紹介。

News is a lousy business for Google too

There is a widespread myth that search engines have taken profits away from news websites.

サーチエンジンがニュースを提供する企業から利益を横取りしているという主張はよく聞く。しかし、ネット上でニュースが儲からないことはサーチエンジンがなくても十分説明できる。

The internet upended this model by 1) providing a new delivery method for classified ads (mainly Craigslist), 2) increasing the supply of newspapers from 1-2 per location to thousands per location, thereby driving the willingness-to-pay for news dramatically down, and 3) unbundling news categories, making cross subsidization increasingly hard.

三つの理由が挙げられている。一つはCraigslistを代表とするクラシファイド広告の登場だ。こういった広告は旧来の(アメリカの)新聞にとって大きな収益源であった。二つ目に地域独占が解消し、ひとつの地域でたくさんの新聞を購読できるようになった。三つ目はニュースを分けて販売できるようになったためニュース以外で稼いでニュースでお金を使うということできなくったことだ。

これらはどれも紙媒体に存在した紙媒体のボトルネックがなくなったことにより生じている。配布コストが下がれば地域独占はなくなり競争はまし、バンドルを維持できなくなる。クラシファイド広告もまた旧来はバンドルされていたコンテンツの一つだ。

ここまではこのブログでも何度も述べてきたことだが、次の話が面白い。

Even Google doesn’t make money on it.

ニュースはGoogleにとってすら儲からないという。実際にAfgranistan warで検索しても広告が表示されない。あまりにも収益が少ないからだ。

Big money-making categories include travel, consumer electronics and malpractice lawyers. News queries are loss leaders.

Googleが利益をあげるのは旅行や電化製品、それに訴訟ネタだという。実際、去年の最も高いキーワードはMesotheliomaだった。ニュースで利益を出せないのは検索エンジンに横取りされているからではなく、そもそもニュースが生み出す利益が非常に小さくなったためだということがよく分かる。

欧州新聞社のオンライン戦略

March 2nd, 2010

新聞の話題が続いているが、ヨーロッパのストーリーは珍しいので取り上げたい。

Lessons for U.S. Media From European Paid-Content Plays

Le Monde in France, for example, has been charging for premium content since 2002, and has racked up 100,000 subscribers steadily paying $8 a month — even though its traditional newspaper circulation is barely more than 300,000.

フランスの代表紙であるLe Mondeはプレミアムコンテンツに対して月$8相当の料金を課しているが、十万人もの顧客がいるそうだ。これは紙媒体の購読者の三分の一で相当な数字だ。英語ではなくローカルな情報を伝える点でアメリカの新聞社に比べると利益を上げるやすい面はある。これは日本にも当てはまるはずだ。

Le Figaro’s approach, 14 months in the making, keeps the main newspaper content free but offers two other options at $10 and $20 a month. Premium users get access to in-depth information, special offers, twice-daily newsletters, roundtable discussions with journalists, the opportunity to see their own content on the home page of the site and a concierge service that can arrange everything from theater tickets to shirt cleaning.

Le Figaroは基本的な内容を無料で公開した上で$10/$20相当の二段階のオプションを用意している。ここで面白いのはそのプレミアムコンテンツの内容が単なる情報に留まらないことだ。記事ではジャーナリストとの討論やコンシェルジュサービスが挙げられている。

Two regional titles in Germany, Berliner Morgenpost and Hamburger Abendblatt, have put up pay walls around premium content. But two big national titles, Bild and Die Welt (owned by publishing company Axel Springer), are keeping their websites free while selling iPhone-app subscriptions for $2 to $5 a month.

ドイツではBerliner MorgenpostとHamburger Abendblattがペイウォールを採用する一方で、大手であるBiltとDie Weltはウェブを無料でiPhoneアプリを$2から$5で提供しているとのこと。これは課金の容易さ・iPhoneを利用した価格差別の観点からも妥当な戦略だ。

The Guardian, Britain’s most-visited newspaper website, launched a $3.73 iPhone app — despite outspoken rejection of the pay-wall model — it sold 70,000 in the first month.

The Gurdianも同様のiPhoneを用いた戦略を採用している。

“In the long run, though, the industry has no choice. It has to find a way to get people to pay for content. It’s a great experiment.”

どの新聞社にも共通しているのは、長期的にはデジタル化に対応するしかないと理解した上で如何に収益をあげるかを試していることだ。日本でも日経による本格的なデジタルコンテンツの提供が始まったが既に大きく遅れを取っている。寡占的な企業がイノベーションを採用しないというのはよく知られた話だ。競争政策を含めた対策が必要かもしれない。