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ストライサンド効果

多くの人が既にTweetされているがあまりにも酷い話なのでここでも紹介:

6年も前のブログでニッポン放送?東京電力?からドタキャンをくらう話。 – KandaNewsNetwork

6年も前のブログでニッポン放送?東京電力?からドタキャンをくらう話。

細かい事情についてはリンク先を参照頂きたいが、簡単に言うと、神田敏晶さんが六年前にブログでスポンサーである東京電力にとって都合の悪い記事を書かれていたためにニッポン放送での出演を直前に断られたという話だ。

問題とされた記事「 真実と事実はちがうバグダッド」も直接東電を批判しているものではない。神田さんは次の一節が問題視されたのではないかと推測している:

「日本の原子力発電などに利用された劣化ウランが米国に販売もしくは、廃棄物利用のために利用されているというのもある意味、「派兵」以上の大きな責任があるのかもしれない。」

言うまでもなく、これは神田さんの原子力発電そのものへの立ち位置を示すものではない。またこのような対応はニッポン放送にとっても東京電力にとっても好ましくない結果をもたらす:

いや、このブログを書くことによって、一生、東京電力さんとの仕事はできなくなってしまうのだろうか?

当該記事の内容を問題視することで、その内容に信憑性を与えてしまうからだ。11日に公開されたこの記事に関するTweetを私自身も二度目にしており、現時点で230回以上Tweetされている。その挙句に私なんかがそれを記事にしてしまうわけだ。

インターネットに発達によって生じたこの現象はストライサンド効果(Streisand Effect)と呼ばれる。 Wikipediaの定義を引用しよう。

The Streisand effect is a primarily online phenomenon in which an attempt to censor or remove a piece of information has the unintended consequence of causing the information to be publicized widely and to a greater extent than would have occurred if no censorship had been attempted.

オンラインによって情報の拡散を抑制しようという行為は逆効果になるということだ。これはTechdirtのMichael Masnickが2003年に名づけたもので、女優のBarbra Streisandが広域航空写真から自身の邸宅の削除を求めた件にちなんでいる。

誰もが情報を発信できるようになったことが、このような都合の悪い情報の検閲を極めて難しくした。情報の流通インフラが大手メディアに独占していた時代には、今回のようにマスコミに干渉することで流通を概ね止めることはできただろう(そしてこの一件はマスコミが実際にそうしてきたであろうことを示唆している)。

東京電力さんがキャンセルするのなら、ボクも東京電力さんをキャンセルしたい!
しかし、関西電力や中部電力にスイッチ!できないではないか…。

ましてや、市場支配力を持つ企業相手では消費者として財・サービスの購入をやめるということすらできない。メディアさえ抑えてしまえば何の不都合もなくなるわけで、その利益の一部をメディアに(広告費などで)供与して味方につけるだけでよい

都合の悪い情報は、広告主の立場でマスメディアから完全シャットアウトできても、その反作用はソーシャルメディアでは、確実に増長される。

それが、ソーシャルメディア時代の民主主義の正しいありかただと思う。

ソーシャルメディアはDiggにおけるAACS暗号鍵の一件が示すように、この現象をさらに大きなものにする。Twitterのようなサービスで情報が拡散、ソーシャルブックマークに記録され、ブログなどでさらに分析が行われる。

もちろんこのことが、大手メディアや情報を隠そうとする企業の責任を軽減させるわけではないし、逆にメディアが今まで果たしたきたとされる役割に疑問を投げかける

ストライサンド効果」への10件のフィードバック

  1. 東京電力は大スポンサーなのでマスコミは報道しないのでしょうか・・・この様子だとマスコミの報道は期待できないですね。

    • 全く期待できません。正直これで、テレビ局や新聞社がなくなるとジャーナリズムがと言われても説得力がないなぁと思います。

  2. >女優のBarbara Streisand

    どうでもいいことなんですけど、Barbaraは本名、芸名はBarbraなんですよ。

  3. 少し、話題から外れるかもしれませんが、Google が中国から事業撤退を検討しているというニュースを連想してしまいました。
    根拠は薄いですが、結局Google は撤退しないのではないかと思っています。
    Streisand Effectを期待しているか否かは不明ですが、撤退の意向を表明することで、なんとか話し合いに持ち込もうとしている節がうかがえるからです。
    それにしても中国政府がどう反応するかに興味を引かれます。

    • Googleが撤退するのは両者にとって利益がないので、余程のことがなければ適当な妥協点で落ち着くと思います。

      Googleは今回の件で既にかなりの評判を稼いでいますし、中国側が余程強きにでない限りは大丈夫でしょう(まあ中国なのでどうかは分かりませんが)。

  4. いつもありがとうございます。

    先ごろの北米におけるトヨタ車のリコール問題も、日本のマスコミでは、ほぼ目にすることはありませんでしたね。
    もちろん事件の質の違いもありますし、一概に比べるわけにもいきませんが、数年前の三菱に対する報道のそれとは大きな隔たりを感じてしまいます。

    • 日本のメディア、特にオンラインでの展開には多くの課題が残されていますね。やはり業界の寡占状態の解消が必要なように思います。

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