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Twitterでは「つぶやく」な

注意:Twitterの仕組みに関する記事なので利用したことのない人には分かりにくいかもしれません。とても良くできた仕組みなので、ぜひ利用されることをお勧めします。よろしければフォローください

最近、「Twitterを「つぶやき」と翻訳した罪」なんて記事を読んだ。記事中には次のように「つぶやき」という訳の問題が指摘されている:

「140文字限定」、「つぶやき」、「フォロワーにのみ伝える」。こうしたキーワードだけで判断すると、いかにも閉じた空間の自己満足的なツールにしか見えない。

これは確かに残念なことだ。何故ならTwitterがFacebookやMixiのようなSNSと異なる点がまさにその開放性にあるからだ。Twitterも元々はFacebookにおけるステータス更新をSMSで行う仕組みだった(参考:Wikipedia)。Twitterのオフィシャルサイトでの質問が”What are You Doing?”だったことがそれを象徴している。

ではTwitterがFacebookのステータス更新やMixiの日記と違うのは何か。それはTwitterの仕組みの根底にある一方向性だ。従来のSNSでは友達になるためには相手の承認が必要だ。昔の友達を発見したり、最近会った人を見つけたりするのには役立つが、あくまで既存の人間関係を補完するものに過ぎない。見ず知らずの人間が友達リストにたくさんいる人は少ないだろう。それはまさに「友達」リストなのだ。

逆にTwitterにおける「フォロワー」は一方向的な概念だ。相互にフォローすれば「友達」と変わらない状況になるが、最初は常に一方通行で始まる。例え現実に友達同士だったとしてもどちらかがフォローを始めるのには変わりない。この一方的にフォローし始めるのがデフォルトという仕組みがTwitterの革新的なところだ

まず私が誰かをフォローし始める場合を考えよう。これはFacebookやMixiではまずうまくいかないがTwitterではごく自然なことだ(だからTwitterがSNSと何が違うかを知りたければまず一方的にいろんな人をフォローしてみよう)。この状態ではフォローした相手のTweetが自分のタイムライン(TL)に表示されるだけでブログをブックマークしたりRSSで購読しているのと大差ない。しかし、ここから相手に@でメッセージを送ったり、Retweetで相手のTweetにコメントすることが可能だ。意味のあるコメントをすれば相手がフォローし返すこともあり、何の関係もなかった人間と「友達」になることができる。相手は決まっているのでこれは「つぶやき」でも「フォロワーにのみ伝える」でもない。しかしこの特性を生かすためには、できるだけ有益なコメントをする必要がある

逆に自分が誰かほかの人にフォローされるのはどんな場合か。それは自分のTweetに価値がある場合だ。現実の友達であれば朝何を食べたかにだって興味があるかもしれない。しかし、既に有名人でもなければ見ず知らずの人間があなたのごく普通の日常に興味を持っていることはない。他人にフォローしてもらうためには、なるべく有益な情報や興味深い議論を提供する必要がある。しかも、Twitterは多くのネット上のシステム同様にストリーム型のコンテンツであり、紙媒体とは異なりぱっとみて取捨選択するには一工夫(リスト・フィルター・ボットなど)が必要だ。ストリームの価値を上げるにはノイズ比を下げる必要があり、それは大した意味のない「つぶやき」をしないことを意味する

これらの特徴はブログにもそのまま当てはまり、Twitterがミニブログ(microblogging)に区分されるのも頷ける。旧来のブログと異なるのは、情報の送り手・受け手という関係が固定的でないこととリアルタイムであることだ。ブログでもコメント欄などを通じて読者と交流することは可能だが、相手もブログを持っていない限りやりとりは限定的だし、常に非同期な形でしかない。Twitterはその交流を自然な形で拡げることができるという点で、ブログを書いている人にとってコメント欄を代替する必要不可欠なチャンネルになりつつある(TopsyのようなTwitterのアグリゲーターが役に立つ)。

先ほど、MixiやFacebookについて「既存の人間関係を補完するもの」と述べた。これは別の見方をすれば非常に不自然なシステムだ。現実の人間関係は常に新しい可能性へと開かれている。その意味でTwitterは「既存の人間関係の在り方をネット上で再現するもの」と言えるかもしれない

ちなみに、相互にフォローしあっている、つまり「友達」状態の場合には@でやりとりすることで、両者をフォローしている人以外のTLにはTweetが表示されなくなる。これにより、そのやりとりに関係ない人に対しての自分のストリームの価値を下げないで済むし、既存の友達との間のインスタント・メッセンジャーとしての役割も果たせる。

Twitterでは「つぶやく」な」への23件のフィードバック

  1. 本来は短い「つぶやき」をウリにしようとしたのにもかかわらず、普通の会話のようにつかうと便利というのは使っているうちにユーザーが勝手に気づいたような感じですね。

    140文字限定というのはそのうちいらない制約になってしまうのではないかとも感じます。会話で濃厚な議論をしたい場合は、わざわざ字数を制限するメリットが感じられません。

    • 本当に短い「つぶやき」(というかtweetだから「さえずり」?)を聞きたい人なんてあんまりいないわけで、twitterが広がったのはそこではないと思います。

      140文字制限は必要なくなっているとは思いますが、まあ発言を分ければいいので特段困っているわけもないという状態でしょう。Twitterはどうも不安定なので、当分文字数拡大はなさそうです。

      • 文字数制限があることがプラスに働いているように思います。

        長いブログはよっぽど興味がないと見なくなります。

        リアルなコミュニケーションも同じで、話が長い人の話は、聞きたくなくなりますしね(笑)

        これだと話が長い人も短い人も対等なフィールドに立てますし。

      • 長い文が受けないなら制限がなくても短くするようにも思いますが、セルフコミットメントの問題があるのかもしれませんね。

        私は長い文を書きがちなのでどうやって読んで頂くか苦心しております(笑)。

  2. なんかみな解釈が違う気がする。
    たぶん文章の意図はこう。

    文字数が限定されている
    →ノイズが少なくて価値の高い情報にフォローが集まりやすい。

    そして、
    snsと違ってフォローが一方的にしかできない
    →フォローしてほしいから上記の傾向に人々が気づきやすい。

    つまりtwitterは、大事な情報の集約された短文を、ノイズ比率少なく発するアカウントのみが生き残る情報ネットワーク。
    自己学習するシステムのよう。

    この解釈じゃないでしょうか?
    この文章にはとてもいい気づきを与えてもらいました。ありがとうございます。

    • >→ノイズが少なくて価値の高い情報にフォローが集まりやすい。

      この傾向は十分にありそうですね。Twitterもノイズが多いように感じますが、確かに他の媒体に比べるとだいぶましな気がします。

    • 反論というわけではないですが、ノイズが少ないのと字数制限があることにはあまり関係がないような気がします。(オープンである限りそのうちノイズは必然的に多くなるでしょう。)

      Twitterが、Rionさんが本文で指摘したようなSNS的な部分において新しいコミュニケーションのカタチを本当に提供しているなら、140文字という中途半端な制約は足かせにはなれどメリットにはならないのではないかな〜と。

      Tweetsのリストを表示するときに、はじめの140文字だけを表示するようにコードすればいいだけですよね。そんでもって、書き手はTweetのはじめの140文字程度で人を引きつける努力をすればいいだけです。

      そういうWebサービスがあってもいいと思います。

      なに俺必死になってんだろう(笑)。

      • ブログ、feed、tumblrなどを使えば文字制限の問題は全くないですよね。長い文章の冒頭や見出しだけをポストして、誘導することができます。
        わざわざ誘導する必要のないような、会話のノリであれば、140字は十分長いものだと思います。一方がそんなに長く話していたら会話のキャッチボールにはならないでしょう。
        そもそも、全てをTwitterでやろうなどとはユーザーも開発者も誰も思っていなくて、だからこそAPIがオープンになっているし、いろんなクライアントソフトが出ているんですよね。まあそう固く考えずに、っていうのかTwitterの基本かなと思います。
        ノイズに関しては、ちょっと誤解しているかも知れませんが、タイムラインは本人が自分の意思で選んだものなので、本来「ノイズ」は無いに近いはずです。ノイズだと感じたらあんフォローすれば良いのですから。

      • Twitterの運用にはそういうゆるーい雰囲気があってそれがうまく言っているという印象はありますね。

        ここでのノイズはあるアカウントのノイズです。面白いことを言う人なんだけど、どうでもいいtweetも多いようなひとのことです。

        • ノイズに関しては、受け取り方ですよね。いろんなツイートすべてひっくるめてそのアカウント=その人ですから。でも、有用な情報しか発信しない人って、そんなに面白いでしょうか。やっぱり寄り道もスキもある人の方が面白い気もします。

        • もちろん、読者にとって面白いようにスキを混ぜるのはいいと思いますよ。

          私が指摘しているのは、日常生活をそのまま流されても面白くないということです。

          まったくノイズがないほうがいいといってるわけではありませんし、最終的には個人の好みです。

          時々ウィットのきいた脚注の入った教科書は素晴らしいですが、本文でも常に笑いをとろうとしている教科書は(通常)ダメだということです。

    • 140文字については毒之助さんに賛成かな。字数制限は会話に足かせになっていることが多いように感じます。

      もし言いたいことを簡潔に表現することができない人が多いのであればそれを強制するメカニズムになっている可能性はありますが。

      Twitterと連携して長い文書をポストするような仕組みはあったように思います。

  3. 経済学的視点でTwitterを見るのも面白いですね。非経済的な人間として、読みながら「ノイズ」について気付いた点を一つコメント致します。

    こちらではノイズと切り捨てられる、単体では価値の低い「つぶやき」も、多く観察するうちに一定のパターンが表れて、そこから相手に対する評価ができる事はあるものです。
    ノイジーかノイジーでないかを判断するのは発信側でなく、受信側です。一見ノイジーに見える個人の「つぶやき」の中から思わぬ拾い物があるという点も、Twitterの一つの価値だと考えます。

    一見非合理的な「つぶやき」が、報酬となって帰って来る意外性。これもTwitterの流行っている理由の一つではないでしょうか。

    短期的には全く評価対象にならないように見えたとしても、「つぶやく」事はそれほど非効率的なことではない、と私は思いますよ。

    • 「つぶやく」ことも価値になることもありますし、それを狙うのは全然いい戦略だと思います。

      ただ、あまりにも何食べた、どこについただの連発しているアカウントをフォローしたい人も少ないわけで、バランスは重要ですね。私のTLにも「つぶやき」は結構あります。やはりバランスですね。

  4. ピンバック: Twitterエコシステムのインパクト « そうだ!スタンフォ~ド、行こう。

    • えっと、よく意味がわからないのですが?Twitterでつぶやいても構わないと思いますが、Twitterの長所を活用できないかなという趣旨です。

  5. twitterにはノイズなんてないし、つぶやいちゃいけないなんてルールも無い。

    • ノイズというのは読み手にとって価値ないが薄いtweetのことです。ルールがあるという主張はしておりません。

  6. ピンバック: links for 2010-02-11 | ニジュウリョク

  7. こんにちわ。

    かなり遅いコメントですが、少しだけ意見を述べさせていただきたいので、お願いします。

    Twitterにしろ、なんであるにしろ、有益性の高いものばかりが、価値を認められる世界って窮屈だなと思います。

    もちろん、高い戦略性を持って、自分の価値を高めていくことが、現代社会を勝ち抜いて生きることには必要です。

    そうやって生きている人もいて、収入という形で、社会からは高い評価を得ているのだと思います。

    でも、そういう風に考えない人も居ます。又、考えないというより、あなたのような優れた人(皮肉ではなくて)が周りに居なくて、まったくそういう考えを知らない人も居ます。

    そういう現状を考えると、あなたの述べていることがカバーする対象は狭いなあって思います。

    あなたと同じようなポジションに居て、似たような価値観を持っている人、持たざるを得ない人にとっては、あなたの論理は非常に鋭くて、正しい。

    でも、そうでない人にとっては、ちょっと窮屈な意見ですね。

    • こんにちは。

      >Twitterにしろ、なんであるにしろ、有益性の高いものばかりが、価値を認められる世界って窮屈だなと思います。

      まあ価値を認めるのは受け手なのでしょうがないかと思います。私も好きなことを好きなように発信できればいいなとは思います。ただ、自分が受け手にたった時、自分にとって何らかの有益性がなければやはり読まないんですよね。その意味で、普通の市場と同じだとは思います。価格が付きにくいので分かりにくいですが。

  8. ピンバック: 「ツイッター7つの仮説」について » 経済学101

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