日本は起業が難しいのか

日本では起業するのが難しく、どうにか改善する必要があるという議論をよく耳にするが実際のところどうだろうか。

Entrepreneurs – stuck on the starting blocks?

上のグラフは各国における起業に伴なう障害を数値化して並べたものだ。オレンジの部分は規制や行政の不透明性、紫の部分がスタートアップの事務負担、青い部分が競争の阻害要因(規制産業など)だ。OECD加盟国中、日本は真ん中より少し企業しにくいといった位置づけになっている。要素ごとの内訳も他国と余り変わらない。

加盟国全体で起業に対する障害は徐々に緩和されており、日本でも制度面では起業が難しいというわけではない。実際、行政書士の費用や収入印紙代、法人住民税などを用意すれば個人でも比較的簡単に設立できる。よって日本で起業が難しいという事実があるとすれば、それは起業にまつわる制度の問題ではないことが解る。

最も明らかな遠因としては雇用の硬直性だろう。起業するかどうかはキャリア選択であり、その費用には給与所得のために働かないという機会費用が含まれる労働市場が硬直的であればこの費用は大きくなる。副業で起業すればこの費用は抑えられるが、片手間で事業を行うのは難しいし、副業を禁止する雇用契約も多い。

起業に関する制度改革や起業家のサポートもいいが、労働市場が相変わらずであれば起業が増えることはなさそうだ(少子化の最大の原因が子育ての機会費用の増加であり、多少の金銭援助では効果が望めないのと似ている)。

日本は起業が難しいのか” への4件のコメント

  1. 資金調達の容易性が考慮されていないグラフを見ても現実を理解できないね。起業は容易でも実際運営を図る上での実弾を用意出来なければ起業する意味が無い。余剰資金や土地資産、運営実績を持たぬただの人が1000万以上の資金調達ができるかどうかやってみるが良い。

    • 資金調達も重要ですが、1000万以上の外部資金が必要な事業は起業のうちでごくごく一部ですからこれはこれで意味があると思いますよ。

  2. 確かに日本での起業が増えない理由の一つとして、労働市場の硬直性が挙げられると思いますね…
    しかしこの労働市場の硬直性は終身雇用制の産物でもあるので、単に起業が少ないから労働市場を流動的にしようとするのは危険な気がします。
    パッチワーク的に良い部分だけ貼り合わせるのではなく、繋がりを持ったシステム全体で考える必要があるように思います。(これは小泉竹中への批判ですが…)

    余談ですが僕の知り合いも先日起業しました。
    面白そうだから起業したそうです(笑)
    その人はの務める会社は兼業可なので、失業の心配もなく、それゆえに簡単に(?)起業出来たのかもしれません…
    ちなみに何も活動していないので赤字垂れ流しだそうです^^;

    • >しかしこの労働市場の硬直性は終身雇用制の産物でもあるので、単に起業が少ないから労働市場を流動的にしようとするのは危険な気がします。

      終身雇用という制度はもういらないように思います。続けようにもいつか崩れるでしょうし。

      >その人はの務める会社は兼業可なので、失業の心配もなく、それゆえに簡単に(?)起業出来たのかもしれません…

      妥当な方法だと思います。

      >ちなみに何も活動していないので赤字垂れ流しだそうです^^;

      ちゃんと活動しても最初は赤字でしょうし、確定申告して所得通算されるとよろしいかと。

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