カリフォルニアにも新幹線のような高速鉄道を通そうと話が進んでいるが、そのメリットは単なる時間の節約だけではない。
How High-Speed Rail Can Help Expand the Economy – Creative Class
It’s been hard to justify high-speed rail (HSR) projects in terms of conventional cost-benefit analysis.
標準的な費用便益分析では、交通機関の便益は時間の節減である。利用者がどれくらいいて、何分短縮出来るか、そして時間の価値はいくらかといったことを考える。しかし、高速鉄道のメリットはそれだけにとどまらない。
First, HSR expands the labor pool available to firms, bringing talented workers from nearby centers within commuting distance and thus expanding the quantity and quality of available employees.
通勤が短縮されることで、企業にとってはアクセスできる労働者のプールが拡大する。
Second, HSR makes more jobs available to workers without making them have to relocate and move to a new home.
逆に雇用される側にとっても引っ越すことなく職を変えることができる。労働市場が大きくなれば、高度に専門化された人材の市場が発達する。
Third, HSR extends the benefits of other expensive, productivity-enhancing infrastructure such as airports across broad regions.
労働市場が拡大するだけでなく、空港・大学のような生産性を上昇させる大規模な施設を利用できるようになる。同じメカニズムは娯楽施設にも当てはまる。人口10万人の街では採算の取れない施設が人口100万人の都市では有効に活用出来る。
これらのメリットは都市への集積化の一般的利点だ。アメリカでは公共交通機関が発達していないので、効果は大きいだろう。
昨年暮に、広州から武漢を結ぶ新幹線(車体は欧州製)が開通しました。武漢と北京は今年中に開通するそうです。中国恐るべし。
中国における、このような広域をまたぐ高速鉄道は、沿線の地方都市の経済振興効果がかなり大きいそうです。(いままで過疎だった街へ、大勢の人と金が押し寄せてくる)数年中には、香港から上海への新幹線も開通して、飛行によらず、比較的短時間の移動が可能になります。
中国における高速鉄道のもう一つのメリットは、その輸送能力です。12億(戸籍のない人を含めると15億いるといわれる)人々が、旧正月と国慶節に民族大移動するのですが、その人達が利用できるようになれば、故郷がぐっと「近く」なるでしょう。多くの貧乏な人が利用する超劣悪な長距離寝台バスがはやくなくなってほしいと願っています。私の深圳事務所のフタッフも、バスは汚いと言って、片道12時間の席なし長距離列車にのって、旧正月に故郷を行き来してきたそうです。
通勤に使うような距離でなくても商談に行くだけなら大丈夫という地域が広がりますよね。中国の話は興味深いです。
中国の現状は明らかに交通機関のキャパシティが足りていないように思います(私は香港と上海しかいったことないですが…)。
日本が行き過ぎというのはありますが、アメリカでも鉄道は明らかに足りていません。
予想される利用者が平均して低所得なこともあり社会的に有益な事業だと思います。
僕、この種のエントリー大好きです。
日本だと高速鉄道(新幹線)は都市と都市をつなぐ以上の便益をもたらしたと思います。
>人口10万人の街では採算の取れない施設が人口100万人の都市では有効に活用出来る。
この視点が地方自治体に欲しいです。空港はもちろんのこと、地下鉄などは名古屋、京都、神戸など主要都市でも軒並み赤字らしいです。地下鉄は500万人くらい集積していないと難しい高度なビジネスなのでしょうかね?
ありがとうございます。あまりアクセスが伸びるタイプではありませんが…。
地下鉄は非常に高コストなので難しいですね。ただ、交通機関には外部性があるので採算が取れないから即無駄というワケではなくて線引きが難しいです。例えば私が東京メトロに乗るとき200円とか払うとして、私に取っての地下鉄の価値はそれよりも遥かに大きいです。
高速鉄道で通勤するメリットってほとんどないと思いますよ。サンフランシスコからロスに毎日高速鉄道に通勤するなんて馬鹿らしいことしますかね。日本でもバブル期に首都圏の住宅価格が高騰した時、リニア新幹線で名古屋から通勤できるようになれば住宅問題は解決できると石原慎太郎なんかが言ってましたけど、通勤費用というベタなコスト考えれば全くナンセンスです。
いまSanFranciscoにすんでSouthBayで働くと通勤が75分くらいかかります。 個人的にはとてもやる気にはなりません。でも30分で着くなら私もそれぐらい通勤しますよ。
完全に毎日通勤でなくても週1,2回いく必要があるということもあります。
またSF-LAの例でいえば途中に複数の都市があります。SF-LAで通勤する人はいるわけありませんし。
メリットについては誰のメリットかにもよります。限界的な利用者にとってメリットがないのは常にそうですから。
ItsNotTheSameさん:
SFからサウスベイにかけてはいろんな産業があるのにCalTrainはどうしようもないですよね。SF-SacramentoやLA-SDも重要な区間だと思います。
自分で計算した訳ではないので真偽はいまいち判りませんが、輸送手段としての鉄道網は車での移動に比べてエネルギー効率もいいらしいですね。省エネやエコが大きな関心を集めている今が高速鉄道網の導入の好機なのかも知れません。
エネルギー効率は人口密度にもよりますが、適切な交通機関が設計されれば密度は上がるのでプラスなんじゃないかと思います。アメリカの街はどこも密度が低すぎですから。