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赤ん坊の値段

養子のマッチングデータから、養子に出される子供の値段を推定している。

Markets in everything: Discount babies

元になっているペーパーは「Gender and Racial Biases: Evidence from Child Adoption」。

It’s about $8,000 cheaper to adopt a black baby than a white or Hispanic child and girls tend to cost about $2,000 more than boys.

養子をマッチする仲介者が提示する金額は、黒人の子供を指定した場合のほうが白人やヒスパニックの場合よりも$8,000安く、女の子の方が男の子よりも$2,000高いとのこと。原因としては、親が自分と同じ人種の子供を好むこと、女児の方が大きな問題を起こしにくいことなどいろいろ考えられる。

It is hard to know exactly how many black newborns in the sample are not adopted and wind up in foster care. Black children make up 32% of the foster care population, but just 16% of adoptees (including domestic and international adoptions).

しかし、このフィー=価格差があっても需給が一致しているわけではない。黒人の養子に占める割り合いは16%だが、フォスターケアの32%を占める。

The paper finds the cost of adopting a black baby needs to be $38,000 lower than the cost of a white baby, in order to make parents indifferent to race. Boys will need to cost $16,000 less than girls.

推定された引受側の選好から計算すると、黒人の子供の需給を一致させるには白人の子供を引き受ける場合よりも$38,000安い必要があり、男女の需給を一致させるには男の子が女の子より$16,000安い必要があるとのこと。

誰もが気づいていても口に出しづらいことを金額にしてしまうことは重要だ。単に数字を見て面白いというだけではなく、養子として引き受け先のない子供の数をどうやって減らしていくかは重要な政策課題だからだ。

数理経済学とマッチング

数理経済学(Mathematical Economics)というかマッチングとは何かについての分かりやすいスライド(Herb Scarf)があったのでご紹介。数理経済学が何かというのは定義が難しい。Wikipediaによれば、

Mathematical economics refers to the application of mathematical methods to represent economic theories and analyze problems posed in economics.

とあるが数学を使わない経済学の分野なんてないので具体的に何のことか分からない。大学で経済学を勉強していて数理経済学とは何哉と思った方はどうぞ。

What is Mathematical Economics

結婚相手、ルームメイト、研修医と病院、腎臓移植のマッチングが取り上げられ、割り当てのメカニズム(の存在)とその安定性・一意性なんかを論じる様子が分かる。