低所得者層の限界税率

限界税率といえば普通、高所得者について議論されるものだ。累進税率によって所得が上がるほど限界税率は上昇するためだ。しかし、低所得者層においても限界税率の労働意欲に対する影響はおおきい:

The Dead Zone: The Implicit Marginal Tax Rate – Clifford F. Thies – Mises Institute

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このグラフは給料の額と実質的な可処分所得との関係を表したものだ。高所得者層では税金があるため可処分所得のほうが小さいが、低所得者層ではフードスタンプのような生活保護政策によって給料の方が少ない。

問題は四万ドル以下の平らな部分だ。平らというのは給料が増えても実質的に使える金額が変わらないためだ。給料が上がることで税金がかかり、補助の額が減るため、給料の上昇が打ち消されている。

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こちらは最初のグラフから逆算した限界税率だ。2万ドルから4万ドルの間の限界税率が著しく高いことが分かる。

Everywhere, the government’s desire (meaning the left-liberal do-gooders’ desire) to be generous to the poor is destroying the positive incentives to work and to save that are so necessary for a well-functioning economy.

これにより、低所得者層が所得を上昇させるインセンティブは極めて小さくなる。対策としてはまず生活保護のような給付金を所得に対してよりなめらかに設定させること、絶対的な水準をしぼること、対象基準を所得以外の要因にすることが考えられるだろう。

日本のケースについても同じようなグラフはないだろうか。