働きたい会社

毎年恒例の100 Best Companies to Work Forの2010年版が発表された。これはアメリカの大手企業にかなり注目されているリストだ。調査会社が社員へ聞き取りを行うなどして指標を作成する。新卒学生の行きたい企業ランキングなんかよりも余程信頼できるだろう。

今年のトップはソフトウェア大手のSAS。金融や臨床などで非常によく使われる統計パッケージの開発元だ。私も半年程使っていたことがある。

100 Best Companies to Work For 2010: Full list – from FORTUNE

What makes it so great?

One of the Best Companies for all 13 years, SAS boasts a laundry list of benefits — high-quality child care at $410 a month, 90% coverage of the health insurance premium, unlimited sick days, a medical center staffed by four physicians and 10 nurse practitioners (at no cost to employees), a free 66,000-square-foot fitness center and natatorium, a lending library, and a summer camp for children.

ランク付け方法は企業秘密か公開されていないが、SASが一番になった理由として、月$410のチャイルドケア、健康保険の90%会社負担、無制限の(有給での)病欠(sick day / sick leave)、無料の医療施設、巨大なジム、プール、図書館に子供のためのサマーキャンプが挙げられている。

さらに調査会社のサイトには、SASの社内文化が紹介されている

Over 24 executives have active internal blogs. When executives update their blogs, they are automatically featured on the main page of the SAS Wide Web so that employees can read the blogs and offer their comments.

24人以上の重役が内部向けのブログを持っており従業員はそれを読んでコメントをつけられるという。

In response to a question asking what might be changed at SAS to make it a better place to work one employee responded: “I don’t think of anything. If I did think of something, I am confident that I could give that feedback to management, and have it considered”.

何か改善の余地があれば経営陣に伝えて考慮してもらうことに自信がある」という社員の言葉を紹介している。こんな言葉が得られる日本企業はどれくらいあるだろうか。

And all salaries at SAS are set in the same way – by matching market data to the job title.

社員のサラリーは全て、ジョブタイトルごとに市場での水準に合わせて設定される。これは時代の流れだ。

All staff who might be contracted out in other organizations – gardeners, food service employees, healthcare staff – are SAS employees.

正社員(?)だけの特別待遇かというとそうではなく、通常は外部に委託される業務でも、従業員としてサラリーで雇用している。

もちろんSASは社員に対して慈善事業をやっているわけではない。ABCは次のように報道している

Managers say that investment pays off with extremely low employee turnover that in turn reduces training costs.

SASはこれにより極めて低い離職率を達成し、社員の研修・訓練費用を節約しているという。実際、離職率はソフトウェア業界にして僅か2%だ。社員が離れないために努力する終身雇用が理想で、転職が難しい社会との違いが現れているのかもしれない

Over 24 executives have active internal blogs. When ex-ecutives update their blogs, they are automatically featured on the main page of the SAS Wide Web so that employees can read the blogs and offer their comments.

働きたい会社” への10件のコメント

  1. 大々的に取り上げられる会社は、こういうその時代に輝く企業が、ユートピアなイメージを強力なPRによってつくりあげている感じもします。時によってM$だったりGoogleだったり。

    こんなリストの常連の企業だと本当の実もあるんでしょうが。

    ところでSASはRみたいなオープンソース系のソリューションが使えるようになっても将来的に大丈夫なんでしょうかね。貧乏統計ソリューションしか使わない人間には、こういう高額なパッケージのなにがメリットなのだかわかりません。

    • >こんなリストの常連の企業だと本当の実もあるんでしょうが。

      調査方法が分からないのでなんともですが、企業側も労働者側もこういう情報を重視しているようなので意味はあるのでしょう。

      >ところでSASはRみたいなオープンソース系のソリューションが使えるようになっても将来的に大丈夫なんでしょうかね。

      正直、SASは非常に使いにくいと思います。ただ、大きなデータセットの扱いなんかだとSASでしかどうにもならないことも多いようです。

      あとは一度業界標準になると使うしかないという話でしょうね。臨床系なんかは特にそうだと思います。

    • いやぁ、RとSASを使ったことがあれば、R使うようになるかと。。。

      オープンソースなのでどこのコンピュータにもとりあえずインストールします。

  2. 一昨年の米国の統計学会で、SASから就職面接の招待が来たけど「ソフト?興味ないネ。」と無視してしまいました。面接くらい受けておけば良かったかも知れないです。

    • まあネットワーキングしておいて困る場所ではなさそうですね。どこで役に立つか分かりませんから。

  3. blogos経由で見に来ました。初めて書き込みします。
    同一労働多重賃金の日本とは違いますね。
    従業員に気持ち良く能力を発揮してもらうこと、が大事だと考えている経営層は日本には稀だと思います。
    最近、日本でもやっと日本型雇用の弊害が着目されるようになりましたが、海外から見て日本企業の正社員至上主義、労働組合、年功序列賃金についてはどのように感じておられますか?

    • おはようございます。はじめまして。

      >従業員に気持ち良く能力を発揮してもらうこと、が大事だと考えている経営層は日本には稀だと思います。

      これは外資の日本企業でも大差ないので、労働市場による差ですね。

      >日本企業の正社員至上主義、労働組合、年功序列賃金についてはどのように感じておられますか?

      日本の多くの問題が労働市場の硬直性に帰結するように思います。挙げられた要素はその硬直性に寄与するもので、それぞれに役割はありますが変わっていくべきだし、実際変わると思っています。

      • 回答ありがとうございました。

        タイムリーな題材としてJALの会社更生は、まさしく労働市場の硬直性が招いた結果だと思っています。

        上手く処理できれば労働市場の改革につながるのでは?と少し期待しています。

        BLOGOSにおいても、皆さん言いたい放題ですが(もっと上手くできるという意見が多い)、旧政権では決して出来なかったことですし、比較的ベターな解決方法ではないか?と思っています。

      • JALの話はあまり事情を知らないのでここでは扱いませんでした。

        アメリカの航空会社はどれも一度破たん処理されて、労働組合の悪影響はほぼなくなりました。

        規制産業における労働組合は普通の企業におけるそれとは区別して考える必要があると思います。

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