ソーシャルメディアを使った予想

Tweetの量・質を利用して将来予測ができるのではないかというストーリー。

Twitter predicts the future?

元ネタと鳴っているのはHP LabsのPredicting the Future With Social Mediaというペーパー(8枚と短いしテクニカルな部分も殆どないので読んでみてもいいかもしれない)。

Using the tweets referring to movies prior to their release, can we accurately predict the box-office revenue generated by the movie in its opening weekend?

テーマは映画が公開される前のTweetの数を使って一週間目のボックスオフィス売上を予測できるかというものだ。

上のグラフがその結果だ。縦軸が実際の売上、横軸が(線形関係から)予測された売上だ。軸の縮尺が違うので45°線にはなっていないが、予測値と実測値が近いのが分かる。青い線は売上について仮想の賭けをするHollywood Stock Exchange (HSX)での取引から推定したもので、ペーパーではTwitterを使った予測がHSXを用いた予測より正確であった主張されている。Tweetの内容がネガティブかポジティブかを分析に加えるとさらに正確になるとのことだ。アウトオブサンプルでどうなるのかなども気になるが、ソーシャルメディアが持つマーケティングへの影響力の大きさは疑いようがない。

オリンピック予想

予測市場(prediction market)がオリンピック開催地の予測を大きく外した:

Chicago won’t have the Olympics in 2016. | Midas Oracle .ORG

予測市場では市場参加者が特定のイベントや数字に対して予測を行う一種の先物市場だ。オリンピックでいえば開催地がどこになるかを予測する。しかし今回のオリンピック選定においては一番最初に落選したChicagoが予測市場で最も高い値ががついていた。

chicago-olympics-betfair

上のグラフから分かるように、予測市場における価格から導いたシカゴの勝利確率は高水準を維持した(候補は四つあったが常に25%を上回っているし、70%近い時期もある。この価格推移はパリが選定されたときのものと類似している。

paris-to-be-host-city-for-2012-olympics

このことについてMidas OracleのChris F. Masseは次のように説明している。

The prediction markets are not able to forecast which country will get the Olympics. The IOC is a close aristocratic group that does not leak information. Hence, it is not possible to aggregate information.

予測市場は市場参加者が持つ情報を集約することで成り立っているため、オリンピック組織委員会(IOC)のような小規模で閉鎖的な集団の意思決定を予測することはできないということだ。誰もIOCの内部意思決定に関する情報を持っていないし、内部の人間が市場に参加することもない。

ちなみに予測市場はギャンブルとして規制されている。また予測の対象が反社会的な出来事(例えば暗殺の日時)でもありうるとう問題もある。