新聞と政治

新聞の政治的な傾向(slant)についての興味深い研究が紹介されている。

Econbrowser: What drives media slant?

Gentzkow and Shapiro propose to measure the slant of a particular newspaper by searching speeches entered into the Congressional Record and counting the number of times particular phrases were used by representatives of each party, mechanically identifying phrases favored by one party over the other.

議会で民主党と共和党が使用した語彙が各新聞で使われている頻度から政治的な傾向の指標を作っている。主観的な指標よりも望ましいだろうし、結果として主観とも整合的だ。日本でも知られている(?)ところではLA Times・SF Chronicle・NYT・WaPoなんかは民主寄り、WSJ・Washington Timesなんかは共和寄りだ。

面白いのは、新聞社の所有者が新聞の政治的な傾向に及ぼす影響だ。

右が政治的傾向、左が同じ所有者の新聞の政治的傾向の平均となっているが、統計的に有意な相関は見られないとのこと。つまり所有者ごとに強い政治的傾向があるわけではないということだ。新聞と流通地域の政治的傾向には相関があることからすれば面白い。

Gentzkow and Shapiro conclude that papers to some degree are just giving their readers what the readers want so as to maximize the newspapers’ profits.

これについて筆者らは新聞社は単に読者が望むものを提供しているだけだと結論づけている。確かに、読者が望まない主張を押し付けようとしても売上が他の新聞社に回ってしまうだけでは経営が成り立たない。

新聞がごく一部の強い好みを持った人だけが購読するものになれば、誰にでも売れる新聞よりも極端な主張の新聞が増えるだろう。

追記:後半の推定については全国紙(NYT・WSJ・CSM・USA Today)は除外している模様です(ht @TrinityNYC)。

新聞と政治” への4件のコメント

  1. これはNYTのようないわゆる「全国紙」的なレピュテーションのある新聞と地方でしか読まれない新聞を分けて分析したほうがおもしろかったのではないかなと思います。

    恐らく地方では一紙のみが圧倒的に読まれていると考えられるので、地方のニーズを満たすためにはあまり偏った紙面の作り方はできないというバイアスがあるのではないかなと思います。しかも地方紙はAPからの記事をコピペしただけの感じの新聞も多いです。

    • どうも全国紙は外れ値として除いてあるようです(数が少ないので分析になりそうにありません)。

      地方紙がAPの切り貼りというのは同意です。日本の地方紙はどうなんでしょう。

  2. 読者層と新聞の政治的傾向に相関がほとんどないのは意外です。
    これは、頑張っていろいろ調整して差を有意にしないといけない類のデータかな、と思いました。

    日本のマスコミもここ10年、段々左派と右派が別れるようになってきましたね。
    アメリカの後を追っている感じがします。

    • ちゃんと読んでいないのでどこまでやってるのか分かりませんが、長いことワーキングペーパーとして流通していたようですし、トップジャーナルなの一応信用しようかなというところです。

      日本のマスコミは極端化というよりもマージナライズされているような気がします(それが極端化の原因でもあるわけですが)。

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