ウェブ入社試験の替え玉受験が問題になているそうだ。
人気企業の多くが1次試験で実施する就職テス トで、「替え玉受験」が行われているというのだ。ネット受験をこれ幸いに、別人に問題を解かせて高得点をゲットしているという。
企業が応募者にオンラインの試験を実施しているそうだ。これに替え玉受験が発生するのは誰だって分かるだろう。個人情報が漏れるとマズイためマーケットが存在しないだけで、一方的に替え玉受験を行うサービスがあっても不思議ではない(というかないほうが不思議だ)。
この声に対し、実際にウェブテストを行っている大手メーカーの担当者は「会場を借りて一斉に行う従来の入社試験に比べて、ウェブテストは大変なコスト削減 になる。いまさら会場型には戻せません。替え玉受験があることは織り込み済み。その後の数回にわたる面接で、ダメな学生は必ず淘汰されます」と語る。
当然、企業はこんなことは分かっているわけで、コスト削減が目的だ。替え玉を用意できるのも「社会人」としては重要な能力なのもあるだろう。
しかし不思議なのは、明らかに不正確なことが分かっているウェブテストではなく、大学の成績を利用しないのかということだ。もちろん大学でも替え玉受験はあるだろうが、多くのクラスで替え玉するのはある一回のウェブテストで替え玉するのに比べて遥かに難しい。
どんな授業なのか・評価の方法が分からないという面はあるが、ある程度の規模の大学・学部であれば応募者の中での分布を見るだけでも良い。学校と平均成績だけ見て足切りをすればよい。勿論、社員が直接推している学生は別に分けておく。
大学の試験がある程度重視されるようになれば、真面目な学生は大学の試験の適正な実施を要求するし、大学側も成績の分布や試験の質に気を使うようになるはずだ。学生が誰も成績を気にしていない(=審査に使えない)ため企業も気にしない(=学生も気にする必要がない)という状況が、企業が気にするので学生も気にする(=審査に使える)という状況になればこんな無駄は排除できるはずだ。会場を借りるよりウェブが安いのなら試験をしないのはもっと安い。
追記
@Hirohyさんから以下のようなコメントを頂いた:
ちなみに昔の弁護士就職市場では成績より司試合格までに要した年数というシグナルの方が用いられてたから成績を気にしない学生が多かったが制度改革(増員)後は前者がシグナルとして機能しにくくなりLSの成績がシグナルとして使用され始めた。
学生と企業が成績を重視するかは相互に依存しているため複数均衡状態になっていて、均衡が移動するためには外生ショックが必要になる。弁護士業界においてはロースクールの全面的に導入がそのショックとなり、移動が起こったと考えられる。
大学でやっていることをここまで評価しないのであれば、なぜ大学入試の結果が分かり次第内定を出し、その場で雇って18歳で社会人にしてしまわないのかが不思議でなりません。
日本企業にとって大学とは一体なんなのでしょうか。不可解すぎて夜寝付けません。朝日が出てから眠りに落ちますが(それはニートか)。
>大学でやっていることをここまで評価しないのであれば、なぜ大学入試の結果が分かり次第内定を出し、その場で雇って18歳で社会人にしてしまわないのかが不思議でなりません。
いや全くその通りです。おそらく一社だけそれをやると変なセレクションがかかるからでしょうかね…。まあ「就活」現象がなくなれば、中退はどんどん増えると思います。
>学生が誰も成績を気にしていない(=審査に使えない)ため企業も気にしない(=学生も気にする必要がない)という状況が、企業が気にするので学生も気にする(=審査に使える)という状況になればこんな無駄は排除できるはずだ。
おっしゃるように学生の誰もが成績を気にしていないのと、企業も大学での成績が社会人としての能力と一致すると思っていないのが原因じゃないでしょうか。
Rionさんは自分の学生時代(日本での)を思い返してみてどうおもわれますか?
平均的な成績は努力賞の要素が高いと思います。ただ、出来る人のほうが努力の度合いは少なくて済みますし、努力も重要な評価ポイントなので企業が評価に使うのには悪くない指標ではないでしょうか。
東大の前期課程は進振りがあるので特に使いやすそうですし、公共政策大学院の時はAの数への制約やA+があったので情報量が多かったと思います。
うちのフィリピンのソフトハウスでは、大学の成績は1次選考に利用しています。ただ、誰が誰より数学能力が優れているかを知る手段としては、入社用の筆記試験が有用です。毎年、同じ問題を使っているので、過去に入社した人と比べてどうか、という事もわかります。まあ、これは弊社のような極小企業ゆえに可能な事ですが。(笑
試験をやるなら独自性のあるものじゃないと意味ないですね…大きな会社では難しいですが。
ピンバック: 大学の成績は就職活動の選考に活用できるのか - RDIブログ|株式会社採用と育成研究社
>大学でやっていることをここまで評価しないのであれば、なぜ大学入試の結果が分かり次第内定を出し、その場で雇って18歳で社会人にしてしまわないのかが不思議でなりません。
自分も常々そう思うのですが高卒生を良い条件で募集したところで優秀な人は大学へ行ってしまうからではないでしょうか。
それと仮に高卒の新卒採用が一般的になったとしても17〜18歳の時点で優秀な人材かどうかを見極めるのは難しい気もします。
(まあ、大卒でもそういう部分はあるとは思いますが)
>自分も常々そう思うのですが高卒生を良い条件で募集したところで優秀な人は大学へ行ってしまうからではないでしょうか。
そうなんですよね。やはり悪い均衡にはまっているような気がします。
優秀な人材かどうかを見極めなくても気軽に採用できるような労働市場ができればいいのですが。
会社が大学の成績を重視しない理由は日本の大学は授業によって単位の取得難易度があまりにも違うという現実を知っているからでしょう。
例えば、教養必修科目においても先生が違えばその難易度は全く違います。
出席も取らない、試験もみんなA以上はもらえるという授業もあれば、出席も取るし、試験もとても難しく半分近くが落ちるというものまである。これでは成績だけでは判断はできません。
そうなんですが、鶏と卵の問題なので何かキッカケがあれば変わるかもしれません。今の状況は誰にとっても無駄の多いものだなと思います。