飲食店のレビューサイトである食べログがiPhone用アプリの課金を始めたそうだが評判はあまり良くない。
検索した飲食店を、評価点数やアクセス数などで自由に並べ替えられる機能を加える。料金は月額315円。
まあ、iPhoneユーザーはブラウザでもアクセスできるし、アプリにだけ課金してもあまり害はない。しかし、こういったサービスはいかに利用者を増やすかが鍵だ。しかも、iPhoneから専用アプリを使ってまでアクセスしたいユーザーはレビューを書くようなコアユーザーである可能性が高くそこに課金するのは賢明とは思えない(アプリを使ってレビューしたら料金免除というのもありだが)。
逆にこういったユーザー層をいかに優遇するかがポイントだ。例えば同種のサービスをアメリカで展開するYelpはYelp Elite Eventというものを開催している。これは一定の条件を満たす貢献度の高いユーザーをエリートと認定し、お得な(しばしば無料の)イベントに招待するというプログラムだ。これにより、開催地となった飲食店では大きなPRが行えると同時にたくさんのレビューがYelpに追加される。コアユーザーの満足度も上がるし、エリートになろうとさらにレビューを書くユーザーもいるだろう。同時に参加者同士の交流の場ともなる。もともとレビュワー同士のつながりがレビューを投稿する理由の一つであり、直接コアなユーザー同士をマッチさせるのはいい戦略だ。
ではどこに課金すべきか。食べログの飲食店向けのページに現在の課金メニューが載っている。
- お店ページの強化
- 広告スペース
- 検索順位優先
- 特集
- 食べログチケット(グルーポン式)
どれも非常に妥当な課金方法だろう。さらに付け加えるとすれば、次のようなものが考えられる。
- 客のコメントにリプライを付ける回数に課金
- お店ページのページで競合店をサジェストしない
- 競合店のページへのアクセス状況を含めたより広範な解析情報の提供
またグルーポン式のマネタイゼーションに関してはレビューサイトならではのやり方も可能だろう。
- クーポンの販売対象を一定以上の貢献者(やその紹介)に限る:他の消費者の行動に大きな影響力を持つユーザーに限ることでお店にとってより有効なPRになる。食べログにとってもレビューの投稿を促す仕組みになる。
- 割引ではなく、特別メニューを提供する:例えば、全メニューを摘み食いできるような特別コースを用意する。これによってレビューの数を効果的に増やせる。それなりの価格でも参加希望者は集まるだろうから客単価も下がりにくい。食べログはその日の利益を貰うないし折半すればよい。
レビューサイトのように二種類(以上)の顧客が存在するマーケットではどちらにどのように課金するかが重要だ。
ピンバック: Amazonのユーザー参加 » 経済学101