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オンラインコンテンツへお金を払うか

Nielsenによるオンラインのコンテンツにお金を払っている人や払う意思のある人の割合の調査:

Changing Models: A Global Perspective on Paying for Content Online | Nielsen Wire

青い部分が既にそのコンテンツにお金を払っている人の割合、オレンジの部分が払っても良いと考えている人の割合だ。

Online content for which consumers are most likely to pay—or have already paid—are those they normally pay for offline, including theatrical movies, music, games and select videos such as current television shows. These tend to be professionally produced at comparatively high costs.

消費者が対価を支払う可能性が高いのはオフラインで通常対価を払って消費するような生産コストの高いコンテンツとのこと。但し、このグラフで多くの人がゼロより大きな価格を払う(払っている)ことはその(オンライン)コンテンツの価値が高いことを意味しないには注意する必要がある。

まず、消費者は必ずしも自分にとってのコンテンツの価値を対価として払うわけではない。払わなくてもいいなら払わないわけだ。だからここで対価を支払う人の少ないコンテンツは価値がないのではなく、単に競争的に供給されているだけということが考えられる。ユーザーが作成するコンテンツはこの類だろう。

またゼロ以上の価格を支払う人が少ないことは支払いが総額として少ないことにもならない。多くの人にタダで配布しても一部の消費者から十分に収益をあげられるならそれで構わない。消費者でなく別のルートで利益をあげてもいい。利用者が多いほど価値が上がるタイプのコンテンツであれば、このような戦略を取るのが自然だ。個人のプロモーションでも広告でもよい。

Nielsen asked more than 27,000 consumers across 52 countries

しかし、多くの人に聞くのはいいがこの手の調査を52ヶ国分まとめて数字にしてもあまり役に立たない気もする。

Chorussの実態

Choruss(コーラス)というのはワーナーによって進められている実験的音楽ライセンスプロジェクトだ。数ヶ月前に報道されて以来、その実態は明らかにされていなかった。今回はその仕組みについてかなり詳しい記事がThe Chronicle of Higher Educationで紹介されている:

Music Industry Changes Tune of New Program to Fight File Sharing – Technology – The Chronicle of Higher Education

On the basis of those initial talks, the colleges would pay the music industry a blanket licensing fee, similar to what radio stations pay to air popular songs.

コーラスの一つの特徴はブランケットフィーだ。これはJASRACのような著作権団体がラジオ局などに対し行っているライセンス方法である。音楽のような限界費用がゼロに近い財の場合、このような純バンドリング(pure bundling)が取引費用まで考慮すれば有効なことは多い。

For instance, when asked about the “covenant not to sue,” Mr. Griffin said, “We’d initially considered the idea but have now decided to use a traditional license approach.”

また、単に訴訟を起こさないというだけの契約(covenant not to sue)として批判されていたが、従来通りのライセンス形態になっているようだ。

Another substantial change from the early days of the proj ect is that the licenses now would be with individual students rather than with colleges

契約主体も大学キャンパスから学生個人へと変更されている。

The most unusual feature of Choruss is that users would be able to download any song in the collection to their own computers, with no restrictions.

さらに契約期間中にダウンロードされた楽曲は半永久的に利用が許可されるというのは新しい。聴き放題式の音楽サービスでは契約期間が過ぎれば再生できなくなるのが普通だ。

どれも音楽レーベルや著作権管理団体を批判する人々にとっては望ましい方向性だろう。

Users would install software that would count every time they played a song, for the purpose of distributing royalties to the musicians.

ミュージシャンへの報酬分配目的のソフトウェアインストールは問題となりうるが、課金ではなく統計的処理が目的である以上利用者全員に強制する必要はないのである程度は緩和されるだろう。

そういえばアメリカに比べると音楽の不正コピー問題を日本のメディアで聞くことは少ないが何か理由があるのだろうか。それとも単に私が気付いていないだけなのだろうか。

Live Nationのプラットフォーム化

Live NationはメディアコングロマリットのClear Channel Communicationsの子会社でレコードレーベルとプロモーターの中間のような企業だ。通常のレコードレーベル同様にアーティストと契約を結ぶが、音楽自体に対する権利はアーティストに残したまま、コンサートの運営を行うなどプロモーターとしての性格が強い。

このような事業形態は非常に理にかなっている。デジタル著作権管理が(DRM)がうまくいかない以上、アーティストを利益を付随するサービスで上げる必要がある。その最も大きな部分がパフォーマンスであり、レコードレーベルもそこからの利益をシェアする形であれば、正しいインセンティブのもとで運営される。

Live Nation Opens Web Platform To Artists & Fans – hypebot via Techdirt

Concert promoters Live Nation have made changes to their web site that places more of the site’s content int the hands fans and artists. LiveNation.com is a top 50 ecommerce site and a top 5 online music network.

Live Nationは自社サイトをプラットフォームとして作り替えている。ファンとアーティストが(この区分けに意味があるとも思わないが)ともにサイト上で活動する。FacebookやTwitterとも接続し、自社のイベントだけでなくユーザーがイベントを追加することもできる。

Live Nation is the largest producer of live concerts in the world, annually producing over 22,000 shows for 1,600 artists in 33 countries.  During 2008, the company sold over 50 million concert tickets and drove over 70 million unique visitors to LiveNation.com.

Live nationはコンサートプロデューサーとしては世界最大であり、5000万のチケット売上に加え、自社さ糸への7000万人にユニークビジターがいるそうだ。

ファンとアーティストが共に存在するプラットフォームとしてはMySpaceが未だに強いが、Live Nationの業界におけるプレゼンスを考えるとプラットフォーム運営の如何によっては一番の座を掴める可能性は十分にある。特にMySpaceはテクニカルな面で遅れており、新技術をうまく取り入れた上で、ユーザーによるイノベーションを促すことが重要だろう。