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学生とSNS

San Diego State Universityとマーケティング会社のYouth Pulseによると、回答者の2/3が自分たちの世代は自信過剰でナルシスティックだと認識しているそうで。

Students Say Social Networking Is All About Themselves – The Paper Trail (usnews.com)

This morning, my Facebook news feed was filled with posts like this:

“[Name erased] is exhausted but ready for school to start on Monday after she enjoys a three-day weekend.”

あるある。

Who cares?

Exactly! とはいえ、このような内容のステータスが多いのは、単なる世代による違いというよりは「何かを更新しない限りフィード上には何も表示されない」という主流SNSの構造的問題だろう。上のようなステータス更新をするかは人によるのであって、世代によって決まっているとは思われない。

“And students are right about the influence of social networking sites—research has shown that narcissistic people thrive on sites like Facebook, where self-centered people have more friends and post more attractive pictures of themselves.”

単にシステムの仕組みを理解して適応しているだけとも言える。現代社会において貴重な財は情報ではなく、ユーザーの時間である。多くの時間を割かなければ活用しにくい仕組みにすることでユーザーをロックインしているのかもしれない。

(若者という)世代に絞ってマーケティングをするのもいいが、ある世代をみているだけではある特徴がその世代特有なのかは分からない。

Facebook | Grad Students グループ

よくある“you might be a grad student if…”系のリストだけど個人的には非常に笑える。まあ国による違いとか専攻による違いもあるけどいくつか好きなのを:

Facebook | Grad Students: they’re Not Bad People, they Just Made Terrible Life Choices

5.You have ever brought a scholarly article to a bar.

バーに学術論文を持っていったことがある。

これは誰でもやったことあるよね?本より運びやすいからね。

20.you write programs for classes that have nothing to do with programming.

プログラミングとは何の関係もないクラスでプログラムを書く。

あるある。むしろ習ったことないよ。

24.you procrastinate on one project by working on another project.

違う仕事に取りかかることで今の仕事を先延ばす。

ティーチングとか。

37.people (non-grad students) ask you “Are you going to be done soon?” and you laugh but inside a little part of you dies.

この中で一番お気に入り。原文のテンポがポイントなので訳はなし。読んでください。

49. you can’t help but sigh with envy when you overhear undergrads stress over 10 pg final papers in the elevator

エレベーターで10ページの期末レポートに愚痴る学部生をみて羨ましく思う。

てか宿題をタイプするだけでそれぐらい普通だよ。

60. you are startled to meet people who neither need nor want to read.

ものを読む必要もなければ読みたいとも思わない人に驚愕する。

ありえない。まああまり会わないけど。

69. you have accepted guilt as an inherent feature of relaxation.

罪悪感は息抜きと表裏一体だと知る。

これは一番嫌な部分だなぁ。

80. the professor doesn’t show up to class and you discuss the readings anyway.

教授が講義に現れなくても取りあえず文献について議論する。

あるある。逆に学生が遅刻するとみんなが待ってたりする。

90. you’ve ever sent a personal letter with footnotes.

個人的な手紙に脚注を使ったことがある。

ブログでも標準搭載すべき機能だ。あと巻(章)末注は絶滅するべき。

94. you actually _hope_ your professor assigns homework.

宿題が課されるのを心から希望する。

道具的なクラスは宿題必須でしょう。

95. you get a 3-hour final with 5 questions or less.

三時間の試験に五問以下しか問いがない。

えっと、三時間だと二問当たりでしょうか。

鶏が先か卵が先か

Chicken & Eggという問題はネットワーク効果の強い市場では非常に重要である。とくに双方向性市場(two-sided market)では顕著だ。例えばアマゾンがそうだ。本を買う顧客がいなければ出版社は商品を卸さない。

以下のエントリーで起業家でベンチャーキャピタリストであるChris DixonがChicken & Egg問題への対策を挙げている。

cdixon.org / Six strategies for overcoming “chicken and egg” problems

彼の提案は六つだ:

  1. Signal long-term commitment to platform success and competitive pricing.
  2. Use backwards and sideways compatibility to benefit from existing complements.
  3. Exploit irregular network topologies.
  4. Influence the firms that produce vital complements.
  5. Provide standalone value for the base product.
  6. Integrate vertically into critical complements when supply is not certain.

一つ目は人々の期待を変えるものだ。アマゾンの例でいえば出版社が商品を卸すのに必要なのは顧客が来るだろうという期待だ。別に卸す時点で客がいる必要はない。コミットメントデバイスとしてGoogleのオープンソースソフトウェアが挙げられている。より適切な例としてはIntelのIntel Architecture Labが挙げられるだろう。Intelはx86という自社が実質支配するプラットフォームに関連する投資を行った。IntelがIALにおいて如何にコミットメントの問題にを注意していたかはPlatform Owner Entry and Innovation in Complementary Markets: Evidence from Intelに詳しい。

二つ目は互換性を持たせることで既存のネットワーク効果を利用するというものだ。個の場合もコミットメントが問題になる。MicrosoftがMac互換のOfficeを提供する際、それがいつまで維持されるかはユーザーにとって重要だ。Silverlightも同様だ。この戦略はEmbrace, extend and extinguishと呼ばれる。しかし必ずしもうまくいくとは限らない。OS/2の例もある。この戦略がどのような場合にどうやって成功するかも興味深い。

三つ目はとくに興味深い。一部のグループに的を絞ることで既存のネットワークを打ち破るというものだ。ここでは大学生が多いfacebookがどうやってFriendsterを追い抜いたかが例として挙げられている。いかに特定のグループを発見するかが鍵となる。

四つ目はプラットフォームの問題だ。不可欠なコンポーネントを持っている企業を味方につければ確かに競争には勝てるだろう。しかし、それを提携相手の企業はそれを知っているのでそれなりの見返りがなければ協力しないため、最終的に利益になるかは微妙だ。Sony / PhilipsのCDが事例として挙げらているが、この場合最も重要な点は交渉のやりかただろう。複数いる提携相手に別々に交渉していくことで「見返り」を減らすことができる。

五つ目は見落とされがちだが、要するにネットワーク性を減らしてしまうということだ。ユーザーがリスク回避的であれば有効だ。

最後の六つ目もやはりコミットメントが問題になる。AppleはMac OSX上で多くのアプリケーションを持っているがこのことは外部のデベロッパーにとっては大きな脅威となる。

民間の研究者

理系では企業の研究所というのは珍しくないが、社会科学においては珍しい。Microsoft Researchに所属するdanah boydのブログから:

apophenia: am I an academic?

研究している分野はソーシャルネットワークで、社会学的な観点からの分析だ。企業での社会科学の研究職と大学での研究職とが対比されている。多くの相違点は理系のそれと変わらない。しかし得に興味深いのはエンジニアとの関わりに関する以下の一節だ。

Still, you have to spend time helping the company directly! Yes, I spend time working with product groups. But I like to think of it as my teaching duty. Rather than teaching Soc 101 to hung-over 18-year-olds who didn’t bother doing the reading, I teach an interactive form of Soc 101 to engineers who are filled with questions that start with “but why?” and “but how?” I have a hard time imagining that my engagement with product groups takes up more of my time than teaching, office hours, and prep. And it’s often quite fun and thought-provoking.

Microsoftはソーシャルネットワークの専門家を抱えることで、他の従業員への啓蒙を行っているわけだ。これは二つの点で合理的である。まず、この仕事は専門家を内部に抱えずに行うのが困難だ。勿論、適時大学の研究者を呼ぶ、コンサルタントを使うなどの方法は可能ではある。しかし、細かな設計に関する問題に対応したり、効果的に知識を吸収させるという意味では外部から人を呼ぶのは効率が悪い。また、全くの新しい分野について一般的なコンサルティングが役に立つとは考え辛い。例えばソーシャルネットワークの使い方について大手のファームが専門性を有しているとは思えないし、それに特化した小規模なファームについてもその知見が信用に値するかは分からない。

二つめの理由としては、専門家を研究者として雇うことにより、専門家のモチベーションを維持しつつ専門性を維持できることが上げられる。仕事上の裁量を大きく取り、研究に従事させることは、特に専門性の高い業務においては有効な雇用戦略でありうる。

同様の研究部門はGoogleやYahoo!にも存在する。民間の研究機関を考慮しているなら一読の価値があるだろう。