Eventbrite

Can Eventbrite Shine in Ticketmaster’s World? – Bits Blog – NYTimes.com

The San Francisco company, which has less than 30 employees, announced this week it raised its first round of venture capital: $6.5 million from Sequoia Capital.

Eventbriteがセコイア・キャピタル(Sequoia Capital)からのベンチャー投資を得たというニュース。これがニュースになるのはセコイアがシリコンバレーでは極めて名声の高いベンチャーキャピタルだからだ。Cisco, Oracle, Apple, YouTube, Google, NVIDIA, Paypalなどの有名企業が投資先として上がっている。他にも Dropbox, imeem, LinkedIn, Mahoro, OpenDNS, Rackspaceなど多くの気になる企業がポートフォーリオに含まれている(Amazonに買収されたZapposにも投資している)。

If the organizers sells tickets, Eventbrite charges them, taking a 2.5 percent cut plus a dollar fee per ticket.

イベントのオーガナイザーがチケットを売り、Evenbriteは$1プラス売上の2.5%を徴収するという仕組みだ。

They say they will use the cash to focus on smaller markets like conferences and nightclubs, as well as to further integrate their event planning tools into mobile phones and social networks like Facebook and Twitter.

既存ビジネスが相手にしていない小規模マーケットを狙い、ソーシャルネットワークを最大限活用する点は最近出てきたプラットフォームビジネスにどれも共通するものだ。Eventbriteは商用イベントをターゲットにしているが、システム的にはevitemeetupと大差ない。違うのは収益の方法だ。eviteは広告、meetupはオーガナイザーのメンバーシップフィー、Eventbriteは基本的に利用量に応じたフィーを収入源としている。

現実の市場において、どの試みがもっとも成功するかはプライシング以外の様々な条件によって決まってくるが、似たようなプラットフォームが全く異なる収益ストリームを持っていることは興味深い。

スタートアップ

ウェブテクノロジー関連の有名なベンチャーキャピタルであるY Combinatorの共同創業者の一人であるPaul Grahamによる企業を立ち上げることに関するエッセイが公表された:

What Startups Are Really Like

Y Combinatorは普通のベンチャーキャピタルとは異なり小規模な投資とベンチャー運営に関するコンサルティングを兼ねた業務を行っている

His company, Y Combinator, is a hybrid venture capital fund and business school that invests in, advises, and, literally, feeds 40 or so early-stage businesses a year. Investments are small — less than $25,000 per company — but Graham supplements the money with smart advice, introductions to later-stage investors, technical help, and a sense of community.

上記エッセイには19のポイントが挙げられているが、個人的に重要だと思ったものを二つ紹介する。

一つ目は5. Persistence Is the Keyである。ベンチャー企業にとって鍵となるのは持続力ということだ。特に次の一節は限りなく正しい:

I’ve been surprised again and again by just how much more important persistence is than raw intelligence.

ビジネスを成功させるために必要なのは持続力であって単純な頭のよさではない。実行力とアイデアと言い換えてもいい。成功している企業が持つビジネスモデルのほとんどは特別なものではない。Microsoftの前にもPC用OSは存在した。楽天の前にも仮想店舗というアイデアはよく知られていたし、オークションは昔から存在する。Amazonも始めてオンライン書店を立ち上げたわけではない。このアイデアはありふれていて、実際に実現するのが困難だという認識は彼の挙げる他の項目にも反映されている。

もう一つは2. Startups Take Over Your Lifeだ。企業を立ち上げることは仕事をすることは全く違うということだ。

Running a startup is not like having a job or being a student, because it never stops. This is so foreign to most people’s experience that they don’t get it till it happens.

これは脚注で彼が指摘しているように大学院の生活と同じだろう(Paul Graham自身はComputer ScienceのPh.D.だ)。仕事と休みの区別が全くないため、休暇という概念がない。週末に何もしていないだけで罪悪感を感じるのがいい例だ。この感覚に馴染めない人は自分で会社を立ち上げることはできないだろう。

自分で事業を始めようと考えている人は是非全項目に目を通して欲しい。

ビジネスしやすさランキング

doingbusiness.org

doingbusiness.org

世界各国で事業運営を行う際の容易さについてのランキングがある。リンク先は日本の2010年分だ:

Doing Business in Japan – Doing Business – The World Bank Group

様々な指標を作ってまとめてある。世銀傘下の国際金融公社IFC) が作成している。日本のスコアはというとOECDの中で15番ということで平凡だ(OECD参加国は30だ)。税金(の支払い及びそのための事務)が非常 に低く、企業を起こすための手間や建築許可・労働関係・資産登録が低め。逆に破産関係では世界一位、契約の履行や資金調達もスコアが高い。

スコアの作り方によるが、規制関係が弱めで、逆に民間での取引や司法制度が望ましい傾向がある。また事業を始めるのは困難にも関わらず、事業を終了するないし再生するのは簡単だというのも面白い。特にRecovery Rateの92.5%はOECD平均が68.6%とされており印象的だ。但しその定義は、

The recovery rate is recorded as cents on the dollar recouped by creditors through the bankruptcy, insolvency or debt enforcement proceedings. The calculation takes into account whether the business emerges from the proceedings as a going concern as well as costs and the loss in value due to the time spent closing down.

とされており必ずしも望ましいとは限らない。破産した企業に資金提供を続けることで企業を存続させれば100と計算されるようだ。

ちなみに作成チームの紹介もあり、International Businessを始め色々な分野の人が加わっているが日本人はいない。

マイクロパトロン

マイクロファイナンスが話題になって暫くだが、今度はマイクロパトロンが出てきたそうだ。

Dollar by Dollar, Patrons Find Artists on the Web – NYTimes.com

取り上げらているのはKickstarterというスタートアップ。プロジェクト毎に出資を募るという点では、Kivaのような寄付を募るサイトに近いが、ここでは出資額に応じて商品・サービスを受け取ることができる。プロジェクトは主にアーティストによるもので、レコーディング費用を募り、出資には成果を先に届ける・ライブで演奏する・食事を振る舞うなどクリエイティブな見返りが約束される。

このビジネスの素晴らしい点は:

  • クリエーターとユーザーの距離が近いため、クリエーターがユーザーの望みをよりよく知ることができる。
  • 必要な金額がコミットされるまでプロジェクトは実行されないため、クリエーターがリスクを回避できる。
  • クリエーターは成果物に関する権利を完全に保持できる。
  • CDとコンサートといった定型的な商品だけでなくいろいろな見返りを用意できるため今まではなかった取引が可能になる。
  • そのような見返りは金銭的には小さくとも一部のユーザーにとっては非常に高い価値を持つため効率的。
  • 以上の仕組みを標準化されたフレームワークで動かせる。

これらの利点は既に成功しているアーティストにはあまり関係ないが、アマチュアで創作に励んでいる人たちには大きな助けになる。現状では、音楽業界なら次のようなキャリアステップがあるだろう:

  1. 自分の時間でアマチュア活動をする:投げ銭の類を除けば、あらゆる費用はアーティストの負担である。
  2. 仕事をやめプロになる:途端に収入源が創作活動のみになり非常に大きなリスクを負う。
  3. 大手レーベルと契約する:相対的な交渉力の欠如から著作権・演奏権などにおいて不利な契約を提示される。

このようなサービスの登場により最初の段階での費用の低減、二段階めでのリスクの低減、三段階めでの立場の向上が可能になる。

現在は収益をあげているわけではないが、アーティスト側、パトロン側をある程度集めることで課金を行うことは将来的に可能だろう。

Web2.0的教育とダイエット

チェックさせて頂いているバークレーのMBAの方のブログの記事について:

A Golden Bearの足跡 : ゴルフレッスン開始 & Web2.0的教育へのちょっとした考察

その中で出てきた1つの話題が、「教育にWeb2.0的な発想を持ち込めないか」というものです。

供 給側では、例えば教育ツールとしては、Webに親和性の高いSNS・ガジェット・iPhoneアプリ等、従来の黒板やパワーポイントより効果が高そうな ツールが、いろいろ作れそうです。また、デジタルハードウェアに関しても、今まさにゲームの世界で盛り上がっている体感型センサや、自動車向けに開発され ている「居眠り防止センサ」のような技術は、そのまま教育にも横展開できるでしょう。

教育とは若干異なるがこれに非常に当てはまるベンチャービジネスとしてdailyburnがある。

ダイエットをしたい人のためのサイトで、関連する情報の提供、データの記録からiPhoneアプリまで、ダイエットの助けになるツールを提供している。

一方、需要側では、私がゴルフレッスンを丸1年間入れる事ができなくて非常に後悔しているように、もし仮に満足なツールが揃ったとしても、それを確実に受 け取るためのサプライチェーンが揃っているか、忙しい中どう受講生側の時間とモチベーションを確保してあげられるか、の問題解決の方に、需要がある気がし ています。

需要面においても、ユーザー同士のグループやパートナー、コンテストなどを導入してモチベーションを上げようておりまさに合致している。他のユーザーとつながることで参加にピアプレッシューが発生する。まさにWeb2.0的なメリットだ。

さらに金銭的な観点からモチベーションを維持することを考えると、ジムのメンバーシップのような形態が考えらる。決まった金額を払う契約になっていれば参加するインセンティブが生まれるためだ。ジムのモデルは供給側についても該当する。ジムがトレーナーの商売をジム内で認めることがあるように、サイトでコーチングのような副次的なビジネスを認めることは可能だ。dailyburnの例で言えば、サイト内でNutrisystemのようなダイエット食品を提供することが考えられる。サイト上で収集した個人情報を元に適切な抱き合わせ販売をすればより大きな利益が見込める。

dailyburn

但し、ジムとは異なり、メンバーの数は需要にも供給にもプラスの外部性を持つので価格付けには注意が必要になるだろう。特にサービス開始時は低価格ないし無料である必要がある(有名人を巻き込む戦略もありだ)。長期的にも広告収入やプラットフォーム上でビジネスを行う企業等への課金、サイト上での物品販売で十分な収入が見込めるのであればメンバーへの実質的な利用料をゼロにすることも可能なだろう。その場合には一定金額は徴収した上で、計画どおりに利用している場合には返金することでインセンティブ構造を維持できる。利用者は計画どおりに利用できることに過大な自信を抱くことが予想される(Paying Not to Go to the Gym)ため利用者からも収益が見込める。普段から忙しいなど利用できない恐れがあるひとのほうが平均的に支払い意志が強いため効果的な価格差別戦略でもある。

追記:似たようなことをするBlackberry用アプリケーション、senseiを発見。

  • Paying Not to Go to the Gym