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花火の規制緩和

ノーベル賞を取った人が教育について語るというのはよくある話だがこれはなかなか興味深い。

Nobel laureate: If you want to get kids interested in science, legalize fireworks

When I asked Sir Richard at lunch what we could do to spark more interest in science among young people, I was surprised by his answer: make it easier for them get their hands on fireworks.

RNAスプライシングでノーベル賞を受賞したSir Richard Robertsは、若い人にもっと科学への興味を持ってもらうためには花火に触れさせるのがいいという。

“When I talk to my Nobel colleagues,” he said during the on-stage portion of our conversation, “more than half of them got interested in science via fireworks.”

他の受賞者に話ても多くの人が花火を通じて科学へ興味を抱いたとのこと。

Blowing stuff up, apparently, generates excitement about chemistry in a way that staring at the periodic table of the elements just doesn’t.

確かに花火は見た目も派手だし、含まれる元素によって色が変わるので科学を学ぶのには最適だ。Wikipediaにも花火に利用される元素とその用途が記されていて面白い。ちなみに日本では火薬類取締法で規制されている。危ないものを規制することは必要だが、子供が科学に触れる機会を用意することも必要かもしれない。

リトアニアでの青少年保護

ゲイマリッジに関する記事だが、非実在青少年などという概念が真面目に議論されている日本にとっても興味深い内容だ。

Lithuania | Gay Rights | Gay Marriage | EU

The “Law on the Protection of Minors against the Detrimental Effect of Public Information” came into force on March 1 and restricts any public dissemination of information which affects the “mental health, physical, intellectual or moral development” of children under 18.

今月、有害情報から未成年を守るための法律が施行されたそうだ。その内容は青少年のメンタルヘルスから身体的・知的・倫理的な成長に影響する情報の頒布を制限するものだという。具体的な例は次のようなものだ:

  • 悪い食習慣や衛生週間、運動不足を助長するもの
  • マスメディアの視聴者を対象とした集団催眠を描くもの
  • 財産へのダメージ・破壊を助長するもの
  • 性的なもの
  • 恐怖を煽るもの
  • ギャンブルを助長するもの
  • 家族の価値を貶め、憲法や民法に規定されている以外の結婚観・家族観を提示するもの

問題となっているのは最後の結婚・家族に関するものでこれは、セクシャルオリエンテーションに基づく差別を禁止するEUの規定に反すると非難されている。

上に挙げられた内容はいずれも多くの人が有害かもしれないと思う情報だ。しかしある情報が有害かもしれないから制限すべきという考えを受け入れればそれがこのように無制限に拡大することは現実的にありうるということを示している。

水問題のスケープゴート

日本の政治はだめだみたいな話をよく聞くけど、政治がだめなのは日本の専売特許ではない。カリフォルニアにおける水資源問題について。

Deceptive arguments are being made in California’s water wars

Apportioning this finite resource among cities, farms and the environment will require well-informed discussions, conducted responsibly and in good faith, and thoughtful investments in conservation technologies.

大農業地帯であるカリフォルニア中央部のセントラルバレーでは近年水不足が深刻だ。資源が限られている時それをうまく利用するためには慎重な議論が必要なのはその通りだ。

A perfect opportunity, in other words, for political posturing.

しかし同時に政治パフォーマンスの絶好の機会でもある。セントラルバレーでは失業率が40%を超える地域もあるそうで不満な有権者には事欠かない。

McClintock’s argument appears to be that the fault lies with the “environmental left” and its puppets in Washington, who place the fate of a silvery, 2-inch fish above the needs of human beings.

その一つの戦法は問題を過剰な環境保護にすり替えてしまうことであり、今回そのシンボルとして選ばれたのがDelta Smeltという小魚だ。

この小魚を人間様より重視するというのか!!という論理だ。

Though Fresno County officials projected 2009 to be a “dire year” in production, that needs to be measured against the record harvest of 2008, when the county’s $5.7-billion production value represented a nearly 6% increase over 2007.

この手の問題では常にそうであるように、これは実態を現してはいない。まず、干ばつで生産が落ち込んでいるという主張に問題がある。前年に比べて生産が減っていはいるが、それは昨年が記録的な豊作だったためだそうだ。

In dry periods, like the last few years, the federal government has still delivered to those users 100% of their contracted supply. This year Westlands, which sits at the bottom of the rights waterfall, may receive as little as 5%.

もちろん、問題が全くないわけではなく、水不足が深刻な地域もある。しかし、それは環境保護のためではなく、水の配分に関する制度の問題だ。下流から順に割り当てて行く仕組みになっており、優先順位の低い地域ではすぐに水不足が起きる。

Mendota’s annual unemployment rate has dipped below 25% only twice in the last 10 years, according to state statistics; in 2003, when the federal deliveries were better than 75% of contract supply, Mendota unemployment still approached 32%.

この制度的問題は今に始まったことではなく、現在40%の失業率で騒がれている地域ではこの十年間失業率が25%を切ったことがない。一番水が多く供給された年でも32%であり、高失業率は構造的な問題だ。

記事中ではダムなどの過剰な環境負荷が原因として挙げられているが、対策としては適切な価格設定が必要だろう。価格がつく事により環境への外部性をコントロールできるし、地域ごとに非効率な不均衡が生ずるのを防ぐことができるはずだ。

No amount of political bluster will solve these conflicts. Nor will an approach that treats the needs of every community of water users as superior to everyone else’s, that advocates the building of new dams that just repeat or magnify mistakes committed in building the old ones, or that reduces a complex issue to a comic-book conflict between human beings and a tiny fish.

しかし、そのためには今優先的に水の供給を受けている人から資源を取り上げる必要があり、農家にとっては財政的な負担になる。解決策は、言うまでもなく、全てを小魚のせいにすることだ。

Delta Smeltの写真はWikipediaより(パブリックドメイン)。

ホワイトスペース特区

久しぶりに○○特区というフレーズを聞いた。色々な特区が過去に提案されてきたが結果がどうであったのか興味がある。ちなみに昨年末の第二十一回認定では以下のようなものが認定されている:

  • 釧路市:釧路市阿寒湖温泉地区共生型福祉サービス特区
  • 遠野市:遠野市民センター 学びのプラットホーム特区
  • 市川三郷町:より安全で安心できる給食特区
  • 南国市:南国・土佐のまほろば どぶろく・リキュール特区
  • 四万十町:四万十町どぶろく特区
  • 多良木町:多良木町どぶろく特区

あまり斬新なものは見当たらないというか、半分どぶろくなのだが、どうなっているのだろう。

今夏にも「ホワイトスペース特区」 空き電波で地域活性化

今回取り上げられているのは、ホワイトスペース、即ち使用されていない電波帯に関する特区だ。

内藤副大臣は「ホワイトスペース特区を先行的に始めるエリアを通じ、研究開発や実証実験を開始し、制度化を進めていきたい」と語った。

もちろん現在使用されていない電波を利用するというのは素晴らしいことだ。

テレビなど放送電波の空いた周波数帯を有効活用し、地域経済の活性化を図る「ホワイトスペース特区(仮称)」を7月以降に創設する方針を明らかにした。

しかし、その有効活用というのは「地域経済の活性化」であると結論付けるのは早計だ。本当に有効活用するのであれば、開いた周波数帯をオークションするのはするのはどうだろう。一番多くのお金を払うつもりのある団体は最もその周波数を必要としている、つまりその周波数から多くの価値を引き出せる集団だ。もちろん「地域経済の活性化」が優れた利用方法だと知っている団体は結果的にその周波数を取得し活用するので問題ない。限られた資源を有効活用できるだけでなく、財政難の政府の収入にもなって一石二鳥だろう。

曖昧な目的へ貴重な資源を無償供与するぐらいなら、オークションによりそれを一番活用できる事業者に割り当てた方がよい。これはホワイトスペースに限らず、テレビ局などが専有する周波数帯についても当てはまるはずだ。

アメリカのブロードバンド

このネタは何回かすでに取り上げた気もするが、あまりにもひどいのでもう一回。うちはAT&Tだが、昨日も複数回ダウンしていたようだ。

FCC to propose faster broadband speeds | Reuters

The FCC wants service providers to offer home Internet data transmission speeds of 100 megabits per second (Mbps) to 100 million homes by a decade from now, Commission Chairman Julius Genachowski said.

2020年までに100Mbpsの接続を1億世帯に届けろという連邦通信委員会の要求が業界に波紋を読んでいる。アメリカの世帯数は2000年のCensusによると105,480,101世帯なので基本的には殆どの家庭に100Mbpsのブロードバンドを提供しろということだ。こう書くとすごいことに聞こえるが、日本のFTTH利用可能世帯率は80%を超えている

この発言に対するISPの反応はどうしようもない。

“A 100 meg is just a dream,” Qwest Communications International Inc Chief Executive Edward Mueller told Reuters. “We couldn’t afford it.”

“First, we don’t think the customer wants that. Secondly, if (Google has) invented some technology, we’d love to partner with them,” Mueller added.

Qwestによれば100Mbpsは夢物語でそんな金はないし、そもそも客が欲しがってない(!!!)とのことだ。Googleがいい解決策を持ってるなら一緒にやってやってもいいよというところだ。

AT&T, the top broadband provider among U.S. telecommunications carriers, said the FCC should resist calls for “extreme forms of regulation that would cripple, if not destroy, the very investments needed to realize its goal.”

AT&Tは規制によって投資をするインセンティブがなくなると主張している。ちなみにそのAT&Tがうちの地域で提供している最速のブロードバンド(?)は不安定なDSL 6Mbpsだ。

Industry estimates generally put average U.S. Internet speeds at below 4 Mbps.

しかし平均的なスピードは4Mbpsとのことでこれでも50%も上回っているとのこと。

Verizon, the third-largest provider, and one that has a more advanced network than many competitors, said it has completed successful trials of 100 Mbps and higher through its fiber-optic FiOS network.

唯一前向きなVerizonはバックボーンに光ファイバーを使うFiOSサービスを提供しているが、ほとんどの地域では提供されていない(FiOSの最高速度は50Mbpsだが、これが提供される地域は一段と小さい)。

New data: 40 percent in US lack home broadband

Lack of broadband availability is only part of the challenge for Washington, however – because even in places where broadband is available, not everyone subscribes.

アメリカではブロードバンドが提供されていたといしても、それが利用される率が低い。そもそも必要を感じない家庭や高すぎるからと契約しない家庭がたくさんある。

The FCC also wants to use the universal service fund, a U.S. subsidy program for low-income families to gain access to phone service, to get more people high-speed Internet access.

こういった問題にユニバーサルサービスファンドを使おうというのは正しい動きだろう。固定電話サービスの必要性は著しく低下した。ブロードバンドがあれば電話もできるわけで、そちらに集約するのは妥当だ。