ネット選挙

ネットはマーケティングに欠かせない存在だが、政治活動にも必要だ。

ネット選挙 まずはホームページ更新から

選挙中のホームページ更新やメール送信は、はがきやビラ以外の「文書図画」の頒布を禁じる公職選挙法に抵触するというのが、現在の法解釈だ。

ウェブサイトの更新を認めるというのは妥当だろう。有権者が自ら閲覧するという点が単なるメールとは異なる。メールの場合はスパムを考えれば分かるように、送り手はコストを負担せずに勝手に送り付けることができるため慎重になる理由がある。同様の理由で自らフォローしない限り見ることの出来ないTwitterや登録が必要なメールマガジンも問題ないだろう(但し、後者については解除の方法を平易かつ画一にする必要はありそうだ)。

一方、ネット選挙の解禁に慎重な議員たちの間には、メールは他人が候補者の名をかたる「なりすまし」が容易で、虚偽情報を広めることに悪用される、と懸念する声が少なくない。

「なりすまし」を懸念する声もあるようだが、適切な手段を講じればいいだけの話だ。でなければオンラインショッピングなど出来るはずがない(注)。これを気に、ネット上でのセキュリティやアイデンティティの問題について包括的な啓蒙を行ってはどうだろう。

利用者が急増している簡易投稿サイト「ツイッター」でも、本人認証の仕組みが未整備のため、鳩山首相のなりすましが“登場”したばかりだ。

未整備なのは本人認証の仕組みではなく、議員やマスコミのリテラシーなのだから。

(注)SMTP自体はセキュアではないが、電子署名したりセキュアなサイトへ呼び込めいい。

追記:改変してRT=流布される可能性はあるが、それは他のメディアでも同じだ。それどころかネット上であれば一次ソース=発言を確認することもできる。ネットが使われている国でも政治家のなりすましが大きな問題となっているニュースは聞かない。

ツイッターでの災害情報

大したニュースではないが、むしろニュースになるのが不思議。

ツイッターでの災害情報提供を指示~総務相 | 日テレNEWS24

利用者が急増している簡易投稿サイト「ツイッター」に今月中旬から最新の災害情報を提供するよう、総務省消防庁に指示したことを明らかにした。

災害情報の目的は単に情報を広めることにあるわけだから、費用に対して効果が見合うなら当然始めるべきだといえる。ネット専門でテレビは見ないし、ラジオも聞かない人はたくさんいる。今までこういう人に速報を伝えることは難しかったわけで、良い試みだ。

一企業のインフラを使うのはどうなんだ、という声もありそうだが、放送局でもそれは変わらない。別に他のマイクロブログで同じ試みを初めても良い。コストにシビアな企業の多くがTwitterを含めた複数のチャンネルでマーケティングを行っているのだから政府がやらない理由もないだろう。ソーシャルメディアに数人割り当てて交代で管理すれば十分だ(CoTweet)のイメージ。

Twitterの模索

Twitterの収益源」で書き忘れたことがあったので追加。

Twitter Has a Business Model: ‘Promoted Tweets’

Twitterを収益化する上で、豊富な資金を背景に慎重に進めることが重要だが、もう一つキーポイントがある。それは、収益化方法を探る上でもプラットフォームとしての立場をうまく利用することだ。

Twitter is rolling out promoted tweets slowly over the course of the year; initially on Twitter.com, and then to Twitter clients, which can include the ads and get a cut of the revenue.

現在Promoted Tweetが導入されているのはTwitter.comでの検索だけだ。検索結果に若干の広告が含まれることは消費者にとってそれほど抵抗がない。どの検索エンジンも広告を主な収入源にしている。

次のTwitter.comへの広告表示に関しても大きな反発はないと思われる。GMailのようなサービスでもインターフェース上には広告が入っているし、サードパーティのクライアントを使えばいいだけだ。

しかし最後のクライアントへの広告Tweet挿入、つまりTLへの広告導入は大きなステップだ。メールに広告が入るようなものだろう。だが、ここでTwitterは賢い戦略を取っている。広告をクライアント開発者とシェアするというものだ。

この戦略を採用する一つの理由は必要性だろう。Twitterがこれだけ流行ったのには、APIを公開してクライアントを含めたエコシステムを構築したことにある。APIがオープンである以上、いくら広告を挟んでもクライアント上で表示しないようにすることは容易にできるだろう。ユーザーの反発を防ぐだめにPromoted Tweetは広告である旨明記されており単純にフィルターすればよい。

しかし、これは同時にうまい収益化方法をサードパーティに探らせるための仕組みともなる。クライアント開発者は最もユーザーにとって抵抗がない方法を見つけることでクライアント自体から収益を上げなくても利益を出すことができる。これはTwitterにとってはプラットフォーム全体に対する批判を避けつつ開発者にクライアント毎での実験をさせるようなものだ。非常に効果的な方法が見つかればその開発元企業を買収すればよい(おそらく知的財産権で守られるようなものではないので模倣も可能だろうが、プラットフォーム運営や人材確保の観点からして買収が望ましいだろう)。

Twitterの収益源

Twitter話題(ソーシャルメディアを使った予想)ついでに、Twitterがどこから収益を得ているのかについて(ht @gshibayama):

Twitter Has a Business Model: ‘Promoted Tweets’

The promoted tweet is one of three streams of revenue Twitter will have available, including a data fee from search engines indexing Twitter in real time, such as Google, Yahoo and Bing, and the coming “professional accounts.”

三つの収益源が示されている:

  1. Promoted Tweet
  2. Data Fee
  3. Professional Account

Promoted Tweet

まずは今回導入されたPromoted Tweetだ。

Twitter is expected an answer to both questions on Tuesday in the form of “promoted tweets,” which will put ads on Twitter, first in search results and later in user feeds both on Twitter.com and the myriad third-party clients […]

Promoted TweetはTwitterサイトの検索結果やタイムライン、そしてサードパーティークライアントへとTweetの形で広告を配信する。通常のTweet同様、RTしたりFavoriteにしたりできる。

Twitter is developing a performance model that could be the basis for pricing based on a metric called “resonance” — impact judged on how much a tweet is passed around, marked as a favorite or how often a user clicks through a posted link.

この特性を活かして、広告効果の指標を作る計画だ。ユーザーの行動自体だけでなく、ユーザーの特性も計算にいれればかなり的確な指標にすることもできそうだ。豊富なファンディングを背景にユーザーの反応を見ながら慎重に進める方針とのこと。特にユーザー個人のTLへの広告Tweet挿入は抵抗も予想される。ユーザー毎にマッチした広告にしたり、ある程度表示される広告にユーザーの意思を反映させるといった対策は必要なように思われる。

Data Fee

データフィーは前回のポスト(ソーシャルメディアを使った予想)のように、Twitterのもつ情報を検索エンジンに販売するものだ。Twitterの検索結果は既にGoogleなどでリアルタイムに表示されている。

Professional Account

Professional accounts will include the ability to have multiple users on one account — much like some of the clients such as CoTweet do today — plus a dashboard that shows what’s happening with a brand on Twitter and integration with promoted tweets.

一つのアカウントに複数のユーザーを登録したり、ブランド管理のためのダッシュボードを提供したりするプロアカウントも計画中とのこと。これは既にサードパーティーのクライアントやコーポレート向けのサービスでカバーされているが、Twitter本体が参入するということだろう。「Tweetie買収」同様のプラットフォーム企業としての微妙なバランス取りが要求される。

ソーシャルメディアを使った予想

Tweetの量・質を利用して将来予測ができるのではないかというストーリー。

Twitter predicts the future?

元ネタと鳴っているのはHP LabsのPredicting the Future With Social Mediaというペーパー(8枚と短いしテクニカルな部分も殆どないので読んでみてもいいかもしれない)。

Using the tweets referring to movies prior to their release, can we accurately predict the box-office revenue generated by the movie in its opening weekend?

テーマは映画が公開される前のTweetの数を使って一週間目のボックスオフィス売上を予測できるかというものだ。

上のグラフがその結果だ。縦軸が実際の売上、横軸が(線形関係から)予測された売上だ。軸の縮尺が違うので45°線にはなっていないが、予測値と実測値が近いのが分かる。青い線は売上について仮想の賭けをするHollywood Stock Exchange (HSX)での取引から推定したもので、ペーパーではTwitterを使った予測がHSXを用いた予測より正確であった主張されている。Tweetの内容がネガティブかポジティブかを分析に加えるとさらに正確になるとのことだ。アウトオブサンプルでどうなるのかなども気になるが、ソーシャルメディアが持つマーケティングへの影響力の大きさは疑いようがない。