イランの腎臓移植マーケット

Project SyndicateへのPeter Singer投稿から。

To seek an answer, we can turn to a country that we do not usually think of as a leader in either market deregulation or social experimentation: Iran. Since 1988, Iran has had a government-funded, regulated system for purchasing kidneys. A charitable association of patients arranges the transaction, for a set price, and no one except the seller profits from it.

According to a study published in 2006 by Iranian kidney specialists, the scheme has eliminated the waiting list for kidneys in that country, without giving rise to ethical problems. A 2006 BBC television program showed many potential donors turned away because they did not meet strict age criteria, and others who were required to visit a psychologist.

イランでは腎臓売買の手配・価格の設定などを行う国家認定の組織が存在し、現在では腎臓移植を待っている人は存在しないそうだ。言及されているBBCのプログラムの内容はこちらで見られる(番組のスクリプトはこちら)。またより詳細な説明がこちらにあった。

Those who volunteer to donate the kidney to unrelated recipient; government gives him cash compensation equivalent of 6 months of his salary, lifetime health insurance, plus recognition award.

他人に腎臓を提供をする人には半年分の給与、一生の健康保険などが提供されるようだ。このようなシステムが推進されるのは、イランの保健制度とも関係がある。

Iran offers lifelong free Hemodialysis treatment to all its citizens with quality standard that of best in the world.

国が透析を無料で提供するシステムになっているため、腎臓移植のインフラを整備することで予算を節約できるようだ。

バークレー開発計画

最近、バークレーの中心部の再開発計画に対して、投票を求める署名活動がそこら中で行われている。

Berkeley downtown foes promote petition – Inside Bay Area

計画は、市中心部の容積率規制を緩めて高層化を目指すというもの。これにより家賃レベルの低下・商業スペースの拡張に加え、自動車通勤の現象が予想される。バークレーに三つの駅(North Berkeley, Downtown Berkeley, Ashby)が存在するが徒歩十分以内で駅まで到達できる地域はかなり少ない。

市内全体を見ても、高層建築は大学関連を除けば非常に限られており、主に2階建て以下である。これは地価の高さを考えれば異常ともいえる(1ベッドルームは$1,000を切ることはない)。さらに政治風土を反映してか家賃規制が多くの住宅にかかっているため住宅の供給が少なく売り手市場だ。

この計画に反対している人々の主張は、

There’s a huge percentage of people in this community who are not being served by affordable housing.

低価格な住居とされる割合が少なすぎるというものだ。しかし、容積率を上げることは家賃の低下をもたらすわけで、一部のスペースの価格を規制することは一般的な家賃規制と同じ効果しかもたらさない。自分が価格規制されている住居に入れれば得だが、それ以外のひとは損をし、総合的にはマイナスである。

一方、容積率増加に反対することで直接利益を得る人もいる。それは現在市内に不動産資産を所有している人だ。彼らにとってはあらゆる供給増加は望ましくない(それが自分の資産に関するものでない限りにおいて)。

signature gatherers, some who are getting paid about $2 a signature

署名を集める人の中には署名一つにつき$2の報酬を受け取っている人もいるとのことで、やはり強い経済的利害を持ったグループが署名活動を推進していることは間違いないように思われる。

ウェブサイトのサムネイルを作る

前のポストでウェブサイトのサムネイル画像を作ったのでやり方を解説:

ILoveTux.com – linux blog, linux howtos, linux news, and fedora: HowTo: Thumbnail A Website From Linux Command Terminal

使用するのはコマンドラインツールのGnome Web Photo。Debian, UbuntuなどApt系なら

sudo apt-get install gnome-web-photo

FedoraなどYum系なら

sudo yum -y install gnome-web-photo

でインストール。オプションは、

-m / –mode [photo|thumbnail|print]:出力モード

-t / –timeout=T:タイムアウト(0で無効)

-w / –width=W:イメージの横幅

-s / –size=S:サムネイルのサイズ

使い方としては、

gnome-web-photo -m thumbnail -t 0 -w 1024 -s 256 http://rionaoki.net/ thumbnail.png

デフォルトのフォーマットはpngだ(ppmとjpegには–formatオプションで変更可能)。1024を変えると使われるブラウザ画面の幅が変わり、256を変えるとサムネイルの幅が変わる。縦幅は基本横幅と同じところで切られるが横長の画面の場合は横長のサムネイルが作られるようだ。全景を記録したい場合にはphotoモードにしよう。この場合サムネイルにはならず-sオプションは指定できない。

gnome-web-photo -m photo -t 0 -w 1024 http://rionaoki.net/ photo.png

Web2.0的教育とダイエット

チェックさせて頂いているバークレーのMBAの方のブログの記事について:

A Golden Bearの足跡 : ゴルフレッスン開始 & Web2.0的教育へのちょっとした考察

その中で出てきた1つの話題が、「教育にWeb2.0的な発想を持ち込めないか」というものです。

供 給側では、例えば教育ツールとしては、Webに親和性の高いSNS・ガジェット・iPhoneアプリ等、従来の黒板やパワーポイントより効果が高そうな ツールが、いろいろ作れそうです。また、デジタルハードウェアに関しても、今まさにゲームの世界で盛り上がっている体感型センサや、自動車向けに開発され ている「居眠り防止センサ」のような技術は、そのまま教育にも横展開できるでしょう。

教育とは若干異なるがこれに非常に当てはまるベンチャービジネスとしてdailyburnがある。

ダイエットをしたい人のためのサイトで、関連する情報の提供、データの記録からiPhoneアプリまで、ダイエットの助けになるツールを提供している。

一方、需要側では、私がゴルフレッスンを丸1年間入れる事ができなくて非常に後悔しているように、もし仮に満足なツールが揃ったとしても、それを確実に受 け取るためのサプライチェーンが揃っているか、忙しい中どう受講生側の時間とモチベーションを確保してあげられるか、の問題解決の方に、需要がある気がし ています。

需要面においても、ユーザー同士のグループやパートナー、コンテストなどを導入してモチベーションを上げようておりまさに合致している。他のユーザーとつながることで参加にピアプレッシューが発生する。まさにWeb2.0的なメリットだ。

さらに金銭的な観点からモチベーションを維持することを考えると、ジムのメンバーシップのような形態が考えらる。決まった金額を払う契約になっていれば参加するインセンティブが生まれるためだ。ジムのモデルは供給側についても該当する。ジムがトレーナーの商売をジム内で認めることがあるように、サイトでコーチングのような副次的なビジネスを認めることは可能だ。dailyburnの例で言えば、サイト内でNutrisystemのようなダイエット食品を提供することが考えられる。サイト上で収集した個人情報を元に適切な抱き合わせ販売をすればより大きな利益が見込める。

dailyburn

但し、ジムとは異なり、メンバーの数は需要にも供給にもプラスの外部性を持つので価格付けには注意が必要になるだろう。特にサービス開始時は低価格ないし無料である必要がある(有名人を巻き込む戦略もありだ)。長期的にも広告収入やプラットフォーム上でビジネスを行う企業等への課金、サイト上での物品販売で十分な収入が見込めるのであればメンバーへの実質的な利用料をゼロにすることも可能なだろう。その場合には一定金額は徴収した上で、計画どおりに利用している場合には返金することでインセンティブ構造を維持できる。利用者は計画どおりに利用できることに過大な自信を抱くことが予想される(Paying Not to Go to the Gym)ため利用者からも収益が見込める。普段から忙しいなど利用できない恐れがあるひとのほうが平均的に支払い意志が強いため効果的な価格差別戦略でもある。

追記:似たようなことをするBlackberry用アプリケーション、senseiを発見。

  • Paying Not to Go to the Gym

BARTストライキ回避

East Bay Express | Blogs | Give BART Management Credit

今週予想されていたBARTのストライキ回避の要因は、不景気の中で世間一般からの批判が大きかったことだけではなく、政治家が介入しなかったことがあるようだ。前回労使争議があった2001年にはサンフランシスコとオークランドの市長が介入してなんと4年間で22パーセントもベースがあがったとのこと。

Clearly, the union was hoping for a repeat of 2001 when then mayors Willie Brown of San Francisco and Jerry Brown of Oakland inserted themselves in the process and the train operators and station agents walked away with a 22 percent raise over four years.

公共交通機関に労働組合が必要な理由がいまいち分からない。団体交渉が問題なら日本の公務員のように人事院のような組織を使うこともできる。そもそも半政府機関は労働者に厳しくないので交渉力の非対称性はあまり問題ではないはずだ。アメリカは労働市場が非常に流動的なので解雇による経済的なダメージも小さい。

ちょっと労働組合の経済的な意味について検索してみたが、あまり有用なものは見つからない。