いまさら題名にするようなことでもないけどOECD加盟国では下から六番目の税収GDP比だそうで:
Tax Burdens, Around the World – Economix Blog – NYTimes.com
日本は26.9%。アメリカの26.9%に比べれば高いがヨーロッパの国よりはだいぶ少ない。よく似ていると指摘されるどいつでも36.5%もあり、ヨーロッパの先進国では40%越えが普通のようだ。
いまさら題名にするようなことでもないけどOECD加盟国では下から六番目の税収GDP比だそうで:
Tax Burdens, Around the World – Economix Blog – NYTimes.com
日本は26.9%。アメリカの26.9%に比べれば高いがヨーロッパの国よりはだいぶ少ない。よく似ていると指摘されるどいつでも36.5%もあり、ヨーロッパの先進国では40%越えが普通のようだ。
アメリカでは法律上の税率は高くても、実際に企業が払っている税金の額は少ない(参考:タックスヘイブン)。そのいい例があった:
Goldman Sachs’s Tax Rate Drops to 1%, or $14 Million (Update1) – Bloomberg.com
The company’s effective income tax rate dropped to 1 percent from 34.1 percent, New York-based Goldman Sachs said today in a statement. The firm reported a $2.3 billion profit for the year after paying $10.9 billion in employee compensation and benefits.
政府から支援を受けながら、高額なボーナスを支払ったとして批判されているゴールドマンサックスの実効税率が明らかになった。その数字はと言うとなんとわずか1パーセントだという。
Goldman Sachs, which today reported its first quarterly loss since going public in 1999, lowered its rate with more tax credits as a percentage of earnings and because of “changes in geographic earnings mix,” the company said.
担当者はこの現象を利益の地理的な分布の変化によるものだとしている。
“I was definitely taken aback,” Willens said. “Clearly they have taken steps to ensure that a lot of their income is earned in lower-tax jurisdictions.”
わかりやすく言うと、利益を税率の低い州で発生させることで税金を回避しているということだ。州によって税制が異なるアメリカでは税金を減らすためのコンサルティングなどが一つの産業として成立している(多国籍バージョンが移転価格プラクティスだ)。
センセーショナルなタイトルの次の記事:
How 16 ships create as much pollution as all the cars in the world | Mail Online
十六隻の船が世界全体の自動車よりも汚染を生み出してるというのはどういうことだろう。
As ships get bigger, the pollution is getting worse. The most staggering statistic of all is that just 16 of the world’s largest ships can produce as much lung-clogging sulphur pollution as all the world’s cars.
問題となっているのは硫黄汚染だ。なぜそんなことがありえるのか。
But, unlike power stations or cars, they can burn the cheapest, filthiest, high-sulphur fuel: the thick residues left behind in refineries after the lighter liquids have been taken. The stuff nobody on land is allowed to use.
それは船の燃料に対する規制が非常に緩いためだ。陸上では既に違法とされているような精製の残りかすが燃料として利用されている。
Bunker fuel is also thick with sulphur. IMO rules allow ships to burn fuel containing up to 4.5 per cent sulphur. That is 4,500 times more than is allowed in car fuel in the European Union. The sulphur comes out of ship funnels as tiny particles, and it is these that get deep into lungs.
国連の一部である国際海事機関(International Maritime Organization)による船の硫黄の許容量はEUの自動車燃料のそれの4500倍だそうだ。
For decades, the IMO has rebuffed calls to clean up ship pollution. As a result, while it has long since been illegal to belch black, sulphur-laden smoke from power-station chimneys or lorry exhausts, shipping has kept its licence to pollute.
IMOは海洋運送を行う企業の利益団体のようになっていて、船の燃料に関する規制を悉くはねのけているそうだ。
Smoke and sulphur are not the only threats from ships’ funnels. Every year they are also belching out almost one billion tons of carbon dioxide. Ships are as big a contributor to global warming as aircraft – but have had much less attention from environmentalists.
もちろん二酸化炭素も大量に排出される。こんなことが可能となっている大きな原因は、自動車や飛行機に比べて船の環境汚染への注目が薄いことだという。
ここでは指摘されていないがもう一つの理由は規制のあり方だろう。環境汚染物質の排出量に関しては数量規制がかけられることが多い。リッター何ミリグラム以内といったものだ。しかし、数量規制は非常に非効率なことが多い。この例のように一部の用途が抜け落ちていたり、建材のホルムアルデヒドのように注目が集まると過剰な規制が起きたりする。炭素税のような価格によるコントロールをより積極的に利用すべきだろう。
トービン税については前取り上げたが、それに対する反対意見があったので紹介:
Tobin tax: How to reveal you don’t understand risk : Core Economics
A great way to reveal that you only understand risk management in static terms is to advocate a Tobin tax on financial transactions.
トービン税はリスクマネジメントを静的にしか理解していないことを示すという。
People who look at the financial system and see the massive growth in trading volumes of capital market and risk market instruments and conclude that it is all just speculation run amok, just don’t get it. They don’t have a good understanding or intuition about how risk is dynamically managed in the economy. They want a Tobin tax to suppress speculation, not realising that they will damage the allocative efficiency of the financial system.
著者によれば、資本市場・保険市場の拡大は投機ではなく、リスクが動的に管理されている証拠であって、トービン税を掛けると金融システムの効率を損なうそうだ。
市場のどこまでが投機なのかというのは実証的な問題なのでよく分からないがいまいち説得力がないように思う。理由は以下だ:
前者についてはそもそもトービン税の推進派も税金が何らかの非効率を招くことは否定しないだろう。しかし実体経済へのマイナスの影響を与える投機行動を直接規制できないのであれば取引全体を規制することは正当化しうる(公害を取り締まる方法がないことを前提とすれば競争を促さないことが正当化されるのと同じだ)。
後者は税の超過負担の問題だ。一定の税収が必要なことを前提とすれば、必要悪としての税金はなるべく経済に歪みをもたらさない場所に掛けるのが望ましい。よってトービン税の非効率性を議論するなら、他の税金にくらべて非効率だという必要がある。
まあ、トービン税が導入されることは政治的になさそうなので実質的にはどうでもいい気もする。
限界税率といえば普通、高所得者について議論されるものだ。累進税率によって所得が上がるほど限界税率は上昇するためだ。しかし、低所得者層においても限界税率の労働意欲に対する影響はおおきい:
The Dead Zone: The Implicit Marginal Tax Rate – Clifford F. Thies – Mises Institute
このグラフは給料の額と実質的な可処分所得との関係を表したものだ。高所得者層では税金があるため可処分所得のほうが小さいが、低所得者層ではフードスタンプのような生活保護政策によって給料の方が少ない。
問題は四万ドル以下の平らな部分だ。平らというのは給料が増えても実質的に使える金額が変わらないためだ。給料が上がることで税金がかかり、補助の額が減るため、給料の上昇が打ち消されている。
こちらは最初のグラフから逆算した限界税率だ。2万ドルから4万ドルの間の限界税率が著しく高いことが分かる。
Everywhere, the government’s desire (meaning the left-liberal do-gooders’ desire) to be generous to the poor is destroying the positive incentives to work and to save that are so necessary for a well-functioning economy.
これにより、低所得者層が所得を上昇させるインセンティブは極めて小さくなる。対策としてはまず生活保護のような給付金を所得に対してよりなめらかに設定させること、絶対的な水準をしぼること、対象基準を所得以外の要因にすることが考えられるだろう。
日本のケースについても同じようなグラフはないだろうか。