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職業別の政治的傾向

職業ごとに、リベラル・保守のスペクトラムでどの辺になるのかが図になっていて面白い。

Ideological rankings of occupational categories

政治献金をする人の職業のデータから各職業のメジアンでの政治的な立ち位置が示されている。青と赤の分布は民主党と共和党の議員のものだ。拡大すると読めるが、最もリベラルなのはMontion PicturesでそれにProfessors, Printing and Publishing, Public Schools, Laywersなどが続く。逆に保守的なのはOil and Gas, Auto dealers, Construction, Energy Production, Agricultureなどとなっている。思想的な左右と経済的な左右とを分離できない一次元的な表現の限界は感じるものの面白いデータだ。

数値の計算については他のポストで説明されている。簡単に説明すると、まず民主党の立候補者の数値を[latex]-1[/latex]、共和党の立候補者の数値を[latex]1[/latex]とする。次に献金者の数値を献金相手の数値の献金額での加重平均として計算する。そして今度は逆に各候補者の数値を献金者の数値をそれぞれの献金額の加重平均にアップデートする。数値が収束するまでこれを繰り返すと各候補者及び献金者の数字が決まるという寸法だ。この方法は、議員の数値を議会での投票行動から計算する方法に比べて、落選した立候補者への献金も考慮できる点で優れている。

食べ過ぎ大国

アメリカ人の肥満具合はよくネタにされるが、一体どのくらい食べているのか。データがあったのでちょっと覗いてみよう。

ERS/USDA Data – Food Availability (Per Capita) Data System

As with the basic food availability data, the Loss-Adjusted Food Availability Data series does not measure actual consumption or the quantities ingested.

農務省のEconomic Research Serviceから公表されている情報だ。普通の栄養学的な情報とちょっと違うのは、このデータは実際の食事に関するデータに全く基づいていないところだ。

They are calculated by adding total annual production, imports, and beginning stocks of a particular commodity and then subtracting exports, ending stocks, and nonfood uses.

このデータは食糧の生産量・輸入量・期首の在庫から輸出量・期末の在庫・非食用利用を引いて計算されている。そこから実際に消費者の口に入るまでに生じるロスを推定して一人当たりの摂取カロリーを作るわけだ。そのため地域別データもないし、男女別の数字すらない(よって例えば南部の州の男性だけ取り出せばこれよりも遥かに多い数字になるはずだ)。

そこから七種類の分類別にカロリー摂取量の推移をグラフにしたものが上だ。最新の2008年で平均摂取カロリーは2,674Kcalとなっている。これは2002年のピーク時における2730Kcalよりは低いが、四十年前に比べると30%の増加だ。推定ロス率を掛ける前の消費量は約3,900Kcalとなっている。

国会図書館のページによると、日本の平均消費カロリーは厚生労働省調べで1,891Kcalとされていてアメリカよりも1,000Kcal近く少ない。

『World health databook 2007/2008』の「Japan: Nutrition and obesity 1999-2006」のデータソースは“Source: WHO/OECD/Euromonitor International”となっていますが、食い違いの原因は不明です。

ちなみに上記ページではWHOによる日本の摂取カロリー2875.3Kcalと厚生労働省の数字との食い違いが指摘されているが、これはロスを計算に入れているかどうかの違いだろう。おそらくWHOの数字は単純な食糧消費(経済から消えた食糧量)から計算しているのに対して、厚生労働省の数字は実際に口に入れたカロリー量を計算していると思われる。

ハンバーガー地図

マクドナルドの分布を前に取り上げたので、これも取り上げないわけにはいかない。ちょっと真面目な記事を仕上げる時間がないので箸休めにどうぞ。

A Disturbance In The Force « Weather Sealed via Flowing Data

今回はマクドナルドと競合するハンバーガーチェーンを表したマップだ。AggDataというサイトで販売されている各チェーンの所在地情報から作られている。$20-$50と割合リーズナブルな価格設定だ。

見たことがないがSonic Drive-Inというチェーンがテキサスを制している。あとはJack In The BoxがLAを中心にCAに展開していること、Wendy’sは東側に多いなんてことが分かる。

マクドナルドが12,000店舗、今回挙げられている競合チェーンは合計で24,000店舗以上あるそうだ。アメリカでは独立系のハンバーガー屋も多いし、ビールが飲めるところの多くでハンバーガーを出す。

ちなみにそのマクドナルドを超える店舗数を誇るのがSubwayで23,000店舗を超えているようだ(追記:タイポで桁があがっておりました)。

日本経済の現状

経済産業省が公表しているスライドがよく出来ているのでここでも紹介(ht @kazemachiroman)。日本が抱える問題とここに至るまでの経緯が丁寧に解説されている。ではどうしたらいいのかという部分になると急に説得力がなくなるが、日本語だし全部読む価値はあるように思う。特に興味深いグラフを幾つか抜粋する。

日本の産業を巡る現状と課題

まず各国の貯蓄率の推移だ。日本は貯蓄率が高く、アメリカは借金だらけというイメージを持つ人が多いと思われるが、日本の貯蓄率はアメリカを下回っている。高齢化や社会保障によって貯蓄率が下がるのはしょうがないが、それにしても衝撃的な数字だ。

最近、株主主権の問題と絡めて話題となった労働分配率だがここでも日本は英米独仏などよりも高い水準を保っている。特にドイツが一番低いのは興味深い。

企業の海外移転に関するアンケート結果だ。多くの企業が生産機能移転を決定ないし検討しているとのこと。生産コストを考えればその流れは当然だろう。日本で働く人は開発・研究・本社機能で能力を発揮出来るようにならないと厳しい。

こちらは三大都市圏及び地方の人口推移だ。全体に人口が減っていくものの、相対的に地方での人口減少が深刻となる。

特に地方圏では、今後急速に人口減少。地域経済の立て直しが深刻な課題。

とはいえ、既に莫大な予算をつぎ込んでいる地方経済をどう立て直すというのだろうか。

実質失業率は急激に伸びている。日本の比較的低い完全失業率は企業による抱え込み=保蔵によって維持されているに過ぎない。

当然これだけの余剰人員を抱えていれば労働生産性で他国に引けをとるのは当然の帰結だろう。

企業内部で再配分が行われているような状況であり、雇用者報酬も伸び悩む。国境を越えられるような人材の確保はますます難しくなりそうだ(こっちも購買力平価だよね?)。

では日本の問題は何か。まず挙げられているのが実効法人税率の圧倒的な高さだ。どこの国で始めても良いような産業があえて日本を選ぶことはないだろう。儲かりそうであるほどそうだ。運輸の関する費用も高く事業コストが足かせになっている状況が分かる。

資本市場としての魅力もない。シンガポールの躍進をみればアジアでの地位は完全に失われたといっていいだろう(追記:資本市場の地位という意味)。

資料では、これらの経緯・現状を踏まえた上でさらなる産業政策の重要性が強調されているが、現状はその産業政策の失敗とも捉えられる。まずは企業活動がしやすい環境を整え、国内での競争を促進することで生産性を上げることが重要だろう。そうすることで、政府が成長産業を決め打ちしなくても、優秀な産業が競争に生き残る。

結論部分こそ微妙だが、全体として非常によく出来た資料なので、時間のある時にでも是非読んでみてほしい。

新聞と政治

新聞の政治的な傾向(slant)についての興味深い研究が紹介されている。

Econbrowser: What drives media slant?

Gentzkow and Shapiro propose to measure the slant of a particular newspaper by searching speeches entered into the Congressional Record and counting the number of times particular phrases were used by representatives of each party, mechanically identifying phrases favored by one party over the other.

議会で民主党と共和党が使用した語彙が各新聞で使われている頻度から政治的な傾向の指標を作っている。主観的な指標よりも望ましいだろうし、結果として主観とも整合的だ。日本でも知られている(?)ところではLA Times・SF Chronicle・NYT・WaPoなんかは民主寄り、WSJ・Washington Timesなんかは共和寄りだ。

面白いのは、新聞社の所有者が新聞の政治的な傾向に及ぼす影響だ。

右が政治的傾向、左が同じ所有者の新聞の政治的傾向の平均となっているが、統計的に有意な相関は見られないとのこと。つまり所有者ごとに強い政治的傾向があるわけではないということだ。新聞と流通地域の政治的傾向には相関があることからすれば面白い。

Gentzkow and Shapiro conclude that papers to some degree are just giving their readers what the readers want so as to maximize the newspapers’ profits.

これについて筆者らは新聞社は単に読者が望むものを提供しているだけだと結論づけている。確かに、読者が望まない主張を押し付けようとしても売上が他の新聞社に回ってしまうだけでは経営が成り立たない。

新聞がごく一部の強い好みを持った人だけが購読するものになれば、誰にでも売れる新聞よりも極端な主張の新聞が増えるだろう。

追記:後半の推定については全国紙(NYT・WSJ・CSM・USA Today)は除外している模様です(ht @TrinityNYC)。