motorsavederby.co.uk

エスニシティ別所得ギャップ

アメリカのエスニシティ別の所得の推移を示した綺麗なグラフ:

The US Income Gap | MintLife Blog | Personal Finance News & Advice

内容自体は極めて常識的で、白人およびアジア系の所得が高く、女性の所得は低い。但し、このことから直接結論を出すのは難しい。このグラフはむしろ単純なグラフを読む上での落とし穴を考えるのにいい。ぱっと思いつくだけでも以下のような問題点がある:

  • 平均所得であってメジアン所得ではないので、外れ値に大きく影響される
  • 労働時間で調整されていない;アジア系の所得が高いのは労働時間が長いためでもあるし、女性が低いのも労働時間が短い部分が大きいだろう
  • 推移だけを見るとギャップが開いているように見えるが、片対数グラフではないし、インフレが調整されていないように見える
  • 教育水準などで条件付されていないので、エスニシティ別の所得を見ているつもりで学歴別の所得を見ているだけかもしれない

最近アメリカではグラフを含めた視覚化を行うサイトが相当数あるが日本でも似たような試みがあると面白い。

イノベーションのコスト

研究開発費に関するグラフが幾つか。大まかな数字をつかんでおくのは重要。

Paying for Innovation – Economix Blog – NYTimes.com

国立科学財団(National Science Foundation; NSF)によるレポート(Science and Engineering Indicators: 2010)からグラフが引用されている。

まずは研究開発費の内訳だ。現在企業による投資が70%近くで、連邦政府のシェアは戦後下がり続け30%を切っている。これは1930年代の水準に迫るものだ。とはいえ、この数字がすなわち研究開発における政府の役割の低下を示すものではない。

Academic performers are estimated to account for 55% of U.S. basic research ($69 billion), 31% of total (basic plus applied) research ($157 billion), and 13% of all R&D ($395 billion) estimated to have been conducted in the United States in 2008.

大学は研究開発費の13%しか占めていないが、基礎研究の55%を占めている。

ちなみに日本はというと、やはり企業に研究開発の割合は近年70%前後で安定している。上のグラフは科学技術研究調査から作った。NSFのグラフの連邦政府は大学や企業への補助金を含むので直接の比較はできないが、研究開発費の大部分を民間企業が請け負っているのは共通している。

研究開発費そのものは世界中で上昇している。国ごとの相対的な量では中国が急激に伸びている以外、比較的安定している。

GDP比でみると日本は非常に高い水準を保っているが近年韓国に追い抜かれている。アメリカ・EUは安定しているが、中国はここでも急上昇を見せている。採集データは2007年となっており、現在では絶対量で中国に負けているようだ

但し、本来はイノベーションのアウトプットを比較するべきだが、測定が極めて困難なため費用を比べざるをえない点には注意が必要だ。使った金額だけにとらわれずどれだけ効率に使うかという視点は忘れてはならない。

オンラインコンテンツへお金を払うか

Nielsenによるオンラインのコンテンツにお金を払っている人や払う意思のある人の割合の調査:

Changing Models: A Global Perspective on Paying for Content Online | Nielsen Wire

青い部分が既にそのコンテンツにお金を払っている人の割合、オレンジの部分が払っても良いと考えている人の割合だ。

Online content for which consumers are most likely to pay—or have already paid—are those they normally pay for offline, including theatrical movies, music, games and select videos such as current television shows. These tend to be professionally produced at comparatively high costs.

消費者が対価を支払う可能性が高いのはオフラインで通常対価を払って消費するような生産コストの高いコンテンツとのこと。但し、このグラフで多くの人がゼロより大きな価格を払う(払っている)ことはその(オンライン)コンテンツの価値が高いことを意味しないには注意する必要がある。

まず、消費者は必ずしも自分にとってのコンテンツの価値を対価として払うわけではない。払わなくてもいいなら払わないわけだ。だからここで対価を支払う人の少ないコンテンツは価値がないのではなく、単に競争的に供給されているだけということが考えられる。ユーザーが作成するコンテンツはこの類だろう。

またゼロ以上の価格を支払う人が少ないことは支払いが総額として少ないことにもならない。多くの人にタダで配布しても一部の消費者から十分に収益をあげられるならそれで構わない。消費者でなく別のルートで利益をあげてもいい。利用者が多いほど価値が上がるタイプのコンテンツであれば、このような戦略を取るのが自然だ。個人のプロモーションでも広告でもよい。

Nielsen asked more than 27,000 consumers across 52 countries

しかし、多くの人に聞くのはいいがこの手の調査を52ヶ国分まとめて数字にしてもあまり役に立たない気もする。

Facebookで地図を色分け

Facebookのデータを使って、アメリカを七つに分けてみたというエントリー:

PeteSearch: How to split up the US

My latest visualization shows the information by location, with connections drawn between places that share friends.

点はユーザーが存在する都市で、線はfriend関係を指しているようだ。州レベルや国レベルのバージョンも用意されている。friendが出来るのはその場所に学校・仕事などで住んだことがある場合がほとんどなので、人々がどう地域間を移動しているかを間接的に表している。さらに、クラスター毎にどのような人やグループが人気なのかも分かる。

ニューヨークからミネソタにかけてはあまり移動がないようでStayathomiaと名付けている。この地域はGodの人気がなくビールやスポーツが人気だそうだ。

Dixieはアトランタを中心とした地域で同じく閉鎖的。南にフロリダだけは別枠で東海岸の都市と強いコネクションがある。これはフロリダに移住する人が多いからだろう(Facebookには中年以上のユーザーも多いし、子供もいれば反映される)。この地域はGodがファンページのトップにくる宗教色の強い地域だ。

Greater Texasは名前通りTexasのDallasを中心としたクラスター。どの都市もDallasと強いコネクションがある。やはりGodが人気。ルイジアナのAlexandriaではAhmed、Mohamedが二番目、三番目に多かったり、テキサスのLaredoではJuan, Jose, Calros, Louisが最も多かったり、地域色が出ていて面白い。

Mormoniaはモルモンとの関連があると思われる地域で、外部とのコネクションが少ない。

Nomadic Westは中西部のだだっ広い地域で、コネクションが遠距離に渡っているのが特徴。外に出て行くほかないということだろうか。Starbucksが人気(?)だそうだ。

Socalistanはカリフォルニアをカバーする。公立大学のシステムからいって州内での(特に若い世代)の移動は盛んなので人口の多いカリフォルニアがクラスターになるのは理解出来る。Socalというのは南カリフォルニアのことでLAが中心であることを示している。ちなみにサンフランシスコではオバマが最も人気のある人物だそうだ。

最後はPacificaでこれはシアトル近辺のクラスターだが、特筆すべき情報は公開されていない。

この分割は数学的アルゴリズムで得られたものではなく、目視で色分けした程度のもののようだが、コメント欄などから察するにアメリカ人の感覚には近いようだ(逆にその感覚によって色分けが影響されている面があるのだろう)。

アメリカのボランティア参加

アメリカ人のボランティア参加に関するデータがNYTで紹介されている:

Where Do You Volunteer? – Economix Blog – NYTimes.com

元データはBereau of Labor StatisticsのVolunteering on the rise: September 2008-September 2009だ。人口の26.8%がボランティアに参加しており、これは大体6,340万人ほどになる。2007年から上昇基調だ。不況のせいと考えられるが、参加が増えているのは不況による失業の比較的少ない女性で(注)、男性は横ばいとのこと。

参加しているボランティアの種類はパイチャートになっている:

宗教(Religious)が1/3以上を占めており印象的だ。

Among all volunteers, the demographic group most likely to report that they mainly volunteer for their religious organizations were those without a high school diploma. Among volunteers who didn’t graduate from high school, 47.1 percent say that they mainly volunteer for a religious organization.

宗教をボランティアの対象と選んだ人の割合は高校を卒業していない層で最も高く、なんと47.1%にのぼっている。日本で似たような統計はあるのだろうか。

(注)In a First, Women Surpass Men on U.S. Payrollsによると、史上始めて給与所得者数で女性が男性が上回ったとある。これは男性の方が景気に左右されやすい業種についているということもあるが、男女差が消滅しつつあるのは事実だ。